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先日、外来でこんな質問を受けました。
「HPVワクチンって、もっと大人になってからでもいいんですよね?」と。
お気持ち、よくわかります。
“がんを防ぐワクチン”なんて、ちょっと想像がつかないですし、何より中学生に打たせるべきかどうか迷うという方が多いんです。
でも実は、この時期が最も重要なタイミングなんです。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、身近なウイルスで、一生のうちに8割以上の人が一度は感染すると言われています。
性行為によって感染することが多いため、名前からして“おとなの病気”と思われがちですが、感染のリスクは予想より早く訪れます。
そして怖いのは、このHPVの一部の型が、子宮頸がんをはじめとする「がん」の原因になること。
そこで登場するのが、HPVワクチンです。ウイルスへの感染を未然に防ぐことで、将来のがんのリスクをぐっと下げてくれます。
子宮頸がんは、20代〜30代の若い女性に増えているがんです。
年間約10,000人の女性が診断され、3,000人が命を落としています。
これは、1日あたり約8人が亡くなっている計算です。
しかも、子宮頸がんの治療は妊娠や出産にも影響する可能性があります。
「将来、子どもが欲しい」と考えている女の子たちにとって、予防できるチャンスを逃すのはとてももったいない。
「日本は遅れてる」って言葉、あまり使いたくないですが…
ことHPVワクチンに関しては、実はちょっと出遅れてしまっています。
スウェーデンでは、16歳までにHPVワクチンを打った女性の子宮頸がん発症率が88%減少。
オーストラリアでは接種率が高く、2035年までに子宮頸がんを“撲滅”できる可能性があるとまで言われているんです。
こんなに効果がある予防策、やらない手はありませんよね。
HPVワクチンは、小学校6年生〜高校1年生相当の女子に対して、定期接種として無料で受けられます。
これは、「できるだけウイルスが体に入る前に打つ」のが大原則だから。
将来の“もしも”に備えていただきたいと思います。
HPVは女性だけの問題と思われがちですが、実は男性にも深く関係しています。
咽頭がん(のどの奥のがん)
肛門がん
陰茎がん
これらのがんの一部にも、HPVが関係していることがわかっています。
アメリカやカナダ、オーストラリアでは男女ともに定期接種になっています。
日本では男子は自費での接種になりますが、自分自身の健康のためにも、将来のパートナーのためにも、大切な選択になります。
当院HP「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(男性)」
HPVワクチンも他のワクチンと同様、接種後に一時的な副反応が出ることがあります。
腕の腫れや痛み
発熱や倦怠感
ごくまれにアナフィラキシーなどの重い反応
…などが知られていますが、ほとんどは数日で自然におさまります。
もちろん、心配なときは遠慮なく医療機関にご相談ください。
HPVワクチンは、がんという大きな病気を未然に防げる数少ない手段です。
私自身も、娘には必ず接種をさせようと決めています。
それくらい、大切な予防接種です。
「まだ早いかな?」「うちの子には関係ないかも?」と思うかもしれません。
でも、今こそ大事なタイミング。
中学生になったこの機会に、ぜひご家庭で話し合ってみてくださいね。
<参考>
・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症(子宮頸がんワクチン)の予防接種について
・ヒトパピローマウイルス感染症-子宮頸がんとHPVワクチン―
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)