HPV(ヒトパピローマウイルス)
男性ワクチン
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ヒトパピローマウイルス(HPV)は、多くの男性・女性が感染する一般的なウイルスです。
子宮頸がんの原因ウイルスであるとの認識が強いため、女性のみがかかると思っている方もいますが男性も感染します。200種類以上の型があるとされており、男性の約91.3%、女性の約84.6%が生涯のうちに一度は何らかのHPVに感染するという報告があります。感染しても大部分が無症状で自覚症状はなく、1年以内に70%が、2年以内に約90%が自然消失するといわれています。しかし、一部がそのままとどまり長い間排除されずに感染したままでいると、下記のような癌が発生すると考えられています。
| 女性 | 子宮頸がん、肛門がん、膣がん、(癌以外では)尖圭コンジローマ | 男性 | 中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、(癌以外では)尖圭コンジローマ |
|---|
HPVは性的な行為でうつし合うこと、ワクチンではすでに感染しているHPVを排除できないこと、すでに進行しているHPV関連の病変を抑制する効果はないことから、日本での適応を守って、初めての性行為の前に接種することが効果的と考えられます。
そうすることにより、女性においても男性においても、上記の癌はワクチンで高い確率で予防できると考えられます。
HPV(ヒトパピローマウイルス)が関係しているがんは子宮頸がん以外にも、陰茎がん、中咽頭(ちゅういんとう)がん、肛門(こうもん)がんなどが報告されています。具体的に陰茎がんの36%、中咽頭がんの50%、肛門がんに至っては93%がHPV感染によるものとされています 。
このことからも分かるようにHPVは実は身近なウイルスで、がんとも大いに関係しているのです。またHPVは主に性行為で感染するため、女性だけの問題ではなく、男性にも関係のあるウイルスです。
アメリカ・イギリス・オーストラリアなどでは、男性も無料で定期接種が行われています。自分自身だけでなく、大切なパートナーを病気から守るためにもHPVワクチンは男性にも必要なものであると考えており、ひいては近い将来、日本においても男性への定期接種が行われるようになることを願ってやみません。
これまで、男性が接種できるHPVワクチンは4価ワクチン(ガーダシル®)のみでしたが、2025年8月25日より、より広範囲のHPVの型を予防できる9価ワクチン(シルガード9®)が男性にも承認され、当院でも接種可能となりました。
| ワクチンの種類 | シルガード9® | ガーダシル® |
|---|---|---|
| 対応するHPV型 | 6、11、16、18、 31、33、45、52、58型 |
6、11、16、18型 |
| 対象年齢 | 9歳以上 | 9歳以上 |
| 料金 | 1回/38,500円 | 1回/22,000円 |
| 接種回数 | 9歳~14歳:2回、15歳以上:3回 | 3回 |
| 起こりうる副反応 |
10%以上: 注射部位の疼痛、腫脹、発赤など 1~10%: 発熱、掻痒感など 1%未満: 倦怠感、出血など 頻度不明: 無重力、悪寒など |
10%以上: 注射部位の疼痛、腫脹、発赤など 1~10%: 発熱、掻痒感など 1%未満: 硬結、出血、下痢、四肢痛など 頻度不明: 関節痛、筋肉痛、疲労感など |