ブログ
Blog
Blog
「最近、うちの子の口のまわりが赤くなってヒリヒリしてるんです。舐めちゃうんです。。。」
このようなお悩み、冬場の外来ではとてもよく聞かれます。じつはこれ、「舌なめずり皮膚炎(なめまわし皮膚炎)」という、子どもに多い皮膚トラブルかもしれません。
今回は日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の立場から、「なぜ起こるの?」「どうすればいいの?」「放っておいても大丈夫?」など、親御さんが知っておきたいポイントをわかりやすく解説していきます。
舌なめずり皮膚炎とは、その名の通り唇や口のまわりをくり返しなめることで起こる皮膚炎です。英語では「lip licker’s dermatitis(リップ・リッカーズ・ダーマタイティス)」と呼ばれています。
最初は乾燥や軽いかゆみで唇をなめるだけなのですが、なめる → 乾く → またなめる、という悪循環をくり返すうちに、どんどん赤くただれていきます。
唇のまわりが赤くなる
皮がむけてカサカサ
ヒリヒリ・かゆみ
周囲になめたような光沢感
一見すると「口のまわりだけアトピーかな?」と思われがちですが、なめた範囲がくっきり赤くなるのが特徴です。
ChatGPTで作成
冬の乾燥
→ 口のまわりがカサカサしやすく、なめたくなる。
子どもは我慢が苦手
→ 大人のように「なめちゃダメ」と理性で止められない。
風邪や鼻づまり
→ 口呼吸で乾燥が進み、無意識になめてしまう。
さらに、マスクによる蒸れとこすれも、最近では悪化の原因のひとつになっています。
軽症であれば自然に治ることもありますが、放置すると…
皮膚が厚くなって慢性化
色素沈着や赤みが長引く
さらにかゆくなってなめる頻度が増える
つまり、早めの対応がカギです!
ワセリンやリップクリームをこまめに塗る
→ 保湿だけでなく、皮膚を“なめにくく”するバリアになります。
「なめると痛くなるよ」と優しく説明
→ 年齢に応じて、なぜいけないかを伝えることも大切です。
マスクを活用する(保湿+なめ防止)
→ 園や学校でできる場合は効果的。
炎症が強い場合は、弱めのステロイド外用薬を短期間使うことで、早く治すことができます。自己判断で市販薬を使うよりも、皮膚科での診断をおすすめします。
赤みやただれがどんどん広がっている
ヒリヒリして食事もつらそう
なかなか治らない、くり返す
こうした場合は、ほかの皮膚病(アトピー、口囲皮膚炎、口囲カンジダなど)との見極めも必要になるため、一度専門医に診てもらいましょう。
👶 舌なめずり皮膚炎は、子どもによくある皮膚トラブルです。
💧 原因は「なめる → 乾燥 → またなめる」の悪循環。
🏠 予防と早期ケアが大切で、保湿+“なめさせない工夫”がポイント!
🏥 悪化した場合は、迷わず皮膚科へ。
子どもがついやってしまうクセだからこそ、怒らず、見守りながら、少しずつ改善へ導いてあげましょうね。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)