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子どもを麻疹から守る! 「知っておきたい3つのこと」

最近、ニュースなどで「麻疹(はしか)」という言葉を耳にすることが増えましたね。

遠い昔の病気だと思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は最近、海外からの旅行者や帰国者を通じて、日本国内でも麻疹の患者さんが増えてきています。特に今年の春以降、全国各地で感染の報告が増えています。

そこで今回は、麻疹について正しく知っていただき、大切な家族を守るためにできることをお伝えしたいと思います。

もくじ
  1. 麻疹ってどんな病気? 知っておきたい「3つの特徴」
  2. 「かかってしまったらどうするの?」 治療法と合併症
  3. 「どうすれば防げるの?」 最も大切な予防法


Geminiで作画


 

1. 麻疹ってどんな病気? 知っておきたい「3つの特徴」

 

「はしか」と聞くと、「熱が出て、ブツブツができる病気」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。もちろん、それも正しいのですが、麻疹は単なる発熱や発疹だけではない、非常に手ごわい感染症です。

麻疹の怖さを理解していただくために、ぜひ知っておいていただきたい3つの特徴をお話しします。

 

【特徴1】 桁違いの感染力

麻疹の最大の特徴は、その「驚異的な感染力」です。

インフルエンザや新型コロナウイルスも感染力が強いことで知られていますが、麻疹はそれらとは比べ物にならないほど感染力が高いのです。

具体的な数字でお話ししましょう。
インフルエンザの感染力の強さを示す「基本再生産数」(1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す指標)が1~2程度なのに対し、麻疹はなんと12~18にもなります。
これはどういうことかというと、免疫のない人が麻疹患者さんと同じ部屋にいただけでも、ほぼ100%の確率で感染してしまうということです。

空気感染で広がるため、同じ空間にいるだけで感染リスクがあるということをぜひ覚えておいてください。

 

【特徴2】 重症化しやすい病気

 

「高熱と発疹が出る」という麻疹の症状は、皆さんもご存知の通りです。

発熱、咳、鼻水、目の充血といった風邪に似た症状から始まり、一度熱が下がったと思ったら、再び高熱が出ると同時に全身に赤い発疹が広がります。この発疹は、顔や首から始まり、徐々に体や手足へと広がっていくのが特徴です。

しかし、麻疹の本当の怖さは、「重い合併症を引き起こしやすい」という点にあります。

肺炎や中耳炎を合併することは珍しくなく、さらに恐ろしいのは、脳炎を起こす可能性があることです。麻疹脳炎は、発症すると意識障害やけいれんを引き起こし、重い後遺症を残したり、命に関わることもあります。
特に、乳幼児や免疫力の低いお子さんは、重症化しやすいため、細心の注意が必要です。

 

【特徴3】 潜伏期間が長い

 

麻疹は感染してから発症するまでの「潜伏期間」が、約10日〜2週間と長いことも特徴です。この期間は、本人に自覚症状がなくても、すでに周りの人に感染を広げている可能性があります。

「週末に旅行に行ってきたら、なんだか風邪っぽいな」と感じて病院を受診した時には、すでに多くの方に感染を広げてしまっているかもしれないのです。こうした特性が、麻疹の感染拡大をより困難なものにしています。


 

2. 「かかってしまったらどうするの?」 治療法と合併症

 

「もし子どもが麻疹にかかってしまったら?」

そう考えるだけでも、不安に感じますよね。残念ながら、麻疹そのものに効く特効薬は、まだありません。そのため、治療は、発熱や咳などの症状を和らげる「対症療法」が中心となります。安静にして、水分をしっかり摂り、熱が高ければ解熱剤を使うこともあります。

病院では、合併症の有無を注意深く観察し、必要に応じて抗生物質などの治療が行われます。

麻疹と診断された場合、治るまでは「出席停止」となります。
周囲への感染を広げないためにも、医師の指示に従い、自宅で安静に過ごすことがとても重要です。


 

3. 「どうすれば防げるの?」 最も大切な予防法

 

では、どうすればこの怖い麻疹から、大切な子どもたちを守ることができるのでしょうか?

答えは、たった一つ。

「麻疹の予防接種」です。

麻疹ワクチンは、麻疹の予防に非常に有効であり、2回の接種で、ほぼ100%に近い免疫を獲得できることがわかっています。

 

麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を2回接種しましょう

 

現在、麻疹の予防接種は、麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)として行われています。

日本の定期接種では、合計2回の接種が定められています。

  • 第1期:生後12か月(1歳)〜24か月(2歳)未満
  • 第2期:小学校就学前の1年間(年長さん)

この2回の接種をきちんと受けることで、麻疹に対する強い免疫を身につけることができます。

「うちの子は1回しか受けていないかもしれない…」「2回目の接種時期を忘れていた…」という方は、母子手帳を確認してみてください。もし未接種の場合や接種時期が不明な場合は、お気軽に当院にご相談ください。

「今からでも大丈夫ですか?」と聞かれることがありますが、もちろん大丈夫です。自治体によって公費で受けられる場合もありますので、確認してみましょう。

 

保護者の方、大人の皆さんも要注意!

 

麻疹は子どもだけの病気ではありません。近年、感染者の多くは、10代後半から30代の大人です。

これは、日本で麻疹ワクチンが2回接種になったのが2006年からと比較的最近のため、それ以前に生まれた方は、免疫が不十分な可能性があります。

「子どもの頃に1回だけ接種した」

「子どもの頃に麻疹にかかったことがある」

といった場合でも、免疫が弱まっていることがあります。
特に、医療従事者や保育士さん、教員の方など、子どもと接する機会が多い方、また海外渡航を予定されている方は、抗体検査や追加のワクチン接種を検討することをお勧めします。

当院では、大人のワクチン接種についてもご相談を承っていますので、お気軽にお声がけください。

 

まとめ

 

麻疹は、その強い感染力と重い合併症から、決して軽視できない病気です。しかし、予防接種という確実な予防策があります。

「家族みんなでワクチンを接種し、麻疹に対する免疫の壁をつくること」

これこそが、大切な子どもたちを麻疹から守るための、最も効果的な方法です。ご家族の皆さん、ぜひこの機会に、ご自身とお子さんのワクチン接種歴を確認してみてください。

ご不明な点や不安なことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

<参考>
国立成育医療研究センターHP「はしか(麻しんウイルス感染症)にご注意ください!」
国立感染症研究所HP「麻しん」
厚生労働省HP「麻しん」

 

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当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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