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「漢方薬って、なんだか難しそう…」
「子供に飲ませても大丈夫なの?」
そう思われる親御さんは少なくないのではないでしょうか。実は、昔から私たちの暮らしに根付いてきた漢方薬は、お薬が苦手なお子さんや、体質改善を目指したいお子さんにもとても有効な選択肢になることがあります。
「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」では、西洋医学の治療をもちろん基本として大切にしていますが、お子さん一人ひとりの体質や症状に合わせて、漢方薬も積極的に取り入れています。今回は、小児科医である私が、お子さんへの漢方薬について、そのメリットや、どんな時に使われるのかを分かりやすくお話ししたいと思います。
漢方薬は、複数の生薬(植物や鉱物など、自然由来の成分)を組み合わせて作られるお薬です。西洋薬が「症状」に焦点を当ててピンポイントで効くのに対し、漢方薬は「体全体の状態」を整えることを得意としています。
例えば、風邪をひいた時。西洋薬だと熱を下げる薬、咳を止める薬、鼻水を抑える薬と、それぞれの症状に対応する薬を処方することが多いですよね。一方、漢方薬は、熱が出ている、寒気がする、といった個別の症状だけでなく、「なぜこの症状が出ているのか」という体のバランスの乱れを考え、その根本から整えることを目指します。
「冷え」が原因で咳が出ているのか、「熱」が体にこもってイライラしているのか。お子さん一人ひとりの体質や状態をじっくり観察し、その子に一番合った漢方薬を選ぶ。これが漢方治療の考え方です。
1. 症状だけでなく、体のバランス改善を目指す
単に症状を抑えるだけでなく、体の根本的なバランスを整えることで、病気になりにくい体づくりをサポートしてくれます。繰り返す便秘や風邪、アレルギーなど、慢性的な症状に悩むお子さんには特に有効なことがあります。
2. 比較的副作用が少ないとされている
自然由来の生薬を原料としているため、西洋薬に比べて副作用のリスクが低いと言われています。もちろん、どんなお薬にも副作用のリスクはゼロではありませんが、お子さんへの負担をできるだけ減らしたいと考える親御さんにとって、安心材料の一つとなるでしょう。
当クリニックでも、お子さんの様々な症状に合わせて、以下のような漢方薬を処方することがあります。
インフルエンザ・かぜの初期に 「麻黄湯(まおうとう)」
ゾクゾクと寒気がして、熱が出始め、まだ汗が出ていないような、かぜのひきはじめに効果的です。体を温め、発汗を促すことで、病気を追い出す手助けをします。インフルエンザの初期にも使われることがあります。
急性胃腸炎に 「五苓散(ごれいさん)」
下痢や嘔吐を伴う急性胃腸炎に処方されることが多い漢方薬です。体内の水分バランスを整えることで、むくみや吐き気、下痢などの症状を改善します。こどもの胃腸炎は脱水が心配ですが、五苓散は体の水はけを良くすることで、脱水予防にもつながります。
慢性的な便秘に 「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」
便秘だけでなく、お腹の調子が悪い、疲れやすい、夜泣きをするなど、虚弱なお子さんに用いられる漢方薬です。お腹を温めて痛みを和らげ、腸の動きを正常に整えることで、自然なお通じを促します。
夜泣きや不機嫌に 「抑肝散(よくかんさん)」
夜泣き、かんしゃく、イライラ、不眠など、お子さんの神経症状を改善する漢方薬として有名です。脳の興奮を鎮め、心を落ち着かせる効果があるとされています。
しつこい咳に 「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」
乾いた咳が止まらない、痰がなかなか切れない、といった症状に効果的です。喉を潤し、炎症を鎮めることで、しつこい咳を和らげます。
花粉症やアレルギー性鼻炎に 「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」
サラサラした鼻水や、くしゃみ、鼻づまりに効果を発揮します。体を温め、水分代謝を整えることで、鼻炎症状を改善します。
漢方薬は、その子に合ったものを選ぶことが非常に重要です。自己判断で市販薬を飲ませるのではなく、必ず医師にご相談ください。
「〇〇の症状にはこの漢方薬」というように、単なる病名だけで選んでしまうと、効果が出なかったり、かえって症状が悪化してしまうこともあります。私たち小児科医は、お子さんの顔色や、体質、食欲、睡眠パターンなどを総合的に判断し、その子に最適な漢方薬を選びます。
「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」では、「家族とともに未来を担うこども達の健やかな成長と幸せを目指します」という理念のもと、西洋医学と漢方医学、それぞれの良いところを活かした診療を心がけています。
もしお子さんの体調で気になること、例えば「繰り返す風邪」「便秘」「夜泣き」などでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)