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皮膚炎、口内炎、成長障害、貧血、味覚障害、下痢、食欲低下。
これは亜鉛欠乏症でみられる症状です。
亜鉛と聞くと、「大人の栄養」というイメージがあるかもしれませんね。ですが、実はこどもたちの成長にも、亜鉛はとても大切な役割を担っています。今日は、こどもの亜鉛欠乏症について、皆さんにわかりやすくお話ししたいと思います。
亜鉛は、体の中でわずかしか存在しない微量元素(ミネラル)の一つです。しかし、その役割は多岐にわたります。
このように、亜鉛はこどもの健やかな成長を支える縁の下の力持ちのような存在なのです。
では、具体的にどんな症状が出たら亜鉛が足りないことを疑えばいいのでしょうか? ここでは、当院でもよく相談される亜鉛欠乏症の代表的なサインをいくつかご紹介します。
「周りの子と比べて、うちの子だけ小さい気がする…」と心配になる親御さんは少なくありません。亜鉛は成長ホルモンの働きにも関わっているため、不足すると成長障害につながることがあります。特に、バランスの悪い食事が続いている場合は要注意です。
亜鉛が足りないと、味覚が鈍くなり、食べ物の味がわかりにくくなります。その結果、「食事が美味しくない」と感じて食欲が落ちたり、特定の味しか受け付けなくなったりする偏食につながることがあります。「いつも食べていたものが急に嫌いになった」という変化も、亜鉛欠乏のサインかもしれません。
免疫力が低下することで、頻繁に風邪をひいたり、一度ひくとなかなか治らなかったりします。兄弟間で風邪がうつりやすい、保育園でいつも風邪をもらってくる、といった場合も、亜鉛不足が隠れている可能性があります。
亜鉛は、新しい皮膚や髪を作るのに必要な栄養素です。そのため、不足すると、乳児の顔や手足に湿疹ができやすくなったり、髪の毛が薄くなったりすることがあります。
爪の根本にある亜鉛は、健康な爪を維持するために必要不可欠な要素です。爪に白い斑点ができやすい、爪が脆い、といった症状も、亜鉛不足のサインとして知られています。
もちろん、これらの症状がすべて亜鉛欠乏症によるものとは限りません。しかし、もし複数の症状が当てはまるようであれば、一度かかりつけの小児科医に相談してみることをお勧めします。
「昔は亜鉛欠乏症なんてあまり聞かなかったけど…」と感じる方もいるかもしれません。実は、現代の食生活には、こどもの亜鉛欠乏につながりやすい特徴がいくつかあります。
では、こどもたちが亜鉛をしっかりと摂るためには、どんな食材を取り入れたらいいのでしょうか?
亜鉛は、主に動物性タンパク質に多く含まれています。
なかでも、牡蠣は亜鉛の含有量がトップクラスです。ただ、「こどもに牡蠣はちょっと…」と感じる方も多いかもしれません。そういう場合は、牛肉や豚肉、卵、チーズなど、日々の食事に取り入れやすい食材を積極的に活用するのがおすすめです。
たとえば、
といった形で、少しずつメニューに取り入れてみてください。
※いずれの食材も食物アレルギーに注意が必要です。
「うちの子、亜鉛が足りないかも…」と心配になったら、自己判断でサプリメントを飲ませることは絶対にやめてください。過剰に摂取すると、かえって体に悪影響を及ぼすこともあります。
まずは、かかりつけの小児科医に相談していただくことが大切です。 当院では、問診や血液検査で亜鉛の数値を調べることができます。その結果に基づいて、食事のアドバイスをしたり、必要に応じて亜鉛製剤の処方を行ったりします。
こどもの健やかな成長は、お父さん、お母さんの毎日の小さな積み重ねによって支えられています。亜鉛は、そんな成長を影で支える大切な栄養素です。
もし、お子さんの成長や食欲、体調について少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)