ブログ
Blog
Blog
当院の定点観測データに基づく、地域の感染症週報「もりのこIDWR」をお届けします。
※IDWR=Infectious Disease Weekly Report
梅雨本番となり、湿度が低く過ごしやすい日と蒸し暑い日が交互にやってくる、体調管理が難しい時期ですね。今週の地域の感染症動向ですが、先週までゼロが続いていた新型コロナウイルスが1名確認されました。また、減少傾向にあった急性胃腸炎が28件へと再び増加に転じています。
そして今週、久しぶりに「水痘(水ぼうそう)」が2名確認されました。「ワクチンを打っているのになぜ?」と疑問に思う親御さんも多いかと思います。今回は、ワクチン接種後に罹患する「ブレークスルー水痘」について詳しく解説します。
胃腸炎や夏風邪に混じって、コロナや水痘が顔を出しました。多種多様な感染症が混在しています。
【当院の診断数】
急性胃腸炎(嘔吐下痢):28件 🔴(先週15件から再び増加。お腹の風邪が再燃!)
手足口病/ヘルパンギーナ:10件 🟡(高止まり。引き続き口の痛みに注意)
溶連菌感染症:10件 🔴(二桁の大台へ。喉の痛みと高熱に警戒)
ヒトメタニューモウイルス感染症:3件 🟡(微増。長引く咳に注意)
水痘(水ぼうそう):2件 🟡(久しぶりに確認されました)
アデノウイルス:1件 🔵(減少)
COVID-19:1名 ⚠️(長く続いたゼロが途切れました。注意継続です)
インフルエンザA/B型:0件 🔵🎉(ゼロ継続!)
マイコプラズマ/百日咳/おたふくかぜ:すべて0件 🔵

今週、当院で2名の「水痘(水ぼうそう)」のお子さんがいらっしゃいました。 水痘ワクチンは2014年10月から定期接種(1歳〜3歳に至るまでに2回接種)となり、現在では水ぼうそうにかかるお子さんは激減しています。
しかし、ワクチンを1回、あるいは2回きちんと接種していても、水痘ウイルスに感染して発症することがあります。これを「ブレークスルー水痘(ブレークスルー感染)」と呼びます。
「ワクチンをちゃんと接種したのになんで!」と思われるかもしれませんが、ワクチンの最大の目的は「重症化を防ぐこと」です。ブレークスルー水痘の場合、発熱がほとんどなく、発疹の数も数個~50個未満(通常は250〜500個)と非常に軽症で済むという大きなメリットがあります。ただ、症状が軽いため「ただの虫刺されかな?」と見過ごされやすい点には注意が必要です。
Q1. ブレークスルー水痘の特徴や、初期症状の見分け方はありますか?
A. 「熱が出ない」「水ぶくれ(水疱)にならず、赤いポツポツのまま治る」ことが多いのが特徴です。
典型的な水ぼうそうは、虫刺されのような赤い発疹(紅斑)から始まり、中に水をもった水ぶくれ(水疱)になり、最後にかさぶた(痂皮)になります。しかし、ブレークスルー水痘の場合は免疫が働いているため、水ぶくれにならずに赤いポツポツのまま消えてしまったり、数日で治ってしまったりすることが多く、非常に見分けがつきにくいです。頭皮や髪の毛の生え際などにも発疹がないかチェックしてみてください。
Q2. なぜワクチンを2回打ってもかかってしまうのですか?
A. ワクチンによる免疫が時間とともに少しずつ低下するためです。
水痘ワクチンを1回接種した場合の発症予防効果は約80〜85%、2回接種で約95%と言われています。2回打てばほぼ確実に重症化(脳炎や重症肺炎など)を防ぐことができますが、数年経つと抗体価がわずかに下がり、感染力が非常に強い水痘ウイルスに触れると、ごく軽症ながら発症してしまうことがあるのです。
Q3. ブレークスルー水痘の場合、保育園や幼稚園の登園基準はどうなりますか?
A. 原則として、学校保健安全法に基づく「すべての発疹がかさぶた(痂皮化)になるまで」はお休みです。
軽症であっても周囲への感染力はあります。ただし、ブレークスルー水痘では「水ぶくれにならず、かさぶたもできないまま赤みが消えていく」ケースも多々あります。その場合は、小児科学会の見解等も踏まえ、「新たな発疹が出なくなり、治癒傾向にあること」を医師が個別に判断し、登園許可を出すことになります。
Q4. 家族にうつさないための対策は?(下の子にうつしたくありません)
A. 水痘は「空気感染」するため、同じ空間にいるだけでうつる可能性があります。
手洗いやマスクだけでは完全に防ぐことが難しい非常に感染力が強いウイルスです(基本再生産数はインフルエンザの数倍)。ご家族にまだ水痘にかかったことがなく、ワクチンも未接種の方(特に0歳の赤ちゃんや妊婦さん)がいる場合は注意が必要です。 もし未接種のご家族が接触してしまった場合でも、接触後72時間以内にワクチンを緊急接種することで、発症を防ぐ、あるいは軽症化できる可能性があります。お早めにご相談ください。
ご家族の皆様へ
久しぶりの水ぼうそうの発生に加え、胃腸炎の再燃や新型コロナの確認など、今週はご不安になる要素が多かったかもしれません。 「これって虫刺され?水ぼうそう?」と迷ったときは、自己判断せずにいつでも当院へお見せください。診断がつけば、抗ウイルス薬や軟膏などの適切なお薬をお出しできますし、ごきょうだいへの感染対策も具体的にアドバイスさせていただきます。どんな小さなことでも、ご家族に寄り添ってサポートいたします!
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
週明け6月22日の「小児科一般外来の当日順番予約」はこちらから
来週以降の「予防接種・乳幼児健診予約」はこちらから
皮膚科・小児皮膚科の日時指定予約はこちらから
専門外来(アレルギー・心臓・低身長・夜尿症・思春期早発・あかちゃんの頭の形・こどもの頭痛など)のご予約はお電話(044-739-0888)で
【SNSでも情報発信中!】
当院のSNSでは、小児科・皮膚科に関する役立つ情報や、季節ごとの病気の注意点などを発信しています。ぜひフォローしてください!
Instagram: 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)
© Morino Kodomo Clinic
