ブログ
Blog
Blog
(2024/05/26追記)日本小児科学会ガイドラインを追加しました。適応欄に追記しました。
(2024/06/24追記)自費接種の場合の金額を追記しました。
当院では、RSウイルス感染の重症化を予防するシナジス®接種を行っています。
2024年5月から長時間作用型の「ベイフォータス®」が使用できるようになりました。
現在、RSウイルス流行期にシナジス®を重症化リスクが高い乳幼児のみに毎月の接種を8カ月程度行っています。
「ベイフォータス®」は長時間作用型であり、1シーズンに1回の接種でRSウイルス感染流行期を経験する乳幼児のRSウイルスによる疾患予防に有効であることが示されています。米国CDCは初めてのRSウイルス流行期を迎える生後8カ月未満のすべての乳児、および重症化リスクが高く2回目のRSウイルス流行期を迎える生後8-19カ月の乳幼児に対してベイフォータス®の投与を推奨しています。
当院では、保険適応での接種も自費での接種も行うことが出来ます。
<RSウイルスと感染予防について>
RSウイルスとは
乳幼児に呼吸器感染症を引き起こす重要な原因ウイルスです。大人が感染した場合は軽いかぜ症状のみでおさまりますが、予定日よりも早く生まれた赤ちゃん、生まれつき呼吸器や心臓に病気をもっている赤ちゃん、ダウン症児などが感染すると重症化することがあります。1年を通じて感染がみられますが、特に春から秋頃に流行します。今のところ、RSウイルス感染症に有効な治療薬はありません。
シナジス注射とは
早産児や生まれつき心臓に疾患がある乳児、ダウン症児などのために、通常は大学病院や総合病院で行われる治療です。そのため近くのクリニックではシナジス注射を受けられず、注射だけのために毎月、遠く離れた総合病院まで足を延ばさないといけない赤ちゃんがほとんど、というのが現状です。
これを解消するため、当院ではRSウイルス予防外来(シナジス・ベイフォータス)を開設しています。初回の投与は大学病院で、2回目を当院というご希望もお受けしています。
ベイフォータス注射とは
RS ウイルス感染症が重症化し、肺炎や無呼吸発作のため入院治療が必要となることがあります。このRS ウイルス感染症の重症化を防ぐ目的で開発されたのがニルセビマブ(ベイフォータス®)です。
ベイフォータスはRS ウイルスに効果がある抗体成分を精製したものを乳幼児に接種するものです。効果は約5 か月であり、1シーズンに1回のみの接種となります。予防接種との間隔を考慮する必要はなく、同時接種も可能のため予防接種スケジュールを変更する必要はありません。
米国CDCは生後8カ月未満の乳児に対するベイフォータス®の有効性を検証し、RSウイルス感染症による入院に対する予防効果は90%であると報告しています。
RSウイルス感染症による入院患者は、基礎疾患のない正期産の乳児が大半を占めていることを考えると、非常に高額ではありますが、基礎疾患を持たない乳幼児もベイフォータス接種が対象となります。
ベイフォータス注射の適応
RSウイルス感染により非常に重篤な状態に陥る可能性が高い以下の場合は【保険適応】となっています。
下記の適応以外でベイフォータス®を接種することはできますが【自費接種】となります。
〇生後初回のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
〇生後初回および生後2回目のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
※シナジス®で保険適応となっていた肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を有する 24 か月齢以下の新生児・乳児は、ベイフォータス®では保険適応となりません。
※在胎期間29~35週の早産の方の、生後2回目のRSウイルス感染流行期においては、ベイフォータス@ではなくシナジス®での接種となります。
<接種方法>
〇生後初回のRSウイルス感染流行期
体重5kg未満は50mgを筋肉内注射
体重5kg以上は100mgを筋肉内注射
〇生後2回目のRSウイルス感染流行期
200mgを筋肉内注射
<価格>
【保険適応の場合】
クリニックでのお支払いはありません。
【自費接種の場合】
〇生後初回のRSウイルス感染流行期
50mgを接種の場合:600,050円(税込)
100mgを接種の場合:1,001,000円(税込)
〇生後2回目のRSウイルス感染流行期
一律、200mgを接種:2,002,000円(税込)
【参考】
日本小児科学会「日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン 」
日本小児科学会「日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン Q&A」
川崎市中原区
アクセス:武蔵小杉、新丸子、元住吉、武蔵中原
武蔵小杉 森のこどもクリニック 小児科・皮膚科
院長 大熊 喜彰
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)