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はじめに
お注射で泣いてしまうお子さんに悩む保護者の方へ
「予防接種のたびに大泣きしてしまい、病院に連れて行くのが憂鬱」
そんなお悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
予防接種は、お子さんを重篤な感染症から守るために欠かすことのできない重要な医療処置です。しかし、注射に伴う痛みや恐怖心はお子さんにとって大きな負担となり、時には「病院=怖い場所」という苦手意識やトラウマに繋がってしまうこともあります。
注射のつらさは、皮膚に針が刺さる物理的な痛みだけでなく、「何をされるか分からない不安」「身体を押さえつけられる怖さ」「過去の痛みの記憶」といった心理的な要因が大きく影響しています。
私たち「武蔵小杉 森のこどもクリニック 小児科・皮膚科」では、お子さんの心身の負担を少しでも減らすため、小児科専門医の立場から医学的エビデンス(根拠)に基づいた処置や専用機器を取り入れ、可能な限り痛みを和らげる取り組みを行っています。
本記事では、当院ならではの「痛み軽減の取り組み」と、お子さんの不安を和らげるために「ご家庭で実践していただきたい具体的な関わり方」について詳しく解説します。
<忙しい方のためのまとめ>
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当院では、お子さんの年齢や成長段階に合わせて、国際的にも効果が実証されている鎮痛法やサポート機器を導入しています。
生後2か月の「ワクチンデビュー」や生後3か月の予防接種において、当院ではご希望の方に「ピーレスケア®ショ糖24%」(自費:税込100円)をご用意しています。
【医学的背景】
乳児に対する「甘い物質」の鎮痛効果は、多くの国際的研究で証明されています。例えば、1〜12か月の乳児の予防接種に関するシステマティックレビュー(Harrisonら)によると、接種前にショ糖やブドウ糖をお口に含むことで、水や何もしない場合と比較して「接種後に泣く頻度が20%減少」「泣く時間が平均約12秒短縮」することが示されています。これは、甘味の刺激によって脳内からエンドルフィン(痛みを和らげる物質)が放出され、痛みの感度を下げるためと考えられています。

注射針が刺さる瞬間の痛みを紛らわせるため、当院では保冷材や「Buzzy Mini(バジーミニ)」の貸し出しを行っています。
【Buzzy Mini(バジーミニ)とは?】
冷やしたアイスパック(冷却)と、可愛いハチの形をした本体からの高速振動(バイブレーション)を同時に注射部位の近くへ当てる医療用機器です。これは生理学的な「ゲートコントロール理論」に基づいています。冷たさや振動といった刺激は、痛みよりも早く脳へ伝わるため、遅れてやってくる痛みの信号を脳の手前でブロック(遮断)する働きがあります。特に幼児から年長児において、高い効果が報告されています。

「注射の痛みをよりしっかりと抑えたい」「どうしても注射が苦手」というお子さんには、貼付型の局所麻酔剤「エムラパッチ」をご案内しています(自費:1枚550円)。
<方法>
事前に当院にてエムラパッチを購入していただきます。来院の約1時間前に、ご自宅で注射予定部位にシールのように貼付していただきます。麻酔成分が皮下組織まで浸透することで、針が刺さる際の痛みを大幅に軽減することが可能です。
※注意点:薬液が体内に注入される際の圧迫感などは一部残ること、また初回使用時は皮膚の赤みやアレルギー症状への注意が必要となります。
痛みの捉え方や恐怖を感じる理由は、年齢(発達段階)によって大きく異なります。当院では、お子さんの成長に合わせたアプローチを推奨しています。
【乳児期(0〜1歳頃)】
特徴
言葉による説明はまだ理解できませんが、感覚的な刺激や「抱っこ」による安心感が直接的に痛みを和らげます。
対策
甘味溶液(ショ糖液)の活用のほか、接種直後の授乳や抱っこが非常に効果的です。保護者の方の身体にぴったり密着させることで心身が安定します。また、複数本を同時接種する場合は、当院の医師が「痛みの強いワクチンを最後に回す」など、負担を減らす工夫を行っています。
【幼児期(1〜6歳頃)】
特徴
「何のためにされるのか分からない恐怖」や「身体を押さえつけられる怖さ」が痛みを増幅させやすい時期です。
対策
Buzzy Miniや保冷材を活用しつつ、「ディストラクション(気をそらす工夫)」を併用します。お気に入りの絵本や動画を持参したり、好きなキャラクターの話をしたりするのがおすすめです。また、隠さずに「チクッとするけど、すぐ終わるよ」と見通しを持たせることが安心に繋がります。
【学童期(小学生以上)】
特徴
注射の必要性を頭では理解できる反面、過去の経験や想像力から強い緊張感を抱くことがあります。
対策
事前になぜ予防接種が必要かを説明し、納得してもらうことが大前提です。
さらに、「右腕と左腕、どっちにする?」「注射を見ている方がいい?見ない方がいい?」といった小さな選択肢をご本人に与えることが効果的です。「自分で選んだ」という自己コントロール感を持つことで、不安や恐怖心が大きく和らぎます。

Geminiにて作画
院内での痛み軽減の工夫と同じくらい大切なのが、ご家庭での事前準備や声かけです。小児科医として、保護者の皆様にぜひ意識していただきたい3つのポイントをお伝えします。
① 接種を受ける理由を、あらかじめ説明して「納得」させる
行き先や目的を知らせずに連れてくると、お子さんは「騙された!」と感じて強いパニックを起こしてしまいます。「ばい菌から〇〇ちゃんの身体を守るために、大切なお注射をするんだよ」と、年齢に合わせて事前に伝えてあげてください。心の準備が整うことで、お子さん自身の「がんばろう」という力を引き出すことができます。
② 「痛くないよ」「何もしないよ」という嘘はつかない
お子さんを落ち着かせようとしてつい言いがちですが、これは逆効果です。実際には痛みを伴うため、「お母さん(お父さん)に嘘をつかれた」という不信感が残り、次回からの恐怖心が何倍にも膨らんでしまいます。「少しチクッとするけれど、一瞬で終わるよ」と正直に伝え、終わった後は「よくがんばったね!えらかったね!」と大げさなほどに褒めてあげてください。
③ 普段から「悪いことをすると、お医者さんにチックンされるよ」と脅さない
日常のしつけの中で、「言うことを聞かないと注射してもらうよ」といった言葉を使うのはお控えください。予防接種が「悪いことをした時の罰」として認識されてしまい、病院や医師に対して強い恐怖や拒絶反応を示す原因になります。予防接種は「健康でいるための味方」であることを、普段から伝えていただければ幸いです。
予防接種に伴う「痛み」や「恐怖」は、クリニックでの適切な処置と、ご家庭での温かい関わり方によって、確実に和らげることができます。
「武蔵小杉 森のこどもクリニック 小児科・皮膚科」では、ピーレスケア®ショ糖液やBuzzy Mini、エムラパッチなどの選択肢をご用意し、お子さんが少しでもリラックスして接種を受けられる環境づくりに努めています。「うちの子は注射が本当に苦手で…」というご相談も大歓迎です。
痛み軽減の処置をご希望の方や、ご不安な点がある方は、受付やWeb問診の際に、どうぞご遠慮なくスタッフまでお申し付けください。大切なお子さんの健康を、私たちと一緒に守っていきましょう。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)
© Morino Kodomo Clinic
