知っておきたいこどもの近視!近視抑制治療点眼「リジュセアミニ」について。 - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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知っておきたいこどもの近視!近視抑制治療点眼「リジュセアミニ」について。

学校の視力検査で視力が落ちていると指摘されたり、黒板の字が見えにくそうに目を細めていたり…。 もしそんな様子が見られたら、それはお子さんの近視が進んでいるサインかもしれません。

今回は、2025年4月に発売され最近注目されているお子さんの近視抑制治療点眼薬「リジュセアミニ」について、こどもの近視の現状から治療法まで、分かりやすくお話ししたいと思います。

 

なぜ今、子どもの近視が増えているの?

まず、なぜ今これほどまでに子どもの近視が増えているのでしょうか。 その原因は、生活環境の変化と深く関わっています。

  • スマホやタブレットの長時間使用
    スマートフォンやタブレットの普及により、近くのものを見る時間が増えました。これにより、目の調節機能が休む暇がなくなり、近視が進行しやすくなります。
  • 屋外活動の減少
    近視を予防するには、屋外で太陽の光を浴びることが重要だと分かっています。しかし、習い事や塾、ゲームなどで忙しく、外で遊ぶ時間が減っているのが現状です。
  • 学習時間の増加
    学習塾や自宅学習など、勉強に費やす時間が増えることで、近くのものを見る時間が多くなり、近視のリスクが高まります。

近視の根本原因「眼軸長(がんじくちょう)の伸び」とは?

ここで、少し専門的なお話になりますが、近視になる根本的なメカニズムについてお話しさせてください。 子どもの近視の多くは、「眼軸長(がんじくちょう)の伸び」によって引き起こされます。

眼軸長とは、目の最も前の部分(角膜)から、最も奥の部分(網膜)までの距離、つまり目の奥行きのことです。 正常な目では、この眼軸長が適切で、入ってきた光が網膜の上でぴたりと焦点を結びます。

しかし、成長期に近くのものばかり見ていると、眼球が前後に伸びてしまい、眼軸長が長くなってしまいます。その結果、光が網膜よりも手前で焦点を結んでしまうため、網膜上ではピントの合わないぼやけた像が映ってしまうのです。

一度伸びてしまった眼軸長は、残念ながら元に戻ることはありません。そのため、近視の進行を抑制するためには、この「眼軸長の伸び」をいかに抑えるかが鍵となります。

子どもの近視、放置するとどうなる?

「近視くらい、メガネをかければ大丈夫じゃない?」 そう思われるかもしれません。もちろん、メガネをかければ視界はクリアになります。しかし、子どもの近視を軽視してはいけないのは、単に「見えにくい」という問題だけではないからです。

近視は、眼球が前後に伸びてしまう状態です。この状態が進行すると、将来的に網膜剥離緑内障といった深刻な目の病気を引き起こすリスクが高まることが分かっています。 特に、-6.0D(ジオプトリー)以上の「強度近視」になると、そのリスクはさらに高まります。お子さんの将来の目の健康を守るためにも、近視の進行をできるだけ抑えることがとても大切です。

 

近視の進行を抑える治療法「アトロピン点眼薬」

 

では、近視の進行を抑えるためには、どのような治療法があるのでしょうか。 現在、近視の進行抑制に効果があると科学的に証明されている治療法として、「アトロピン」という成分を使った点眼薬があります。 このアトロピンには、目のピントを合わせる筋肉の緊張を和らげ、近視の進行を抑える効果が期待できます。

これまでは、海外で製造された「マイオピン」という低濃度アトロピン点眼薬が主に使われてきました。そして、この度、ついに日本で初めて国内承認されたアトロピン点眼薬が発売されました。それが今回ご紹介する「リジュセアミニ」です。

 

 

新しい治療薬「リジュセアミニ」の登場

 

リジュセアミニは、低濃度アトロピン(0.025%)を有効成分とする点眼薬で、「近視の進行抑制」を目的として、2024年4月に発売されました。

 

リジュセアミニの特長

 

  1. 国内承認薬であること
    これまでの点眼薬は海外の承認薬であり、輸入に頼っていました。しかし、リジュセアミニは国内で承認されているため、品質や安定供給の面でより安心です。
  2. 安全性と有効性
    これまでの研究で、近視の進行を約60%抑制する効果が示されています。また、副作用が少なく、安全性も高いことが分かっています。
  3. 使いやすさ
    防腐剤を使用しておらず個包装となっています。1日1回の点眼で効果が期待できるため、お子さんやご家族の負担が少ないのが特長です。

 

当院の考え方

当院は小児科・皮膚科であるためリジュセアミニ処方や近視予防のプログラムを行うことはできませんが、下記のような近視傾向のあるお子さんに対し眼科受診推奨とともに、近視について・近視予防について・リジュセアミニについて情報提供いたします。

 

  • 5歳健診でスポットビジョンスクリーナーによる視機能検査を行い、近視傾向
  • 片親もしくは両親、強大に近視がある
  • 長時間、近くを見ていることが多い(スマホやタブレットなど)
  • 外遊び時間が短い
  • 塾などに通い学習時間が長い

リジュセアミニによる近視抑制治療を始めるにあたっては、眼科で精密な検査を行い、近視の程度や進行状況を正確に把握することが重要です。


 

ご注意いただきたいこと

リジュセアミニは、すべてのお子さんに効果があるわけではありません。また、まぶしさや、近くが見えにくくなるなどの副作用が出る場合(約10%)もあります。 治療を開始する際には、眼科医師とよく相談し、お子さんに合った治療法を選択することが大切です。

リジュセアミニは、近視の進行を「抑制」するものであり、「治す」ものではありません。 「これ以上近視を悪化させない」ための一つの有効な選択肢として、ご検討いただければと思います。


 

まとめ

  • 子どもの近視は、スマホやタブレットの普及、屋外活動の減少など、生活環境の変化が原因で増えています。
  • 近視は、将来の目の病気のリスクを高めるため、進行を抑えることが大切です。
  • リジュセアミニは、日本で初めて承認された近視進行抑制の点眼薬です。
  • 1日1回の点眼で、近視の進行を約60%抑制する効果が期待できます。

 

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当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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