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くま先生(小児科専門医・院長):
こんにちは!武蔵小杉 森のこどもクリニック院長の、くま先生です。
暖かくなり外遊びが楽しい季節になりましたね。当院の小児科外来でも、「先生、うちの子、蚊に刺されただけでパンパンに腫れ上がってしまうんです」「水ぶくれになって跡が残らないか心配で……」という親御さんからのご相談が急増しています。
そこで今回は、当院の皮膚科専門医である石川先生に、こどもの虫刺されの謎と正しいケアについて詳しく聞いていきたいと思います!
石川先生、よろしくお願いします。

石川先生(皮膚科専門医):
よろしくお願いします。こどもの赤く痛々しい腫れを見ると、親御さんがご不安になるお気持ち、よくわかります。皮膚科の視点から分かりやすく解説していきますね。
くま先生:
早速ですが、大人は蚊に刺されても少し痒くなる程度なのに、こどもはどうしてあんなに大きく腫れてしまうのでしょうか?
石川先生:
結論から言うと、蚊の唾液に対する免疫反応の段階が、大人とこどもで異なるからです。
実は、蚊に刺されたときの反応は「過去に刺された経験値」によって変化します。人間の体は、成長(経験)とともに以下のような5つのステージを辿ります。
| ステージ | 時期(目安) | 刺された後の反応 |
| 第1期(無反応期) | 乳児期初期 | 経験がなく、刺されても反応が出ない |
| 第2期(遅延型反応期) | 乳幼児期 | 半日〜翌日以降に赤く大きく腫れる。水ぶくれになることも |
| 第3期(即時型+遅延型) | 幼児〜学童期 | すぐにぷっくり腫れ、翌日にも赤く腫れる |
| 第4期(即時型反応期) | 青年〜成人期 | すぐに腫れて痒くなるが、数時間で引く |
| 第5期(無反応期) | 老年期 | 免疫が慣れ、刺されてもほとんど反応しない |
くま先生:
なるほど!乳幼児はまだ「経験」が少ないから、免疫が過剰に反応して翌日に大きく腫れる「遅延型反応」が強く出やすいのですね。大人になるとすぐに引くのは体が「慣れた」からだと分かり、安心しました。
石川先生:
大きく腫れること自体は正常な反応ですが、最も注意すべきは「かきこわしによる二次感染」です。傷口から細菌が入り込み、「とびひ」などを引き起こすことがあります。
通常の虫刺されより明らかに広く腫れて熱を持っていたり、ジュクジュク汁が出ている場合、また市販薬で数日対応しても改善しない場合は、早めにご受診ください。
くま先生:
刺されてしまった場合、おうちではどうケアすればいいでしょうか?
石川先生:
まずは「石鹸と流水で優しく洗って冷やす」ことです。汚れを落とすことが「とびひ」の最大の予防になります。 また、こどもの強い腫れや痒みをスピーディーに抑えるには、適切な強さのステロイド外用薬が非常に有効です。ダラダラと長引かせず、「短期間でしっかり塗って、速やかに炎症を鎮める」のが綺麗に治すコツです。
くま先生:
ここからは、外来で親御さんからよく聞かれる「蚊にまつわる疑問」について、一問一答でお答えしていきましょう!
石川先生:
A. 皮膚科・小児科の視点から、避けていただきたい大変危険な行為です。
爪でギュッと押すことで「痛み」の信号が脳に送られ、一時的にかゆみを打ち消すメカニズムは確かに存在します。しかし、こどもの皮膚の厚さは約1mmと非常にデリケートです。爪を立てると簡単に皮膚のバリア機能(角質層)が壊れ、爪の間の細菌(黄色ブドウ球菌など)が入り込んで、あっという間に化膿や「とびひ」の原因になってしまいます。かゆみを紛らわせたい時は、爪を立てるのではなく「保冷剤をタオルで包んで冷やす」のが正解です。
くま先生:
A. 実は、それを裏付ける研究データが存在します。
2004年に発表された論文(Journal of Medical Entomology誌)のヒトスジシマカを用いた実験の結果、O型の人は他の血液型に比べて蚊を引き寄せやすい傾向があり、特にA型の人との間にはっきりとした(統計学的に有意な)差が見られました。具体的なデータとして、体液に血液型の成分が混ざる「分泌型」と呼ばれるタイプの人たちで比較した際、蚊がとまる相対的な割合はO型の人で83.3%、A型の人で46.5%となり、O型はA型の約1.8倍も蚊を引き寄せやすいという結果が出ています。
しかし、あくまで要因の一つであり蚊を引き寄せる決定的な要因はQ3を見てくださいね。
くま先生:
A. 「二酸化炭素」「体温(熱)」「ニオイ(汗)」を多く発する人です。
蚊はこれらの要素を強力なセンサーで感知します。
呼吸量が多く、体温が高い人: 代謝が活発なこども、基礎体温が高い妊婦さん、運動直後の人。
汗をかいている人: 汗に含まれる乳酸やアンモニアなどに強く引き寄せられます。
お酒を飲んだ人: アルコール分解時に二酸化炭素が多く排出されるため。
暗い色の服を着ている人: 蚊は黒や紺などの暗い色を好む習性があります。
石川先生:
SNSなどで話題の民間療法ですが、小児科・皮膚科としては絶対におすすめしません。
蚊の唾液(かゆみの原因となるタンパク質)は熱に弱いため、50度前後の熱を加えるとかゆみが和らぐという理屈自体は存在します。しかし、皮膚の薄いこどもに熱いものを押し当てると、あっという間に「低温やけど」を引き起こしてしまいます。虫刺されの跡よりもはるかに重い傷跡が残る危険性があるため、絶対にやめましょう。温めるのではなく「保冷剤で冷やす」のが安全な正解です。
石川先生:
A. 専門医としては「確実な予防効果があるかは、今のところわからない」というのが正直なお答えになります。
現時点で、これらのフィギュアの蚊に対する忌避効果を実証した医学論文や公的なガイドライン(エビデンス)が存在しないためです。キャンプ等のアウトドアの楽しみや「お守り」として身につけるのは良いと思いますが、過信はせず、次にご紹介する「確実な虫よけ剤」をしっかり併用してくださいね。
石川先生:
残念ながら、科学的な効果は実証されていません。 蚊の嫌がる周波数の音を出すというアプリやキーホルダーがありますが、海外の研究機関や昆虫学者の検証では「蚊を遠ざける効果は確認できなかった」と報告されています。デジタル技術は便利ですが、虫よけに関しては「イカリジン」や「ディート」などの成分が含まれた虫よけ使うのが、今のところ一番確実な防衛策です。
くま先生:
では最後に、その「確実な虫よけ」の選び方を教えてください。
石川先生:
現在、日本で主流の虫よけ成分は「ディート」と「イカリジン」の2種類です。
| 成分名 | 特徴と対象の虫 | 使用制限・年齢の目安 |
| ディート(DEET) | 蚊、マダニなど幅広い虫に高い効果。本格的なアウトドア向け |
生後6ヶ月未満は使用不可。
6ヶ月〜2歳未満は1日1回など厳格な制限あり |
| イカリジン | 蚊、ブユ、アブ、マダニに限定されるが、お肌に優しくニオイも少ない |
年齢制限・使用回数制限なし。
赤ちゃんから何度でも塗り直し可能 |
日常的な公園遊びやお散歩なら、赤ちゃんにも回数制限なく使える「イカリジン」が圧倒的に使いやすくておすすめですよ。日焼け止めと併用する場合は、必ず「日焼け止めを先に塗り、その上から虫よけを塗る」順番を守ってくださいね。
くま先生:
石川先生、わかりやすく楽しい解説をありがとうございました!こどもの皮膚は大人の半分の厚さしかなくデリケートですから、しっかりケアしてあげたいですね。
石川先生:
「たかが虫刺されで受診していいのかな?」と遠慮される方もいらっしゃいますが、全く問題ありません。皮膚のバリア機能を綺麗に保つことは、こどもの健やかな成長を守るための第一歩です。
くま先生:
当院では、小児科と皮膚科それぞれの専門医が連携し、ご家族の不安に優しく寄り添う診療を心がけています。日々のちょっとしたお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください!
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)
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