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武蔵小杉周辺の皆様、こんにちは。
「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」院長のくま先生です。
今週(7/21〜7/24)の地域の感染症動向「もりのこIDWR」をお届けします。
※IDWR=Infectious Disease Weekly Report
今週は祝日(山の日)や、当院のイベント「キッズドクター体験」の開催があったため、通常の週よりも診療日数が少ないスケジュールでした。全体の件数は少なく見えるかもしれませんが、「1日あたりの患者数」に換算すると、手足口病の流行は先週よりもさらに激化していることが分かります。
夏休みに入り、ご家族でのイベントも増える時期かと思いますが、最新の感染症動向をチェックして安全にお過ごしください。
<忙しい方のためのまとめ>
※今週は診療日数が少なかったため、数値の解釈には「1日あたりの密度が高い」という点にご留意ください。
【当院の診断数】
手足口病/ヘルパンギーナ:107件 🔴(診療日減でも100件超え。実質的な増加)
急性胃腸炎(嘔吐下痢):22件 🟡(高水準で推移)
ヒトメタニューモウイルス:4件 ⚠️(微増。咳に注意)
RSウイルス感染症:3件 ⚠️(先週0件から増加)
インフルエンザA型:1件 ⚠️(季節外れの陽性者確認!)
COVID-19:1名 ⚠️(先週から継続)
水痘(水ぼうそう):1件 🔵
溶連菌感染症:0件 🔵
アデノウイルス:0件 🔵
マイコプラズマ:0件 🔵
今週のデータから読み解く、重要な警戒ポイントを3つ解説します。
1. 手足口病は「実質的」に流行のピークを更新中
今週の手足口病・ヘルパンギーナは107件でした。「先週の116件から減った」と思われるかもしれませんが、今週は診療日数が少なかったため、1日あたりの陽性者数は先週を上回るペースで来院されています。国立感染症研究所(NIID)の過去の発生動向調査(IDWR)のデータ通り、まさに7月下旬の現在が大きなピーク(山の頂上)となっています。口の痛みが強いため、経口補水液(OS-1など)を少量頻回(5〜10mlずつ)で与える脱水対策を徹底してください。
2. 夏の「ゼーゼー」する咳に注意(RSウイルス・hMPV) 今週は「RSウイルス」と「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」が合わせて7件確認されました。これらはどちらも気管支炎や肺炎を起こしやすいウイルスです。特にRSウイルスは、近年夏場(7〜9月頃)に流行のピークを迎える傾向が強まっています(NIIDの近年の疫学データより)。「単なる夏風邪かと思ったら、呼吸のたびに胸がペコペコ凹んでいる(陥没呼吸)」といった症状があれば、早めの受診をおすすめします。
3. 季節外れのインフルエンザA型が確認されました 冬の病気というイメージが強いインフルエンザですが、今週A型の陽性が1名確認されました。新型コロナウイルス(1名)と合わせて、高熱が出る感染症が混在しています。「夏だからインフルエンザではないだろう」と自己判断せず、38度以上の高熱が丸1日以上続く場合や、ぐったりしている場合は当院にご相談ください。

Q1. RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(hMPV)はどう違うのですか? A. 症状は非常に似ていますが、好発年齢が少し異なります。 どちらも鼻水から始まり、数日後にひどい咳や「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)を引き起こす呼吸器ウイルスです。一般的に、RSウイルスは「1歳未満の乳児」が感染すると重症化(細気管支炎など)しやすいのに対し、ヒトメタニューモウイルスは「1〜3歳頃の幼児」でも高熱が長引き、気管支炎を起こしやすいという特徴があります。どちらも特効薬はないため、去痰薬や気管支拡張薬などを用いた対症療法と、こまめな水分補給が治療の基本となります。
Q2. 今年の手足口病に何か特徴はありますか?
A. 「コクサッキーウイルスA6型」と「エンテロウイルス71型」の流行による、非典型的な広範囲の発疹と、まれな重症化リスクに注意が必要です。
今年の手足口病の流行状況を国立感染症研究所(NIID)などの発生動向データと照らし合わせると、主に2つの原因ウイルスの特徴が顕著に表れています。
コクサッキーウイルスA6型(CA6)による広範な発疹と爪の脱落
このタイプは、従来の手足や口の中だけでなく、おしり(臀部)や膝・肘などの関節付近、太ももなどにまで広範囲かつ大きめの水ぶくれができるのが特徴です。また、発症から約1〜2ヶ月後に手足の爪が浮いて剥がれ落ちる「爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)」を合併しやすいことが分かっています。後から爪が剥がれると驚かれるかもしれませんが、自然に新しい爪が生え変わりますので過度な心配は不要です。
エンテロウイルス71型(EV71)による重篤な合併症リスク
手足口病は基本的に軽症で済むことが多いですが、このEV71型が原因の場合、ウイルスが中枢神経系に移行しやすいというエビデンスがあります。頻度としては少ないものの、急性弛緩性麻痺(急に手足がだらんと力が入らなくなる症状)や髄膜炎・脳炎、さらには神経原性肺水腫(急激な呼吸困難)などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあることが過去の疫学調査で示されています。 お子さんが「2日以上高熱が続く」「何度も吐く」「視線が合わない・ぐったりしている」「痙攣する」といった症状を見せた場合は、夜間や休日であっても直ちに医療機関を受診してください。
Q3. 大人も手足口病にかかりますか?かかった場合、軽く済みますか?重くなりますか?
A. 大人も感染します。そして、大人の方が「圧倒的に重症化しやすい(症状が強く出やすい)」のが特徴です。
小児科の診察室でも、手足口病のお子さんの看病をしていたお父さん・お母さんが数日後に感染し、ボロボロになって受診されるケースを頻繁に目にします。大人が手足口病に感染すると、以下のような強い症状が出ることが医学的な報告でも多数示されています。
激しい痛みと歩行困難
手足の水ぶくれの痛みが子どもよりも非常に強く出やすく、「足の裏が痛くて歩けない」「痛くてペンや箸が握れない」といった日常生活への著しい支障が出ることがあります。
強い全身症状
39度近い高熱、全身の強い倦怠感、悪寒や関節痛など、重いインフルエンザのような症状を伴うことが多いです。
喉の激痛
水も唾液も飲み込めないほどの痛みが続き、大人の脱水症につながることもあります。
手足口病には特効薬がありません。お子さんの看病の際は、お子さんの食べ残しを食べない、オムツ替えの後は「流水と石鹸」で徹底的に手を洗う(アルコール消毒は効きにくいため)など、ご家族内での感染連鎖を防ぐための厳重な対策をお願いいたします。
いよいよ夏休み本番ですね。25日に開催した「キッズドクター体験」では、白衣を着て一生懸命に取り組むお子さんたちの姿に、私たちスタッフ一同、たくさんの元気と笑顔をもらいました!ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
診療日数が少なかった今週ですが、手足口病の猛威は依然として続いており、看病でお疲れのご家族も多いかと思います。お母さん、お父さんご自身の体調管理にもどうかお気をつけください。
少しでも不安なことがあれば、いつでも「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」を頼ってください。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)
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