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「最近、夜遅くまでゲームをしていて寝るのが遅いんです」
「朝なかなか起きられなくて、登園前はいつもバタバタ…」
小児科の外来では、こうした「睡眠に関するお悩み」を受けることもあります。
実は、こどもの睡眠には「成長」や「こころの安定」にとって、欠かせない役割があります。
この記事では、小児科専門医の立場から「こどもの睡眠」の大切さと、今日からできる生活習慣の工夫についてお伝えします。
まず知っておいてほしいのが、「睡眠=休息」だけではない、ということです。
こどもが眠っている間、脳では成長ホルモンが分泌されます。このホルモンは、名前のとおり身長の伸びや体の発達に関係する大事なホルモン。とくに、夜10時〜深夜2時ごろは、その分泌が最も活発になる“ゴールデンタイム”です。
たとえば、夜11時すぎまでテレビを見ている習慣があると、せっかくのゴールデンタイムに成長ホルモンが十分に出せなくなるかもしれません。
睡眠が足りていないこどもには、こんなサインが現れることがあります:
朝起きるのがつらい、遅刻しがち
日中ぼーっとして集中力がない
イライラしやすく、友達とのトラブルが増える
夜なかなか寝つけず、睡眠リズムが乱れる
実際、厚生労働省のガイドラインでも、睡眠時間が短いと学力や生活習慣に悪影響を与える可能性があるとされています。
また、最近の研究では、睡眠不足と子どもの肥満やうつ傾向との関連も指摘されています。
「うちの子、何時間くらい寝たらいいの?」という疑問をよくいただきます。
以下は、厚労省のガイドラインを参考にした年齢別の睡眠時間の目安です:
年齢 | 推奨される睡眠時間の目安 |
---|---|
1〜2歳 | 11〜14時間 |
3〜5歳 | 10〜13時間 |
6〜12歳 | 9〜12時間 |
13〜18歳 | 8〜10時間 |
ポイントは「トータルの睡眠時間」であり、お昼寝も含めてOKです。ただし、夜の睡眠が短いのは避けたいところ。
睡眠リズムを整えるには、平日も休日も、なるべく起床・就寝時間をずらさないことが大切です。
スマホやゲーム、明るいテレビの光は、脳を覚醒させてしまいます。
絵本の読み聞かせや、リラックスできる音楽などで入眠儀式を作ってみましょう。
朝の光は、体内時計をリセットしてくれます。
朝ごはんを食べながら、窓の近くで日光を浴びるだけでも効果的です。
お子さんの睡眠に問題があるとき、「生活習慣を見直す」ことが第一歩です。
ただ、それでも改善しない場合は小児科に相談することをおすすめします。
たとえば、「夜驚症」や「睡眠時無呼吸症候群」など、専門的なケアが必要なケースもあります。
こどもの健やかな成長には、睡眠が栄養や運動と同じくらい重要です。
ほんの少し、寝る前の過ごし方や生活のリズムを見直すことで、こどもの心と体に大きな変化が生まれることもあります。
「うちの子、最近寝不足かも…?」と感じたら、まずは早寝・早起き・朝ごはんのリズムを意識してみましょう。
<参考>
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)