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当院の「トラベルワクチン外来」では仕事、その帯同、旅行などで海外渡航するかたが多く受診されています。楽しい海外生活の準備の真っ只中、「そういえば、海外の感染症って大丈夫なのかな…?」と、ふと心配になることもあるかもしれません。
今回は、トラベルワクチン通信として「腸チフス」を説明します。
「腸チフス」は、チフス菌という細菌が原因で起こる感染症です。この菌は、腸の中に住み着いて、熱を出したり、お腹の調子を悪くしたりします。
「チフス」という名前を聞くと、なんだか昔の病気のようなイメージがあるかもしれませんが、実は世界中で年間2,000万人もの人が感染していると言われている、決して珍しい病気ではありません。特に、衛生状態があまり良くない地域、例えばインドやパキスタン、東南アジア、中南米、アフリカなどでは、今でもよく見られる病気です。
腸チフスは、食べ物や飲み物を介して感染することがほとんどです。チフス菌に汚染された水や氷、加熱が不十分な食品(特に生野菜や生の魚介類、カットフルーツなど)を食べたり飲んだりすることで、菌が体の中に入ってしまいます。
イメージしてみてください。例えば、
こういったものが、感染源になる可能性があるんです。
感染してから1~3週間くらい経ってから症状が出ることが多いです。主な症状は、
などです。 最初はただの風邪かな?と思うような症状から始まることもありますが、だんだん熱が下がりにくくなったり、意識が朦朧としてきたりと、重症化すると命に関わることもあります。特に、小さなお子さんの場合は、症状が分かりにくいこともあるので注意が必要です。
海外旅行での腸チフス予防には、いくつかポイントがあります。
もし海外旅行中や帰国後に、熱や体調不良が続くようであれば、すぐに医療機関を受診してください。その際、「海外に渡航していたこと」を必ず医師に伝えてくださいね。腸チフスは抗菌薬で治療できますが、早期発見・早期治療が大切です。
腸チフスは、適切な予防策を取れば防げる病気です。海外旅行は、お子さんにとっても貴重な体験になるはず。旅行前に予防接種を行い、正しい知識を身につけ、万全の準備をして、楽しい思い出をたくさん作ってきてください。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)