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「朝起きられない…」それは「怠け」ではありません。増える「起立性調節障害」について、日本専門医機構認定小児科専門医が解説

先日、ライブドアニュースで「起立性調節障害(OD)」に関する記事を目にしました(参考記事)。 記事をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、この病気、実は今とても増えているのです。

「学校に行きたいのに、体が動かない」
「朝、どうしても起きられず、午後になると元気になる」

もし、お子さんがこのような状態で、周囲から「ただの夜更かし」「怠けているだけ」と誤解されてしまっているとしたら、それはお子さんにとっても、見守る親御さんにとっても本当に辛いことだと思います。

今日は、年間多くのOD(起立性調節障害)の患者さんと向き合っている当院の立場から、この病気の正体と、当院での取り組みについて、少し詳しくお話しさせてください。


起立性調節障害(OD)とは?

一言でいうと、「自律神経のバランスが一時的に乱れてしまう病気」です。

私たちの体は、立ち上がった時に血液が重力で下に下がらないよう、自律神経が血管をキュッと締めて、血液を心臓や脳に送り返す仕組みを持っています。 しかし、思春期のお子さんは身体の成長に自律神経の発達が追いつかず、この調整がうまくいかないことがあります。その結果、脳への血流が不足し、立ちくらみや強い倦怠感、朝起きられないといった症状が現れるのです。

重要なのは、これは「気合い」や「根性」の問題ではなく、身体のメカニズムの問題(病気)であるということです。

こんなサインはありませんか?(セルフチェック)

日本小児心身医学会の基準を紹介します。これらの項目のうち3つ以上当てはまる、あるいは2つであっても症状が強いなどの場合、起立性調節障害を疑います。
ほかの病気ではないことを確認した後、新起立試験(10分間安静の状態で横になった後に起立し、心拍数や血圧の変化を測定)を行ない、タイプの判定をします。

1.立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
2.立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる
3.入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
4.少し動くと動悸あるいは息切れがする
5.朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.顔色が青白い
7.食欲不振
8.臍疝痛(せいさいせんつう)へその周囲の痛みをときどき訴える
9.倦怠感、あるいは疲れやすい
10.頭痛
11.乗り物に酔いやすい


治療法はあるの?

「病気」とわかれば、対策があります。当院では、エビデンス(医学的根拠)に基づき、以下の3つの柱で治療を進めていきます。

1. 非薬物療法(生活習慣の工夫)

実はこれが最も重要です。

  • 水分・塩分の摂取
    血液の量を増やすために、お水(1.5〜2リットル/日)と少し多めの塩分を摂ることを推奨しています。

  • 適度な運動

  • 起立の工夫
    急に立ち上がらず、頭を下げてゆっくり動く等のコツを指導します。

  • 睡眠リズム・環境の調整(スクリーンタイムを含む)

2. 薬物療法

生活習慣の改善だけでは症状が辛い場合、血圧を上げやすくするお薬(昇圧剤)などを使用します。

3. 漢方薬の活用

お子さんの体質に合わせた漢方薬も使用することがあります。 例えば、胃腸が弱く疲れやすい子、めまいが強い子、それぞれの体質に合わせて処方することで、身体のバランスを内側から整えていきます。


「武蔵小杉 森のこどもクリニック」のOD外来

起立性調節障害(OD)は、診断や治療に時間がかかることもあり、受診のハードルが高いと感じられるかもしれません。当院が多くの患者さんに選ばれている理由を3つご紹介します。

① 豊富な診療実績と専門性

 当院では、年間30〜50人ほどの新規患者さんを診断し、現在も約100名の患者さんのフォローを継続しています。

② 予約が取りやすい「3人体制」

「辛いのに予約が1ヶ月先…」では意味がありません。 当院は常勤医師3名体制で診療にあたっているため、比較的予約が取りやすく、スムーズに受診していただけます。学校に行けず悩んでいるその日に、まずは相談に来てください。

③ エビデンス × 優しさ

診断には「新起立試験」という血圧測定を行いますが、結果の数字だけを見て機械的に薬を出すことはしません。 学校生活での困りごとや親御さんの不安にも優しく寄り添い、わかりやすい言葉で説明します。学校への診断書作成なども連携して行いますので、ご安心ください。


よくあるご質問(FAQ)

受診を迷われている親御さんからよくいただく質問をまとめました。

Q. 何科を受診すればいいですか?
A. まずはかかりつけの小児科にご相談ください。当院では、小学生・中学生はもとより高校生の受診にも対応しています。

Q. 治るまでにどのくらいかかりますか?
A. 個人差がありますが、軽症でも数ヶ月、重症の場合は年単位で付き合うこともあります。しかし、適切な治療と環境調整を行えば、多くのケースで症状は軽くなっていきます。焦らず一緒に歩んでいきましょう。

Q. 学校に行けないのが心配です。
A. 無理に登校させることは逆効果になることが多いです。まずは身体の回復を優先し、午後からの登校や保健室登校など、その子に合ったペースを学校と相談するお手伝いもします。


最後に

起立性調節障害は、見た目には分かりにくい病気です。だからこそ、お子さんも、そして支える親御さんも孤独になりがちです。

「朝起きられない」 もしそれが病気のせいなら、医療の力で楽にしてあげられるかもしれません。

詳細はこちらから 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科 公式サイト
ご予約はお電話(044-739-0888)で承っております。

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当院のSNSでは、小児科・皮膚科に関する役立つ情報や、季節ごとの病気の注意点などを発信しています。ぜひフォローしてください!

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武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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