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こんにちは。
「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」皮膚科診療チーム(皮膚科専門医)です。
朝晩の風がすっかり涼しくなり、秋の深まりを感じる季節となりましたね。お散歩など外遊びがしやすくなる一方で、空気が乾燥し始める秋から冬にかけては、こどもたちの「お肌のトラブル」が急増する時期でもあります。
「最近、子どもの肌がカサカサしてきた」
「痒がって夜中に何度も起きてしまう」
「アトピー性皮膚炎が悪化しないか心配」
「ステロイド軟膏って、本当はどうやって使えばいいの?」
診察室では、親御さんからこのような切実なご相談を毎日のようにお受けします。そこで今回は、小児皮膚科の専門医の視点から、秋から始めるべき「こどもの乾燥肌対策」と「アトピー性皮膚炎を悪化させないための正しい保湿・ステロイドの使い方」について、わかりやすく解説いたします。
<忙しい方のためのまとめ>
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大人の肌に比べて、こどもの肌は非常にデリケートです。特に乳幼児期のお肌は、大人の皮膚の半分程度の厚さしかなく、水分を保つ力(皮脂の分泌量など)も未だ未熟です。
そのため、秋になって湿度が下がり始めると、皮膚の水分がどんどん奪われ、あっという間に「乾燥肌」になってしまいます。乾燥した肌というのは、皮膚の表面を外部の刺激から守る「バリア機能」が低下した状態です。バリア機能が壊れた「すき間」だらけの壁のような状態になると、ちょっとした衣類の擦れや汗、ハウスダストなどの刺激で簡単に炎症が起き、強い痒みが生じてしまいます。
こどもは痒みを我慢できずにかきむしってしまい、さらにバリア機能が破壊され、炎症が悪化する・・・。という「痒みの悪循環」に陥りやすいのです。
「こどもの肌が乾燥してる(カサカサ)」とご相談を受けても、我々医師から見るとただの感想ではなく、保湿に加えて湿疹治療が必要な場合が多くあります。

「たかが乾燥肌」「たかが湿疹」とあなどってはいけません。実は、肌の乾燥や湿疹を放置することが、将来の「食物アレルギー」につながる危険性があることが、近年の研究で明らかになっています。
当院の院長が執筆したブログ記事(【小児科・小児皮膚科】赤ちゃんのアトピー、早めの治療が食物アレルギーを防ぐ鍵?最新研究から読み解くスキンケアの重要性。)でも詳しく解説していますが、皮膚のバリアが壊れたすき間から、生活空間にわずかに舞っている食べ物の成分(卵や牛乳など)が入り込むと、体がそれを「異物」と認識してアレルギー反応の準備をしてしまいます。これを医学用語で「経皮感作(けいひかんさ)」と呼びます。
この経皮感作を防ぎ、その後の喘息やアレルギー性鼻炎へと連鎖する「アレルギーマーチ」を食い止めるためには、早い段階で湿疹を治し、お肌をツルツルの状態に保つことが何よりの予防策となります。
2026年3月に国立成育医療研究センターから発表された大規模研究(PACI-ON研究)では、生後早い段階でアトピー性皮膚炎と診断された赤ちゃんに対して、「早い段階からステロイドなどの塗り薬を使ってしっかり炎症を抑え込む治療(早期強化治療)」を行ったグループは、従来の「症状が出た時だけ薬を塗る治療」を行ったグループに比べて、3歳の時点での食物アレルギー(特に卵アレルギー)の割合が明らかに少なかったことが実証されました。
つまり、小児皮膚科における適切なスキンケアと治療は、単に「今のお肌をきれいにする」だけでなく、「お子さんの未来のアレルギーを防ぐ」という非常に重要な役割を担っているのです。
では、ご家庭でどのようなケアをすればよいのでしょうか。お風呂上がりの「戦場」のような慌ただしさの中でも、基本となる以下の3つのステップを意識してみてください。
1. 優しく洗う(清潔を保つ)
お風呂では、石鹸やボディソープをしっかり泡立てて、「たっぷりの泡」で優しく手洗いしてください。スポンジやタオルでゴシゴシ擦る必要はありません。泡の力だけで汚れは十分に落ちます。そして、石鹸成分が肌に残らないよう、ぬるま湯でしっかり洗い流しましょう。
2. たっぷり潤す(保湿の徹底)
お風呂上がりは水分が蒸発しやすいため、「時間との勝負」です。できれば5分以内に保湿剤を全身にたっぷり塗りましょう。 目安としては、塗ったあとに「ティッシュペーパーがお肌にピタッと張り付くくらい」が正しい量です。親御さんが思っている以上に、たっぷりと塗るのがポイントです。
3. しっかり治す(適切な外用薬の使用)
すでに赤くなっていたり、ザラザラ・ジクジクしている場所は、残念ながら保湿剤だけでは治りません。ここで必要になるのが、医師から処方されたステロイド軟膏などの「お薬」を正しく塗ることです。

診察室でステロイドの塗り薬をお出しすると、「副作用が怖い」「子どもの成長に悪影響があるのでは?」と不安になる親御さんが多くいらっしゃいます。ネット上のさまざまな情報を見て、ご心配になるお気持ちはとてもよくわかります。
しかし、皮膚科専門医として「医師の指導のもと、正しい量と期間を守って使えば、お子さんの健やかな成長を妨げることはほぼない」ということをお伝えしたいです。 先ほどご紹介したPACI-ON研究においても、早期からステロイド軟膏をしっかり使ったグループで、3歳の時点での身長や体重の成長に悪影響はなかった(グループ間で差はなかった)ことが明確に確認されています。
お薬を塗る時の適切な量をご存知でしょうか? チューブの薬の場合、大人の人差し指の第一関節の長さまで出した量(約0.5g)を「1 FTU」と呼びます。この「1 FTU」で、大人の手のひら2枚分の面積に塗るのが正しい量です。 「副作用が怖いから」と薄くすり込むように塗ってしまうと、十分な効果が得られず、かえって治療が長引く原因になってしまいます。お肌に乗せるように優しく塗り広げてください。
アトピー性皮膚炎の治療で最も重要なのが、「プロアクティブ療法」という考え方です。 昔は「湿疹が出たら薬を塗り、良くなったらやめる」が主流でしたが、これでは皮膚の下に潜んでいる「見えない炎症」が残っており、すぐにまた再発してしまいます。
現在は、日本皮膚科学会のガイドラインでも「見た目がきれいになっても、すぐには薬をやめず、塗る間隔を徐々に空けていく(例えば毎日→1日おき→週2回など)」というプロアクティブ療法が推奨されています。
また、症状に応じてステロイドではない抗炎症薬(プロトピック、モイゼルト、コレクチムなど)を組み合わせることで、ステロイドの使用量を上手に減らしながら、長期間ツルツルのお肌を維持することが可能になっています。
急にお薬をやめず、医師と相談しながらゆっくりと減らしていく「二人三脚」の治療が、お子さんの肌を守る最大の近道です。
武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科では、ただ「このお薬を出しておきますから、塗っておいてください」と処方箋をお渡しするだけの診療は決して行いません。看護師による軟膏の塗り方指導も行っています。
「このくらいの量を、このようにお子さんのお肌に乗せるように塗ってくださいね」
「今は良くなっていますから、今日からお薬の回数を1日おきに減らしてみましょう」
医学的なエビデンス(根拠)やガイドラインを大切にしながらも、親御さんが抱える疑問や不安に寄り添い、わかりやすい言葉で丁寧に説明することを何より大切にしています。
保湿や軟膏治療などをおこなってもコントロールが難しいアトピー性皮膚炎にたいしてデュピクセントによる注射治療も行っています。
子育てで忙しい毎日の中、お薬を塗るのは本当に大変なことだと思います。
「もしかしてアトピーかも?」「今のスキンケアで合っているのかな?」と不安に思われたら、お気軽に当院の皮膚科外来にご相談にいらしてください。お子様はもちろん、成人を対象とした親御さんの皮膚科診療も行っております。
今年の秋・冬は、正しいスキンケアと治療で、ご家族一緒にスベスベ・ツルツルのお肌を守っていきましょう!
※本記事は、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインや国立成育医療研究センターなどの公的な医学的根拠、および厚生労働省の医療広告ガイドラインを遵守して作成しております。ただし、症状の経過や治療の効果には個人差があります。インターネット上の情報だけで自己判断せず、実際の症状については必ず医師の直接の診察をお受けいただきますようお願いいたします。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)
© Morino Kodomo Clinic
