【RSウイルスから赤ちゃんを守る】RSV重篤化予防薬「エヌフロンシア」とは?接種を検討すべき5つのケースと小児科医の本音 - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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【RSウイルスから赤ちゃんを守る】RSV重篤化予防薬「エヌフロンシア」とは?接種を検討すべき5つのケースと小児科医の本音 - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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【RSウイルスから赤ちゃんを守る】RSV重篤化予防薬「エヌフロンシア」とは?接種を検討すべき5つのケースと小児科医の本音

こんにちは。
「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」で日々、子どもたちとご家族に寄り添っている小児科専門医の「くま先生」です。

「RSウイルス」という名前、子育て中のパパ・ママなら一度は耳にしたことがあるかもしれません。在胎36週未満の早産児や先天性疾患を持つあかちゃん、ダウン症候群の赤ちゃんなどは保険診療にてシナジスやベイフォータスで重篤化予防されています。そのような状況において、実は、RSウイルスで入院する赤ちゃんの約90%は、もともと持病のない「健康な赤ちゃん」になっています。

これまで、健康な赤ちゃんをRSウイルスの重症化から守る手段は限られていましたが、2026年6月、新しい予防の選択肢となる「エヌフロンシア(一般名:クレスロビマブ)」というお薬が承認されました。
当院でも準備ができ次第、このブログ改訂にてご連絡させていただきます。

このお薬は健康保険が適用されない「自費接種(自由診療)」となるため、費用負担が生じます。全員に「絶対に打ちましょう!」とは考えていませんが、自費接種であるからこそ、「この状況なら、自費であっても強力なお守りとして検討してほしい」という明確なケースがあります。

今回は、「我が子に打つべき?」と悩む親御さんへ、検討をおすすめしたい5つのケースと、この新薬の意義についてお話しします。

⏱️ 忙しい方のためのまとめ(3つの要点)

  • RSウイルスの新しい予防選択肢
    1回の投与で約5〜6か月間(1シーズン)、健康な赤ちゃんを重症化から守る新薬「エヌフロンシア(自費接種)」が承認されました。
  • 投与したその日から効果が期待でき、1回の投与で1シーズン(約5〜6か月間)効果が持続安定した高い入院予防効果(8割超)
  • 既存薬との違いは「ウイルスの急所」
    従来薬とは異なり、ウイルスの変異しにくい部位を標的とするため、耐性ウイルス対策としても期待される頼もしいお薬です。
  • こんなご家庭は「お守り」として検討を
    上の子が保育園・幼稚園に通っている、妊婦向けワクチン(アブリスボ)が間に合わなかった、入院による「ご家庭の負担(ワンオペ・仕事の長期休み等)」を絶対に避けたい方におすすめします。

「お守り」として接種を検討してほしい5つのケース

① アブリスボ(妊婦向けRSウイルスワクチン)を打ったが、2週間以内に出産した方
お母さんが妊娠中に「アブリスボ」を接種しても、赤ちゃんに十分な免疫が移行するまでには約2週間かかります。もし接種から2週間以内に出産となった場合、生まれた赤ちゃん自身にエヌフロンシアを投与して、免疫の隙間をカバーすることができます。

② アブリスボを打ちそびれた、または「2人目妊娠」でどうすべきか迷っている方
2人目以降の妊娠でも「まずは妊婦さんへのアブリスボ接種」が基本となりますが、もし体調やスケジュールの都合で接種のタイミングを逃してしまった場合、生まれた赤ちゃんへのエヌフロンシア投与が有力なバックアップとなります。

③ 上の子が保育園や幼稚園に通っている方
2人目以降の育児で最も悩ましいのが、上の子が持ち帰るウイルスです。家の中で兄弟を隔離し、新生児への感染を防ぐことは現実的に不可能です。家庭内感染のリスクが高い環境下では、赤ちゃんを守るための非常に確実な防衛手段となります。

④ 流行期(以前は秋~冬、現在は春~秋)に出産予定、または生後まもなく流行期を迎える方
RSウイルスの流行期は年によって異なりますが、ここ数年は春から秋にかけて流行がみられています。この流行期に「最も重症化しやすい時期(生後3か月未満)」を迎える赤ちゃんにとって、退院前などにエヌフロンシアを投与しておくことは、非常に心強い備えになります。

⑤ 入院による「ご家庭の機能停止」を避けたい方(共働き・ワンオペ等)
ゼロ歳児が入院すると、24時間の付き添いが必要となるケースも多く、親御さんは10日前後お仕事を休むことになります。残されたご家族もワンオペ状態となり、家庭機能がストップしてしまうケースを多く見てきました。この自費の費用は、ご家族の日常、お仕事、そして上の子の笑顔を守る「投資」としての価値が十分にあります。

なぜ、小児科医は「RSウイルス」をそこまで警戒するのか?

ここまでケースをお伝えしてきましたが、「そもそも、ただの風邪でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、生後6か月未満の乳児にとっては話が全く違います。

赤ちゃんの細気管支は、つまようじの先ほどの太さしかありません。そこにRSウイルスによって炎症が起きると、分泌物(痰)や腫れで気道が簡単に塞がってしまいます。1歳未満の約50人に1人が入院を経験しており、これはインフルエンザの約10倍の入院率とも言われています。

以前、ある秋の終わりのこと。生後1か月の男の子を抱いたお母さんが、血相を変えて当院に駆け込んできました。

「上の子が咳の強い風邪をひいていましたが、元気そうなので『いつもの風邪』だと思っていました。そしたら今朝から下の子がゼーゼーし始めて・・・」

赤ちゃんは呼吸が荒く、のど元がペコペコへこむ危険な状態で、体内の酸素レベルも低下していました。すぐに救急車で大きな病院へ搬送となり、10日間程度の入院治療を余儀なくされました。

退院の日、お母さんは「上の子の風邪をうつして本当に申し訳ない」と涙をこぼしていました。私は「ご家族が悔やむ点はないですよ。上の子の風邪を新生児にうつさないなんて不可能です」とお伝えしましたが、心の中では「もっと早く新しい予防薬が普及していれば、この入院は防げたかもしれないのに」と強く感じました。

新薬「エヌフロンシア」の強みと既存薬との違い

このような悲しい思いを減らすために登場したのが「エヌフロンシア」です。 これはワクチンではなく、RSウイルスから体を守る「抗体」そのものを直接赤ちゃんの体に届ける注射薬です。投与したその日から効果が期待でき1回の投与で1シーズン(約5〜6か月間)効果が持続安定した高い入院予防効果(8割超)を維持しているのがエヌフロンシアの大きな特徴です

【既存薬「ベイフォータス」との違いは?】
すでに日本には「ベイフォータス」というお薬がありますが、エヌフロンシアは「ウイルスをブロックする(結合する)場所」が異なります。 ウイルスは薬をすり抜けようと形を変える(変異する)性質がありますが、エヌフロンシアが狙うウイルスの部位(鍵穴B/Site IV)は、ウイルスの遺伝子配列の中でも約99.8%形が変わらない「本当の急所」であることがわかっています。 そのため、ウイルスに逃げ道を与えにくく、将来的な耐性ウイルスへの対策としても非常に期待されているのです。

最後に

子育ては予測不可能なことばかりです。どれだけ気をつけていても、風邪をひくことはあります。 だからこそ、「防げる大病は、あらかじめスマートに防いでおく」という選択肢を知っていただきたいのです。

自費診療のご案内にはなりますが、「知っていれば打ったのに……」という後悔の涙を流す親御さんを、1人でも減らしたいと思っています。これから出産を控えた妊婦さんや、2人目の育児に挑むご夫婦。ぜひ一度、パートナーの方と「我が家はどうやってこの子を守ろうか?」と話してみてください。

そのテーブルに、この「エヌフロンシア」という新しい選択肢をそっと並べてもらえたら、お節介な小児科医としてこれほど嬉しいことはありません。いつでも、お気軽に当院までご相談ください。

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院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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