2026年麻疹(はしか)流行の兆し。母子手帳が教える「1回接種」の落とし穴と家族を守るMRワクチン - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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2026年麻疹(はしか)流行の兆し。母子手帳が教える「1回接種」の落とし穴と家族を守るMRワクチン - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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2026年麻疹(はしか)流行の兆し。母子手帳が教える「1回接種」の落とし穴と家族を守るMRワクチン

2026年に入り、ニュースやSNSなどで「麻疹(はしか)の感染報告」を目にする機会が再び増えてきました。
Yahooニュース「「はしか」感染者数 前年同期比4倍以上に 今年累計139人 2020年以降最多

診察室でも、
「うちの子はまだワクチンを打てる月齢ではないのですが、大丈夫でしょうか?」
「(親の)私自身がはしかにかかることはありますか?」
「(親の)私のワクチン接種歴がわからない・・・」」
といった、切実でリアルなご相談を毎日のようにお受けします。

報道などで「ご自身の母子手帳を確認し、麻疹ワクチンの接種が1回だけの場合は2回目の接種を」と呼びかけられていますが、なぜ「1回」ではダメなのでしょうか。本日は、日本専門医機構認定小児科専門医の視点から、その医学的な根拠(エビデンス)と、皆様が今すぐ取るべき具体的な行動について、わかりやすく、かつ詳しく解説いたします。

🌡️ 3つのステージで進行する麻疹の症状

麻疹ウイルスに感染すると、約10〜12日間の「潜伏期間」を経て、以下の3つの段階で症状が現れます。ここが単なる風邪とは違う重要なポイントです。

1. カタル期(約2〜4日)
38度前後の熱、咳、鼻水、目やに(結膜炎)など、風邪とそっくりな症状が出ます。この時期が最も周囲にウイルスを撒き散らす(感染力が強い)危険な期間です。熱が一度下がりかける頃、頬の内側の粘膜に白い小さな斑点(コプリック斑)が現れるのが特徴です。

2. 発疹期(約3〜4日)
一度下がった熱が再び39度以上に跳ね上がり、耳の後ろや首回りから赤い発疹が出始め、全身へと広がっていきます。高熱と強いだるさで、非常に苦しい時期です。

3. 回復期
発疹が黒ずんだ色素沈着に変わり、熱も下がっていきますが、麻疹ウイルスによって全身の免疫力が極端に低下するため、別の細菌やウイルスに感染しやすい無防備な状態が続きます。

⚠️ 肺炎・脳炎から、数年後に発症する致死的な合併症まで

麻疹が本当に恐ろしいのは、高確率で合併症を引き起こす点です。中耳炎のほか、重症化すると肺炎脳炎を合併し、これが命に関わる直接的な原因となります。

さらに、麻疹にかかってから数年〜十数年も経過した後に、知能障害や運動障害が進行する「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という致死的な中枢神経疾患を発症するケースも、稀ではありますが確実に存在します。

麻疹には特効薬がありません。対症療法(症状を和らげる治療)しかできない以上、「ワクチンで予防すること」が唯一にして最大の治療法なのです。

空気感染する麻疹ウイルスの「本当の恐ろしさ」

麻疹ウイルスの最大の脅威は、その凄まじい感染力」にあります。 新型コロナウイルスやインフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみのしぶきを吸い込む「飛沫感染」や「接触感染」ですが、麻疹は「空気感染」を起こします。ウイルスが空気中をただようため、同じ空間(例えば、すれ違っただけの商業施設のフロアや、同じ車両の電車内など)にいるだけで、免疫がなければほぼ100%の確率で感染・発症してしまいます。一般的な手洗いや不織布マスクだけでは、このウイルスの侵入を完全に防ぐことはできません。

だからこそ、麻疹に対抗する唯一にして最強の武器は「事前のワクチン接種によって、強固な免疫をつけておくこと」なのです。

なぜ「1回接種」では免疫が不十分なのか?

ここからが、今回のブログで一番お伝えしたい部分です。
ニュースで「1回接種の人は注意!」と言われているのには、医学的根拠があります。

✖まちがい✖「子どもの頃に1回ワクチンを打ったから、自分は一生大丈夫」

実は、この認識が大きな落とし穴となっています。麻疹ワクチンを1回接種した場合、約95%の人は免疫を獲得できますが、残り約5%の人は体質等の理由で最初から十分な免疫がつきません(これを「一次性ワクチン不全」と呼びます)。

さらに問題なのが「二次性ワクチン不全」と呼ばれる現象です。1回のワクチン接種で一度は免疫を獲得したとしても、その後の人生で麻疹ウイルスに触れる機会がないまま長い年月が経過すると、体内の抗体(病気と戦う力)の記憶が徐々に薄れ、免疫力が低下してしまうのです。

現在、大人が麻疹に感染して重症化したり、意図せず周囲に広げてしまったりするケースの多くが、この「1回接種のみで、気づかないうちに抗体が落ちてしまっている世代」に集中しています。生涯にわたって麻疹から完全に身を守るためには、「合計2回のワクチン接種」が国際的な常識(グローバル・スタンダード)となっているのです。

【重要】あなたの接種回数は?母子手帳を開いてみましょう

では、ご自身が「何回ワクチンを打っている世代」なのか。日本の予防接種法の歴史と照らし合わせると、生年月日によっておおよその回数がわかります。以下の表をご参照ください。

生年月日(世代) ワクチン定期接種回数 現在の状況とエビデンスに基づくリスク

1972年9月30日以前
(昭和47年以前)

0回 定期接種の制度自体がなかった世代です。幼少期に自然感染して強固な免疫を持っている方が多い一方、一度も感染したことがない方は免疫が全くなく、感染リスクが極めて高い状態です。

1972年10月1日

1990年4月1日

1回のみ ワクチンが「1回」と定められていた世代です。接種から数十年が経過しており、免疫が低下する「二次性ワクチン不全」のリスクが最も高く、現在の流行の中心になり得る要注意世代です。

1990年4月2日

2000年4月1日

1回または2回

 

(混在)

制度変更の過渡期です。中高生時代に特例措置で「2回目」を受ける機会がありましたが、当時は任意の色合いが強く、受け忘れて「1回のみ」の方と、「2回完了」の方が多数混在しています。
2000年4月2日以降 2回 現在の子どもたちと同じく、1歳と小学校入学前(年長さん)の計2回、定期接種を受ける制度が確立した世代です。母子手帳通り受けていれば、十分な免疫が期待できます。

人間の記憶はとても曖昧です。「打ったはず」という思い込みは危険です。ご実家などにある「母子健康手帳」の予防接種欄をご自身の目で確認することが、最も確実な裏付けとなります。

1回接種だった、あるいは母子手帳がなく回数不明な場合の対応策

もし母子手帳を確認して「1回しか打っていなかった」、あるいは「紛失して過去の接種歴が全くわからない」という方は、ご自身と大切なご家族を守るために、以下のいずれかをご検討ください。

① 抗体検査(血液検査)を受ける

医療機関で少量の採血を行い、体内に麻疹に対する十分な免疫(抗体)が残っているかを調べます。結果が出るまでに数日かかりますが、抗体価が基準より低ければ、追加でMR(麻疹・風疹混合)ワクチンもしくはMMR(麻疹風疹おたふくかぜ)ワクチンを接種します。

② すぐにMRワクチンもしくはMMRワクチンを(追加で)接種する

実は、過去に1回接種していたり、すでに免疫を持っている方が「念のため追加でもう1回ワクチンを接種」しても、医学的に健康上の不利益があったり、副反応が特別に強くなったりすることはありません。世界保健機関(WHO)や日本のガイドラインでも、接種歴が不明な場合は、検査を待たずにワクチンを接種することが推奨されています。

【注意】

費用とリスクについても伝えします。当院を含め、医療機関をご利用の際は以下をご確認ください。

  • 費用について
    大人のMRワクチン・MMRワクチン接種や抗体検査は、病気の治療ではないため原則として自費診療(全額自己負担)となります。費用は各医療機関により異なります。
    <当院の価格>
    MR(麻疹風疹)ワクチン 11,000円(税込み)
    MMR(麻疹風疹おたふくかぜ)ワクチン 13,200円(税込み)
    ※成人の方には3つの感染症の予防ができるMMRワクチンをお勧めします。MRワクチンは日本各地の子ども達の定期接種に使用したいと思っています。
    ※MMR(麻疹風疹おたふくかぜ)ワクチンは輸入ワクチンですが、WHOが推奨する標準的なワクチンであり、世界100カ国以上で使用実績があります。

  • 副反応について
    MRワクチンやMMRワクチンは国内外で長年使われている安全性の高いワクチンですが、接種後5〜14日頃に発熱や発疹、注射部位の赤みや腫れが出ることがあります。また、極めて稀ではありますが、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い副反応が起こる可能性も報告されています。アレルギー歴(特にゼラチン等)やご不安な点がある方は、必ず診察時に医師へご相談ください。妊娠中の方、または妊娠の可能性がある方は接種できません。
    接種後2ヶ月は避妊が必要です。

家族全員で子どもたちを守る「コクーン(繭)戦略」

麻疹ワクチンの定期接種は「生後1歳」になってからです。つまり、0歳の赤ちゃんはワクチンで自分を守ることができません。

麻疹から小さな命を守るためには、周囲の大人(ご家族)がしっかりとワクチンを接種して強固な免疫の壁を作り、赤ちゃんを繭(コクーン)のように包み込んでウイルスから守る「コクーン戦略」が不可欠です。

どんな高度な医療・治療をもってしても、予防接種で防げる病気(VPD:Vaccine Preventable Diseases)から子どもたちを守る「予防」に勝る治療はありません。まず保護者の皆様ご自身の健康と、確かな免疫が土台となります。

予防接種のスケジュール、その他お子様の気になる症状がございましたら、どうぞお気軽に「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」までご相談ください。皆様の不安に寄り添い、サポートさせていただきます。

ウイルスから家族を守る光のドーム(コクーン戦略)に包まれ、笑顔で立つ4人家族のイラスト。母親は母子手帳を手に持っている。右下には「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」のロゴ。

 

【SNSでも情報発信中!】

当院のSNSでは、小児科・皮膚科に関する役立つ情報や、季節ごとの病気の注意点などを発信しています。ぜひフォローしてください!

Instagram: 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科

 

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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