抱っこ紐は、赤ちゃんを抱っこしたり移動したりする上で、もはやなくてはならない育児グッズですよね。私も4人の子育て中は本当にお世話になりました。
でも、その便利さの陰に潜む危険について、どれくらいご存知でしょうか?
今回は、抱っこ紐からの赤ちゃんの転落事故について、お話ししたいと思います。
「うちの子は大丈夫」
「まさかそんなこと」
と思っている方、本当に他人事ではありません。実は、消費者庁にもたくさんの転落事故の報告が寄せられています。
実際に転落事故はどのような状況で起きるのでしょうか。その多くは、ちょっとした油断から起こることがわかっています。
具体的には、以下のような状況が挙げられます。
- かがんだ拍子に
床に落ちたものを拾おうと前かがみになったり、靴を履こうとしゃがんだりした際に、赤ちゃんがするっと滑り落ちてしまうことがあります。
- 抱っこ紐の着脱時に
抱っこ紐を装着しようとしたり、外そうとしたりする際に、赤ちゃんが完全に固定されていない状態でバランスを崩し、転落してしまうことがあります。
- ベルトやバックルの締め忘れ
うっかりベルトの締め付けが甘かったり、バックルを留め忘れていたりすると、赤ちゃんが落下する危険性が高まります。
- 肩ひものずれ
肩ひもがずれてしまい、赤ちゃんの重心が不安定になることで、転落につながることがあります。
- 立ったままの授乳やあやしている時
授乳中や、立ったまま赤ちゃんをあやしている最中に、気が緩んで転落させてしまうことがあります。
- 寝ていた赤ちゃんを抱き上げようとした時
寝ている赤ちゃんを、ベッドや布団から抱っこ紐で抱き上げようとした際、十分な確認を怠って転落させてしまうことがあります。
このように、転落事故は特別な状況で起きるわけではなく、日々の生活の中の「うっかり」や「油断」から起こることが多いのです。

消費者庁HP Vol.587から引用
特に、事故が起こりやすい時期や年齢があることをご存知ですか?
消費者庁の報告によると、生後4ヶ月から9ヶ月の赤ちゃんに事故が集中しています。
この時期の赤ちゃんは、首がすわり、動きが活発になり始めます。しかし、まだ自分で危険を回避する能力はありません。このような発達段階と、抱っこ紐の不適切な使用が重なることで、事故のリスクが高まるのです。
では、どうすれば転落事故を防ぐことができるのでしょうか?
4つの予防策
- 正しい装着方法を徹底する
- 抱っこ紐の取扱説明書を必ず読み、正しく装着しましょう。
- 肩ひもや腰ベルトは、緩みがないようにしっかりと締めましょう。
- 赤ちゃんが適切な位置に収まっているか、毎回確認しましょう。
- 着脱時は安全な場所で行う
- 抱っこ紐の着脱は、必ず座って行いましょう。
- ソファやベッドの上など、万が一転落しても衝撃が少ない場所で行うのが理想的です。
- 着脱の際は、赤ちゃんの体に必ず手を添えるようにしましょう。
- かがむ時は膝を曲げる
- 床のものを拾うときなど、前かがみになる際は、抱っこ紐をつけたままかがまず、必ず膝を曲げてしゃがむようにしましょう。
- こうすることで、赤ちゃんの滑り落ちを防ぐことができます。
- 常に赤ちゃんの様子を確認する
- 抱っこ紐を使用していても、常に赤ちゃんの様子に気を配り、不自然な体勢になっていないか、ベルトが緩んでいないかなどをこまめに確認しましょう。
- 赤ちゃんがぐずったり、急に動き出したりした際は、慌てずに対応しましょう。
こうした予防策を講じることで、事故のリスクを大幅に減らすことができます。しかし、どんなに気をつけていても、万が一の事故が起こってしまう可能性はゼロではありません。
もしも赤ちゃんが抱っこ紐から転落してしまったら、どうすればいいのでしょうか?
転落後の対応:もしも転落させてしまったら、まずは落ち着いて
万が一、赤ちゃんが転落してしまったら、慌てず落ち着いて以下の手順で対応してください。
- 赤ちゃんの意識を確認する
- 名前を呼んで反応があるか、泣いているかなど、赤ちゃんの意識を確認しましょう。
- 意識がない、呼びかけに反応しない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
- 外傷の有無を確認する
- 赤ちゃんの頭や体に、出血や腫れ、変形がないか確認しましょう。
- 頭を強く打った場合は、特に注意が必要です。
- 様子を注意深く観察する
- 意識がはっきりしていても、頭を打った場合は数日間は注意深く観察する必要があります。
- 嘔吐を繰り返す、顔色が悪い、ぐったりしている、けいれんがある、ぼんやりしている、いつもと違う様子が見られるなど、少しでも気になる症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。
- 外見上は大丈夫そうに見えても、頭の中では出血や腫れが起きている可能性があります。
- 医療機関を受診する
- 転落した高さや状況、赤ちゃんの様子に関わらず、一度は医療機関を受診し、医師の診察を受けることを強くお勧めします。
- 「大したことなさそうだから」と自己判断せず、専門家である小児科医の意見を仰ぎましょう。
当院でも、転落事故後のご相談を承っております。もし心配なことがあれば、いつでもご相談ください。
抱っこ紐は、育児を楽にしてくれる素晴らしいツールです。しかし、その使い方を誤ると、大きな事故につながる可能性があります。正しい知識と使い方を身につけ、赤ちゃんと安全で楽しい毎日を過ごしてください。
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院長 大熊 喜彰