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【小児科医が解説】33年ぶりのMMRワクチン「ミムリット」承認!これからの予防接種はどう変わる?

今回は小さなお子さんを持つ親御さんにとって、とても重要で嬉しいニュースをお届けします。2026年5月11日、第一三共株式会社から新しい3種混合生ワクチン「ミムリット®皮下注用」が製造販売承認を取得しました。 これ、日本の小児医療において歴史的な出来事なんです。なぜなら、日本で「MMRワクチン」が承認されるのは、実に33年ぶりのことだからです。

「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の院長(くま先生)が解説する、新MMRワクチン「ミムリット」承認の要点まとめ。1回の注射で麻しん・風しん・おたふくかぜが予防できるメリット、国内試験での安全性(髄膜炎0例のエビデンス)、ムンプス難聴のリスクなどが黒板風のインフォグラフィックでわかりやすく記載されています。

新ワクチン「ミムリット」ってどんなワクチン?

ミムリットは、以下の3つの病気を「1本」の注射で予防できるワクチンです。

  • M:Measles(麻しん = はしか)

  • M:Mumps(おたふくかぜ = 流行性耳下腺炎)

  • R:Rubella(風しん)

対象は生後12ヶ月以上で、0.5mLを1回皮下注射します。 現在、日本の定期接種(公費)では、麻しんと風しんを予防する「MRワクチン」が使われています。おたふくかぜの予防には、別途「おたふくかぜワクチン」を任意接種(自費)で受ける必要があります。つまり、これまでは「MR」と「おたふくかぜ」の2本の注射が必要でした。

注射のたびに泣いてしまう我が子を抑えるのは、親御さんにとっても辛い時間です。ミムリットが実用化されれば、これが1回で済みます。接種回数が減ることは、こども達の痛みを減らし、保護者の皆さんの負担を軽くする大きなメリットになります。

なぜ33年間もMMRワクチンがなかったのか?

「3つまとめて打てるなら、最初からそうしてほしかった」と思うかもしれません。実は、日本でも1989年から4年間だけ、別のMMRワクチンが定期接種として使われていた時期がありました。 しかし、当時のワクチンに含まれていたおたふくかぜウイルス株が原因で、無菌性髄膜炎という副反応が社会問題になってしまったのです。

厚生労働省の資料等によると、当時のMMRワクチン由来と疑われる無菌性髄膜炎の発生頻度は「10万接種あたり13.4人」と報告されています。これは決して無視できない数字です。結果として1993年にMMRワクチンの接種は事実上中止となり、それ以来、日本ではMRとおたふくかぜを別々に打つ体制が続いていたわけです。

ミムリットの安全性とエビデンス

「過去に問題があったなら、新しいワクチンは大丈夫?」と不安に思うかもしれません。

今回承認されたミムリットは、過去のワクチンとは中身が違います。現在日本で安全に使われている第一三共のMRワクチンに、世界中で汎用されている「RIT4385株」というおたふくかぜワクチン株を組み合わせたものです。このRIT4385株を含む海外のMMRワクチンについて、米国疾病予防管理センター(CDC)の報告書では無菌性髄膜炎との関連性を示すデータは報告されていません。

さらに、国内で行われた第3相臨床試験(承認前の最終テスト)のデータがあります。2026年3月の厚生労働省・薬事審議会の報告書によると、国内の小児約400例を対象とした試験において、懸念されていた無菌性髄膜炎の発現は「0例」でした。 医療に「絶対」はありませんし、一般的なワクチン同様に発熱などの副反応が起こる可能性はあります。しかし、少なくとも過去に問題となったような高い頻度での髄膜炎リスクは極めて低く抑えられており、安全性が確認されたからこそ今回の承認に至ったのです。

なぜ「おたふくかぜ」を予防すべきなのか?

そもそも、おたふくかぜは「子どもの頃に自然にかかれば免疫がつくから大丈夫」と軽く考えられがちです。ですが、実はとても怖い合併症のリスクが潜んでいます。

代表的なものが「ムンプス難聴」です。日本小児科学会の調査報告などによれば、おたふくかぜに罹患した患者さんのうち、約1,000人に1人の割合で片側(まれに両側)の重度な難聴を発症することが分かっています。この難聴は現代の医学でも治療が非常に困難です。

また、思春期以降に感染した場合の生殖器への影響も重要です。男性の場合は約20〜30%の確率で『精巣炎』を合併し、両側に炎症が及んだ場合はまれに将来的な不妊の原因になることが報告されています。また、女性の場合も約5%の確率で『卵巣炎』を合併し、強い下腹部痛を引き起こすことがあります(女性の場合は不妊につながることは極めてまれとされています)。男女問わず、思春期を迎える前にワクチンでしっかり防いであげることが大切です。

現在、日本のおたふくかぜワクチンの接種率は任意接種であるため、約30〜40%程度に留まっています。ミムリットの登場によってMMRとして一度に打てるようになれば、MRワクチンと同じように高い接種率が期待できます。子どもたちを重篤な後遺症から守るためにも、MMRワクチンの復活は小児科医が長年待ち望んでいたことなのです。

いつから打てる?今後の見通し

製造販売が承認されたとはいえ、すぐに当院で打てるわけではありません。 現在(2026年6月時点)は承認が下りた段階であり、実際にクリニックへ流通するまでにはもう少し時間がかかります。

また、現状おたふくかぜは任意接種ですが、今後ミムリットが定期接種の枠組みに組み込まれるかどうかが最大の注目ポイントです。定期接種化されれば、原則無料で受けられるようになります。今後の厚生労働省の予防接種行政の動きや、川崎市の対応方針が決まり次第、当クリニックのブログや院内掲示でいち早くお知らせします。

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当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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