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2025年5月、大手の輸入食品取扱店の「生ハム切り落とし」からサルモネラ菌が検出され、自主回収されるニュースがありました(NHK報道)。
そのまま食べることが多い食品だけに、「うちの子は大丈夫?」と心配された方も多かったのではないでしょうか。
この記事では、小児科医としての視点から、サルモネラ菌の正体と家庭でできる対策をわかりやすくご紹介します。
サルモネラ菌は、主に動物由来の細菌です。動物の腸に存在し、ヒトには食品を介して感染します。
国内での発症原因は、鶏肉・卵などの動物性食品に加え、加熱不十分な食品や汚染された加工食品が多く報告されています。
厚生労働省・食品安全委員会の資料によると、日本では夏場(6〜9月)に発生件数が増える傾向にあります。
サルモネラ菌に感染すると、大人でもつらい「腹痛・下痢・発熱・嘔吐」が見られますが、小さなお子さんでは脱水や重症化のリスクが高く、時に入院が必要になることもあります。
特に以下の子どもたちは要注意です:
乳幼児(免疫力が未熟)
抗菌薬や胃酸を抑える薬を服用中の子
原因となる食品 | 家庭での注意点 |
---|---|
生卵・半熟卵 | 小さな子どもには避ける。卵はよく加熱してから食べさせる。 |
加熱不十分な鶏肉 | 中心温度75℃以上・1分以上加熱を確認。電子レンジ使用時も注意。 |
生ハム・サラミなどの加工食品 | 妊婦や幼児は加熱処理されたものを選ぶ。パッケージ裏の表示を確認。 |
サラダなどの非加熱調理食品 | 洗浄をしっかり、できれば消毒や加熱も。生野菜の保存温度にも注意。 |
「少しだけだから」は危険!
サルモネラ菌は少量でも発症します。小さな口に入るひとくちでも油断できません。
症状が出たら早めに相談を!
高熱、ぐったり、下痢が続くときは脱水に注意。早めの受診が安心です。
予防は「手洗い・加熱・分ける」が基本!
キッチンでの手洗いやまな板の使い分けが、もっとも大切な対策です。
食品安全委員会のリスクプロファイルによると:
家畜の飼育環境や食品工場での衛生管理が不十分な場合に汚染が拡大するリスクがあります。
日本では生食文化が根強いため、海外よりもサルモネラ食中毒のリスクが高まりやすいと報告されています。
一部の菌株では、抗生物質が効きにくい(薬剤耐性)問題も出ています。
サルモネラ菌は身近に潜む細菌。特に夏場や生食時は注意が必要です。
「よく加熱」「分けて調理」「ていねいな手洗い」で、感染の大部分は防げます。
お子さんの体調変化には敏感に。特に下痢や高熱、ぐったりが続くようなら、すぐ受診を。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)