成長にも免疫にもアレルギーにも関わってくる!?ビタミンDの役割と、その不足が引き起こす意外な落とし穴とは? - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

ご予約・お問い合わせ
tel.044-739-0888
  • WEB予約
  • ご意見箱
所在地
神奈川県川崎市中原区
小杉町2-228-1-1F
パークシティー武蔵小杉
ザガーデンタワーズウエスト

ご意見箱

MENU

成長にも免疫にもアレルギーにも関わってくる!?ビタミンDの役割と、その不足が引き起こす意外な落とし穴とは? - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

tel.044-739-0888

ブログ

Blog

成長にも免疫にもアレルギーにも関わってくる!?ビタミンDの役割と、その不足が引き起こす意外な落とし穴とは?

今回は、小さなお子さんを持つご家族にとって、とても大切なテーマ「ビタミンD」についてお話ししたいと思います。ビタミンDと聞くと、骨や歯が丈夫になる、というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。もちろんそれは正しいのですが、実はそれだけではない、意外な役割がたくさんあるのです。そして、現代の生活環境において、このビタミンDが不足しているお子さんが増えていることをご存知でしょうか?

今回は、最新の知見や日本小児科学会の提言も踏まえながら、ビタミンDがなぜ重要なのか、不足するとどうなるのか、そしてどうすれば補うことができるのか、について、分かりやすくお話ししていきたいと思います。

 

ビタミンDって、いったい何者?

まず、「ビタミンD」とは何か、少し詳しく見ていきましょう。

ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種で、体内で様々な重要な働きをしています。特に有名なのは、カルシウムの吸収を助け、骨や歯の形成を促す働きです。

「骨を強くする」と言えば、カルシウムを思い浮かべる方が多いと思いますが、実はビタミンDがなければ、せっかく摂ったカルシウムはうまく吸収されません。例えるなら、ビタミンDは、カルシウムという大工さんを、骨という家を建てる現場にスムーズに案内する「ナビゲーター」のような存在です。このナビゲーターがいないと、大工さんは現場にたどり着くことができず、家は一向に建ちません。

でも、ビタミンDの役割はそれだけではありません。近年では、免疫機能の調整や、アレルギー疾患、糖尿病などとの関連性も指摘されており、その重要性がますます明らかになってきています。つまり、ビタミンDは、お子さんの健やかな成長と健康を守るための、いわば「縁の下の力持ち」なのです。

 

ビタミンDはどこから来るの?

ビタミンDは、主に2つの方法で私たちの体に取り込まれます。

  1. 日光(紫外線)を浴びることで、体内で合成される
  2. 食事から摂取する

実は、ビタミンDの9割以上は、この日光を浴びて皮膚でつくられます。太陽の光を浴びるだけで、私たちの体は賢くビタミンDをつくり出せるのです。素晴らしい体の仕組みですよね!

一方、食事から摂取できるビタミンDは、全体の1割程度です。ビタミンDを多く含む食品としては、サケ、イワシ、サンマなどの魚介類や、きくらげ、干ししいたけなどのきのこ類が挙げられます。

 

現代の子どもたちに広がる「ビタミンD欠乏症」

さて、日光と食事からビタミンDがつくられることはお分かりいただけたかと思います。では、なぜ今、子どもたちの間でビタミンD欠乏症が問題になっているのでしょうか?

その原因は、現代のライフスタイルにあります。

  • 外出機会の減少
    • 親御さんが忙しく、公園などで遊ぶ時間が減ってしまった。
    • 塾や習い事で外遊びの時間が減っている。
  • 過度な紫外線対策
    • 日焼け止めを塗ったり、帽子や長袖で紫外線を徹底的に避けるようになった。
    • これは皮膚がんの予防には良いことなのですが、ビタミンD合成の観点からは問題になることもあります。
  • 母乳育児の増加
    • 母乳は赤ちゃんにとって素晴らしい栄養源ですが、ビタミンDは少量しか含まれていません。
    • 日本小児科学会は、母乳栄養児におけるビタミンD欠乏症予防のためのガイドラインを策定しており、当院でも母乳栄養児にはビタミンD製剤の補給を推奨しています。
  • 偏った食生活
    • 魚離れが進み、ビタミンDが豊富な食品を摂る機会が減っている。

これらの要因が複合的に作用し、多くの子どもたちにビタミンD不足が起こっていると考えられています。

 

ビタミンDが不足すると、どんなことが起こるの?

ビタミンDが不足した状態が続くと、お子さんの体に様々な影響が出てきます。

 

最も深刻な影響:くる病

ビタミンD欠乏症の代表的な病気が「くる病」です。くる病は、骨が軟らかくなってしまう病気で、歩き始める頃になると、O脚やX脚になったり、頭の形がいびつになったりすることがあります。さらに重症化すると、成長障害や、骨折しやすくなるなどの症状も現れます。特に、成長期にある赤ちゃんや子どもたちにとって、骨の形成は非常に重要なプロセス。その土台となるビタミンDが足りないと、健康な骨が育たないのです。

 

意外な影響:様々な疾患との関連性

さらに、最近の研究では、ビタミンD欠乏症が以下のような病気と関連している可能性が指摘されています。

  • アレルギー疾患(ぜんそく、食物アレルギーなど)
    • ビタミンDには免疫機能を調整する働きがあるため、不足するとアレルギーの発症リスクが高まると考えられています。
  • 感染症
    • ビタミンDが欠乏すると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるという報告もあります。
  • 低身長
    • ビタミンDは、骨の成長に不可欠であることから、不足すると身長の伸びにも影響を与える可能性があります。

これらの影響を見ると、ビタミンDがただ「骨を強くする」だけでなく、お子さんの全身の健康にとって、いかに重要な栄養素であるかがよく分かりますね。

 

どうすればビタミンDを補給できるの?

では、私たちはどうすれば、お子さんのビタミンD不足を防ぐことができるのでしょうか?

 

1. 適度な日光浴を!

これは、最も簡単で効果的な方法です。

  • おすすめの時間帯と時間
    • 日差しが強すぎない、午前中の早い時間帯や夕方の時間帯に、1日15~30分程度
    • 特に、顔や手、足などに日光を浴びせることが大切です。
    • ただし、夏場の強い日差しや、赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、直射日光を避け、帽子やベビーカーの日よけなどを活用してください。
    • 紫外線対策も大切ですが、過度になりすぎないようバランスを考えましょう。

 

2. 食事から積極的に摂る!

ビタミンDが豊富な食品を、日々の食事に取り入れましょう。

  • 魚介類
    • サケ、サンマ、イワシ、カツオなど
  • きのこ類
    • きくらげ、干ししいたけなど
  • その他
    • 卵、乳製品、ビタミンD強化食品など

毎日魚を食べるのが難しい場合は、缶詰などを活用するのも良い方法です。

 

3. ビタミンD製剤(サプリメント)を活用する!

特に、母乳育児のお子さんや、アレルギーなどで食事制限があるお子さん、日光浴が十分にできないお子さんの場合は、ビタミンD製剤の補給が強く推奨されています。

日本小児科学会も、生後早期からのビタミンD補給を推奨しています。当院でも、お子さんの状況に応じてビタミンD製剤の活用をおすすめしています。


Geminiで作画

 

まとめ

ビタミンDは、お子さんの骨や歯を強くするだけでなく、免疫機能や様々な疾患の予防にも関わる、非常に重要な栄養素です。
現代の生活環境では、ビタミンDが不足しがちです。だからこそ、日々の生活の中で、意識してビタミンDを補う工夫をすることが大切になります。
適度な日光浴、バランスの取れた食事、そして必要に応じてビタミンD製剤を活用することで、お子さんの健やかな成長をサポートしていきましょう。

もし、「うちの子はビタミンD足りてるかな?」「もっと詳しく知りたい」など、ご不安な点やご質問がありましたら、いつでもお気軽に当院にご相談ください。

<参考>
日本小児科学会「乳児期のビタミン D 欠乏の予防に関する提言」
日本小児内分泌学会「ビタミンD欠乏性くる病」

 

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

詳しい医師紹介を見る  クリニックの予約を取る

お知らせ

 
 

ブログカテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ