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赤ちゃんが生後すぐに受けるビタミンKシロップの内服。これは「ビタミンK欠乏性出血症」という命にかかわる出血を防ぐためにとても重要です。最近では、従来の3回法から「13回法」という新しい内服方法が推奨されています。本記事では、その経緯や親御さんが感じる疑問への答えを詳しく解説します。
ビタミンKは血液を正常に固めるために必要な栄養素です。赤ちゃんは出生時、母体から十分なビタミンKを受け取ることができず、「ビタミンK欠乏性出血症」のリスクがあります。この出血症は脳や消化管での出血を引き起こし、時には命に関わることもあります。そのため、ビタミンKシロップの服用は欠かせません。
従来の3回法(出生時、1週間後、1カ月健診時)では、ビタミンK欠乏性出血症を完全には防ぎきれないケースが報告されました。特に母乳栄養児は、母乳中のビタミンK含有量が少ないため、3回法でも出血症が発生するリスクがありました。このため、より効果的な予防策として、生後3カ月まで週1回計13回に分けて服用する「13回法」が推奨されるようになったのです。
Q1: 飲み忘れた場合はどうすればいいですか?
→ 飲み忘れても慌てず、気づいた時点で速やかに服用してください。その後は通常のスケジュールに戻して問題ありません。万が一、数回連続で忘れた場合は小児科に相談しましょう。
Q2: シロップをこぼしてしまったら?
→ こぼしてしまった場合は、再度適切な量を飲ませてください。ただし、服用量が多すぎると体に影響が出る可能性があるため、疑問があれば医師に確認することをおすすめします。
Q3: なぜ母乳栄養児は注意が必要なのですか?
→ 母乳にはビタミンKの含有量が少なく、母乳栄養児はミルク栄養児よりもビタミンK欠乏性出血症のリスクが高まるからです。したがって、13回法の継続が特に重要です。
Q4: 他のビタミン剤で代用できますか?
→ いいえ、代用はできません。ビタミンK欠乏性出血症を予防するためには、専用のビタミンKシロップが必要です。
ビタミンKシロップの内服は、赤ちゃんの命を守る重要な取り組みです。13回法が提案されたのは、より確実にビタミンK欠乏性出血症を防ぐため。飲み忘れやこぼしてしまった時の対応も含めて、安心して続けられるよう小児科でしっかりサポートいたします。疑問があれば、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
<参考>
日本小児科学会「新生児と乳児のビタミン K 欠乏性出血症発症予防に関する提言」
川崎市中原区
アクセス:武蔵小杉、新丸子、元住吉、武蔵中原
武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
院長 大熊 喜彰
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)