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【皮膚科専門医が解説】お子様のアトピー性皮膚炎でお悩みの方へ。新しい治療の選択肢「デュピクセント」とは

今回はアトピー性皮膚炎の新しい治療法についてお話しします。

毎日の「お薬塗り」に疲れていませんか?

「毎日お薬を塗っているのに、子供が夜中にかゆがって起きてしまう」

「朝起きるとシーツに血がついていて、見ているのが辛い」

「ステロイドをずっと使い続けるのが不安…」

アトピー性皮膚炎のお子様を持つ親御さんから、このような切実なお悩みを本当によく伺います。毎日のお薬塗りは、逃げ回るお子様をなだめながらの作業になることも多く、親御さんにとってもお子様にとっても本当に負担の大きいものです。

これまでアトピー性皮膚炎の治療といえば、保湿剤によるスキンケアと、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏・モイゼルト軟膏・コレクチム軟膏といった塗り薬で炎症を抑える治療が基本でした。しかし、それらをしっかり塗っても十分に症状がコントロールできない、いわゆる「難治性」のケースが一定数存在します。

そこで、新しい治療の選択肢として小児領域でも活躍しているのが「デュピクセント(一般名:デュピルマブ)」という注射のお薬です。

デュピクセントとはどんなお薬?

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」や「炎症」、そして「皮膚のバリア機能低下」の原因となる「IL-4(インターロイキン4)」と「IL-13(インターロイキン13)」という物質の働きを直接ブロックする、生物学的製剤と呼ばれる新しいタイプのお薬です(※1)。

以前はこのお薬は15歳以上の大人にしか使えませんでしたが、安全性が確認され、現在(2023年9月以降)は「生後6ヶ月以上」のお子様にも保険適用で使えるようになっています。

当院でもアトピー性皮膚炎に対してデュピクセントを導入するケースが増えており、治療を継続することで「かゆみで起きることなく朝まで眠れるようになった」「肌の露出に対する心理的な負担が減り、前向きに洋服を選べるようになった」など、お子様とご家族の生活の質(QOL)が大きく向上する傾向が見られ、私自身も大変嬉しく感じています。

年齢ではなく「体重」で変わる投与量

親御さんからよく「年齢によって注射の量は違うの?」とご質問をいただきます。

実はデュピクセントの小児への投与方法は、年齢ではなく「体重」を基準にして、1回の接種量や接種間隔が細かく決められています(※2)。わかりやすく表にまとめました。

体重 初回投与量 2回目以降の投与量 2回目以降の接種間隔
5kg以上〜15kg未満 200mg 200mg 4週間隔
15kg以上〜30kg未満 300mg 300mg 4週間隔
30kg以上〜60kg未満 400mg 200mg 2週間隔
60kg以上 600mg 300mg 2週間隔

【具体例】

  • 体重が12kgの1歳の赤ちゃんの場合

    一番上の段に当てはまるため、「4週間に1回、200mgの注射」を行います。月に1回のペースとなります。

  • 体重が35kgの小学生のお子さんの場合

    下から二段目に当てはまります。「最初は400mgを注射し、その後は2週間に1回、200mgを注射する」という形になります。

お子様が成長して体重の区分が変わった場合には、医師がしっかりと確認し、それに合わせてお薬の量や間隔を調整していきますのでご安心ください。

治療を始める前に知っておいていただきたい3つのこと

デュピクセントは非常に優れたお薬ですが、いくつか大切なポイントがあります。

  1. 塗り薬や保湿は引き続き必要です

    注射だけで全てが解決するわけではありません。お肌のバリア機能を正常に保つため、日々の保湿剤や、炎症が残っている部分への塗り薬(ステロイドなど)は、医師の指示に従って併用していく必要があります。

  2. 小児医療費助成の対象になります

    生物学的製剤は非常に高価なお薬であるため、費用面を心配される親御さんも多いです。しかし、デュピクセントは保険適用の治療であり、お住まいの自治体(川崎市など)の「小児医療費助成制度」が適用されます。対象年齢のお子様であれば、多くの場合、自己負担が大幅に軽減された状態で治療を受けていただくことが可能です。

  3. ご自宅での「自己注射」が可能です

    最初はクリニックで私たちが注射を行いますが、毎回通院するのが難しいご家庭も多いと思います。一定の条件を満たし、クリニックでしっかりと打ち方の指導を受けていただいた後は、ご自宅で親御さんが注射をしてあげること(自己注射)が可能です。

ひとりで悩まず、まずはご相談を

アトピー性皮膚炎の治療は、医学の進歩により大きく変わってきています。昔は「大人になるまで我慢するしかない」と言われていたような強い症状でも、今では新しい治療法によってかゆみをコントロールし、当たり前の日常を送れる時代になってきました。

少しでもご不明な点やご不安なことがあれば、ご家族だけで悩まずに、一度当院までご相談ください。お子様一人ひとりの肌の状態や、ご家族のライフスタイルに合わせた最適な治療プランを、一緒に考えていきましょう。

※1 参考:日本皮膚科学会『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021』

※2 参考:サノフィ株式会社 デュピクセント添付文書

※本記事は2026年6月時点の医療情報・添付文書に基づいて作成しています。治療の効果や副作用には個人差がありますので、必ず医師の診察を受けた上でご判断ください。

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当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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