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当院の定点観測データに基づく、地域の感染症週報「もりのこIDWR」をお届けします。
※IDWR=Infectious Disease Weekly Report
雨や台風が続いた梅雨が終わりに近づき、本格的な夏の到来を感じます。
勢いを増しているのが「夏かぜ」たち、そして新たな脅威です。手足口病/ヘルパンギーナが119件と、先週から4倍以上に爆発的に増加し、地域で大流行しています。また、久しぶりに確認されたマイコプラズマ肺炎で「マクロライド耐性遺伝子陽性」という非常に重要な情報が判明しました。日本専門医機構認定小児科専門医の視点から正しい対策と警戒ポイントをお伝えします。
【忙しい方のためのまとめ】
「手足口病・ヘルパンギーナ」の独走状態です。胃腸炎も高水準で、脱水への警戒が不可欠です。
【当院の診断数】
手足口病/ヘルパンギーナ:119件 🔴(先週28件から急増!爆発的大流行です)
急性胃腸炎(嘔吐下痢):30件 🔴(高水準維持。お腹の風邪も依然として多い)
溶連菌感染症:6件 🟡(横ばい。喉の痛みに注意)
水痘(水ぼうそう):3件 🟡(小流行中)
ヒトメタニューモウイルス:2件 🔵(落ち着いています)
アデノウイルス:2件 🔵(落ち着いています)
マイコプラズマ:1件(マクロライド耐性遺伝子陽性) ⚠️(重要トピックス。耐性菌に警戒)
RSウイルス感染症:0件 🔵🎉(ゼロ維持!)
COVID-19:0名 🔵🎉(ゼロ継続!)
インフルエンザA/B型:0件 🔵🎉(ゼロ継続!)

今週は診察室が手足口病のお子さんで溢れかえり、私たちスタッフも大流行を肌で感じています。親御さんから寄せられた不安な声にお答えします。
1. 手足口病119件は、昨年のピーク時の約3倍です
当院のデータ(2025年7月ピーク時約40件(当院))と比較しても、今回の119件は異常な規模の爆発的流行です。「地域にウイルスが充満している」と言っても過言ではありません。手洗いやタオルの共有禁止など、基本の感染対策を徹底してください。
下のグラフは、お隣である東京都の感染症情報センターの報告です。2025年の推移とくらべて今年の感染者数がいかに大きく推移しているかがわかります。

2. 口の痛みが脱水症をひきおこすことも
ヘルパンギーナや手足口病では、喉の奥に強い水ぶくれができるため、唾液を飲み込むことも拒むほど痛がることがあります。脱水を防ぐことが最大のホームケアです。「少量ずつの水分補給」を徹底し、「おしっこが半日以上出ていない」「ぐったりしている」場合は、夜間でもためらわずに受診してください。
3. マイコプラズマの「マクロライド耐性」とは「通常、最初の薬が効かない可能性」です
久しぶりに確認されたマイコプラズマで「マクロライド耐性遺伝子陽性」という結果が出ました。これは、通常マイコプラズマの第一選択薬となる「マクロライド系抗生物質(薬剤名だとクラリス、ジスロマックなど)」が効かない、あるいは効きにくい可能性が高いことを意味します。別の抗生物質(ニューキノロン系など)を選択する必要があるため、咳が長引く場合は当院へご相談ください。
Q1. 手足口病で口が痛くてお茶も飲めません。どうすれば良いですか?
A. 「常温または少し冷やした水、ゼリーなど」「少量ずつ、回数を多く」が鉄則です。
痛がるときは、常温の水や少し冷やした水(OS-1などの経口補水液がベスト)、ゼリーなどを、ティースプーン1杯から、あるいはストローで1口ずつ、3〜5分おきにこまめに飲ませてください。一気に飲ませると、飲み込む痛みが強くて拒否反応が強くなります。ヨーグルトや冷めたうどんなど、のど越しの良いものもおすすめです。
Q2. 手足口病は大人にもうつりますか?
A. はい、しっかりとうつります。
お子さんが手足口病と診断された後、お父さんやお母さんも「喉が焼けるように痛い」「高熱が出た」「手足に発疹が出た」という症状で受診されるケースがよくあります。大人が感染すると仕事に支障が出るほど辛いこともありますので、看病の際はマスクを着用し、お子さんの食べ残しを食べないように注意してください。
Q3. 今年は手足だけでなく、おしり(臀部)にもひどい水ぶくれができると聞きました。本当でしょうか?
A. はい、その通りです。今年は「コクサッキーウイルスA6型」というタイプが流行の主流となっている可能性が高いと考えられます。
手足口病の原因となるウイルスにはいくつか種類がありますが、国立感染症研究所(NIID)の過去の疫学データ等に基づくと、「コクサッキーウイルスA6型(CA6)」が流行する年は、従来よりも水疱(水ぶくれ)が大きく、手足や口の中だけでなく、おしり(臀部)や腕、足全体など広範囲に出現しやすいという特徴があります。当院の診察室でも、おしりに痛々しい発疹が多数みられるお子さんが非常に多い印象です。 また、CA6型に感染した場合、治癒してから1〜2ヶ月後に手足の爪が浮いて剥がれること(爪甲脱落症)があります。驚かれるかもしれませんが、自然に新しい爪が生えてきますのでご安心ください。発疹が広範囲に出ても、基本的なケア(痛みの少ない食事やこまめな水分補給)は変わりません。
Q4. マイコプラズマで1件出たとのことですが、耐性菌だと入院が必要ですか?
A. いいえ、必ずしも入院が必要ではありません。
マクロライド耐性菌であっても、別の抗生物質(ニューキノロン系など)が効果を示します。重要なのは、咳が長引いたり高熱が続いたりする場合に「耐性菌を疑い、適切な薬に切り替えること」です。ただし、脱水がひどい、呼吸が苦しい、という場合は、耐性・感受性に関わらず入院加療(点滴など)が必要になることがあります。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)
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