夏になると、こどもたちが楽しみにしているのがプール。でもその裏で、注意が必要な感染症が増えてくるのをご存じでしょうか？その代表が「プール熱」とも呼ばれる咽頭結膜熱（いんとうけつまくねつ）です。

名前に「プール」とついていますが、プールだけが原因ではありません。こどもがかかりやすく、家族内感染もしやすいため、正しい知識と予防法を知っておくことが大切です。

---

🔍 プール熱ってどんな病気？

「プール熱」は正式には咽頭結膜熱と呼ばれる感染症で、アデノウイルスというウイルスが原因です。このウイルスは種類がとても多く、風邪のような症状を引き起こすこともあれば、胃腸炎や肺炎などを起こすこともあります。通常、6月ころから徐々に流行しはじめ、7～8月にピークとなります。

咽頭結膜熱では、特にのど（咽頭）と目（結膜）に症状が出やすく、以下のような特徴があります。

---

🤒 プール熱の主な症状

• 高熱（38〜40℃）が3日〜5日続く

• のどの痛み（咽頭炎）

• 目の赤みや目やに（結膜炎）

• 全身のだるさ、頭痛、食欲不振

• ときに腹痛や下痢

例えば、5歳の男の子が「目が真っ赤になって、熱も下がらない」と来院されたケースでは、最初は目のかゆみだけだったのが、翌日には高熱とのどの痛みが出て検査でアデノウイルス陽性でした。

---

🦠 どうやってうつるの？

アデノウイルスはとても感染力が強く、

• 飛沫感染（咳やくしゃみ）

• 接触感染（手についたウイルスから目や口へ）

• プールの水を介して感染

など、さまざまな経路で広がります。プール熱と呼ばれるのは、特にプールで目にウイルスが入りやすいから。ですが、実際は家庭内や保育園・幼稚園でも多く広がっています。

---

🏥 治療法はあるの？

残念ながら、アデノウイルスに効く特効薬はありません。そのため、対症療法が基本です。

• 熱が高い → 解熱剤を使う

• のどが痛くて食べられない → 冷たい飲み物やゼリーなどで水分補給

• 目やにが多い → 目を清潔に、必要に応じて目薬

こどもの免疫力によって1週間程度で回復することがほとんどですが、無理をさせず、しっかり休ませることが回復の近道です。

---

🧼 家族でできる予防法

1. 手洗いをしっかり！
   　特にトイレのあとや食事の前、目やにを拭いたあとには念入りに。

2. タオルの共有はNG！
   　目の症状があるときは、タオルや洗面器を分けましょう。

3. 目をこすらないように声かけを
   　こどもはつい目を触ってしまいがちですが、そこから感染が広がります。

---

🏫 登園・登校の目安は？

咽頭結膜熱は学校保健安全法で「第二種感染症」に指定されており、

主な症状が消えてから2日を経過するまでは登園・登校できません。

つまり、熱が下がって、のどや目の症状が改善してからさらに2日間お休みが必要です。たとえば、日曜日に熱が下がって症状もおさまった場合、水曜日から登園可能、ということになります。

---

👨‍⚕️ 最後に

「熱が続くけど、ただの風邪かしら…？」
「熱に加えて目が赤くて目やにが増えてるけど、、、」

そんなときは、自己判断せず、小児科を受診することをおすすめします。

---

🌟まとめ

---

こどもたちが元気に夏を楽しむために、正しい知識と予防を心がけましょう。ご家庭でのちょっとした配慮が、こどもたちと家族を守ります。

＜参考＞
・厚生労働省HP「咽頭結膜熱」
・教えて！ドクター「アデノウイルス感染症（プール熱・結膜炎）」

 

当院の外観写真