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暑くなってくると、保育園や幼稚園でよく耳にする「ヘルパンギーナ」や「手足口病」。どちらも夏に流行するウイルス感染症で、まとめて「夏風邪」とも呼ばれます。似たような症状であるため、親御さんから「違いがよく分からない」とご相談いただくことが多いです。
今回は、日本小児科学会認定小児科専門医として、ヘルパンギーナと手足口病の特徴や見分け方、ご家庭でのケア方法について分かりやすくお話しします。
ヘルパンギーナは、主に「コクサッキーウイルスA群」によって起こるウイルス感染症です。特に1歳〜4歳くらいまでの乳幼児に多く見られますが、学童でも
突然の高熱(38〜40℃)
のどの奥(口蓋垂の周囲)に水ぶくれや小さな潰瘍(かいよう)ができる
食べたり飲んだりすると「のどが痛くてつらい」
機嫌が悪く、よだれが増えることも
熱は1〜3日で下がることが多いですが、のどの痛みはその後も続く場合があります。
一方、手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどが原因で起こります。ヘルパンギーナと同様に夏に流行しますが、1歳以上の幼児〜小学生までと幅広い年齢層に見られます。
手のひら、足の裏、口の中に小さな水ぶくれ(発疹)ができる
微熱~高熱程(出ないことも)
口の中の水ぶくれが痛くて食べにくくなることもある
手足やおしりなどにポツポツと発疹が見られるのが特徴です。かゆみはあまりないことが多いですが、水ぶくれが破れてジュクジュクすることも。
特徴 | ヘルパンギーナ | 手足口病 |
---|---|---|
主なウイルス | コクサッキーA群 | コクサッキー、エンテロウイルスなど |
発熱 | 高熱(38〜40℃) | 微熱〜高熱(熱がないことも) |
発疹の部位 | のどの奥に水ぶくれ | 手・足・口など |
食欲低下 | のどの痛みで強く出やすい | 痛みによりやや食べにくいことも |
登園・登校 | 解熱して元気になれば登園可能 | 解熱して元気になれば登園可能 |
どちらの病気もウイルス感染症のため特効薬はありません。自然に治るのを待つしかないのですが、症状を和らげるための対症療法が大切です。
水分補給をしっかりと!(こまめに少しずつ)
痛みがある場合は冷たい飲み物やゼリーなど、のどごしのよいものを
食事は無理に食べさせず、子どもが食べやすいものを選んで
熱が高くてぐったりしているときは、小児科で解熱剤を処方してもらうのも一つの手です
以下のような場合は、すぐに小児科を受診してください。
水分がとれず、尿の量が少ない
熱が3日以上続いている
嘔吐やけいれん、ぐったりしている
発疹がひどく広がっている、かゆみが強い
これらのウイルスはくしゃみや唾液、排便の中にウイルスが含まれています。また、治ったあとも1〜2週間ほど便の中にウイルスが出続けることがあります。
そのため、
手洗いを徹底する(特にオムツ替えの後)
タオルや食器は共用しない
登園・登校は医師の指示を仰ぐ
といった配慮が大切です。
ヘルパンギーナと手足口病は、どちらも夏に流行しやすい子どもの感染症です。症状は似ている部分もありますが、特徴やケアの方法に少し違いがあります。大切なのは、子どもの様子をよく観察し、無理をさせず、必要なときに小児科を受診することです。
おうちでのケアで不安なことがあれば、遠慮せずにご相談くださいね。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)