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「うちの子、いつも首をかしげている気がして…」
「寝かせると、いつも同じ方向ばかり向いているんです」
こんな風に、赤ちゃんの首の傾きについて心配されて、クリニックにいらっしゃるご家族にお会いすることがあります。今回は、そんな赤ちゃんの首の傾き「斜頸(しゃけい)」について、日本小児科学会認定小児科専門医の視点から、分かりやすくお話ししたいと思います。
斜頸とは、病名ではなく、首がどちらかに傾いている状態を指す言葉です。斜頸の原因はいくつかありますが、赤ちゃんの場合、特に多いのが筋性斜頸と非筋性斜頸の2つです。
「何だか難しそう…」と感じますか?大丈夫です。それぞれを、もう少し詳しく見ていきましょう。
これは、首の筋肉の1つである「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が硬くなって、首が傾いてしまう状態です。
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨にかけて走る筋肉で、首を動かすのにとても重要な役割を担っています。この筋肉が、お腹の中にいる時から、あるいは生まれた後に、一部が硬くなってしまったり、しこりができたりすることで、筋肉が縮んでしまい、首が傾くのです。
生まれてすぐには気づきにくいことも多く、生後2〜3週間頃から首に小さなこぶ(しこり)として触れるようになることがあります。このしこりは、硬いコリコリとした感触で、まるで小豆のような、あるいは親指の先のような大きさです。
生まれた時の状況、例えばお産に時間がかかったり、逆子だったり、多胎児だったりする際に、この筋肉に負担がかかることが原因として考えられています。
この筋性斜頸は、自然に改善することがほとんどで、生後6ヶ月頃までには約9割の子が良くなります。
これは、筋性斜頸以外の原因で首が傾いている状態です。
例えば、
このように、一見すると同じ「首の傾き」でも、原因は様々です。だからこそ、自己判断せずに、一度小児科で診てもらうことが大切なのです。
「うちの子、もしかして斜頸かも…?」そう感じたら、まずは冷静に、赤ちゃんの様子をよく観察してみましょう。
特に、首の付け根に硬いしこりがある場合は、筋性斜頸の可能性が高いです。また、反対側を向きにくそうにしていたり、常に同じ方向を向いている場合は、向き癖や筋性斜頸が考えられます。
もし、少しでも気になることがあれば、迷わず相談してください。
クリニックでは、まず赤ちゃんの首の動きや、首の筋肉の状態を丁寧に診察します。触診で硬いしこりがないか、首の可動域はどうか、詳しく確認します。
診察の結果、
ほとんどの斜頸は、筋性斜頸や向き癖によるものです。そのため、まずはご家庭でのケアが中心となります。
お子さんの首の傾きが「向き癖」によるものであれば、日常生活の中で、向きを変える工夫をすることで改善が期待できます。
1. 寝る時の姿勢を変える
2. 興味を引くものを利用する
3. ストレッチとマッサージ
筋性斜頸と診断された場合は、優しくストレッチやマッサージをして、硬くなった筋肉をほぐしてあげましょう。
これらのケアは、毎日少しずつ、お子さんの機嫌の良い時に行うのがポイントです。
筋性斜頸は、自然に治ることがほとんどです。
ですが、中には改善が見られず、手術が必要となるケースもごく稀にあります。
もし、
といった場合は、再度小児科医に相談し、必要に応じて整形外科医やリハビリテーションの専門医と連携して治療を進めていきます。
赤ちゃんの首の傾きが気になった時、一番大切なことは「一人で悩まないこと」です。
この3つのポイントを覚えておいてください。
もし、少しでも不安に感じることがあれば、お気軽に当院にご相談ください。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)