各ワクチンについて
A型肝炎
概要
- A型肝炎は加熱処理されていない食べ物や飲み物から感染する病気で、上下水道の整備の悪い国を含めてアジア、アフリカ、中南米と広く流行している病気です。
- 発熱や倦怠感と黄疸があらわれて発症します。多くは後遺症もなく治りますが、劇症肝炎といって命にかかわることもあります。
- 発症すると入院治療が必要となる場合があります。
ワクチン接種について
- 60歳代以下の日本人のほとんどは免疫を持っていないといわれているため、流行している途上国に滞在する人に接種が推奨されます。
- 3回接種で抗体が付きます。ワクチンは2~4週間隔で2回接種します。6か月目に追加接種をすると、少なくとも5年以上の効果が続くとされています。
狂犬病
概要
- 狂犬病に感染した動物(イヌ、ネコ、キツネ、コウモリなど)に咬まれ、唾液中に排出されるウイルスが傷口より体内に侵入することにより感染するため、咬まれた場合は出来るだけ早く医療機関を受診することが重要な病気です。
- 発症するとほぼ100%死亡します。
- 日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、海外ではほとんどの国で感染する可能性がある病気です。
ワクチン接種について
- 渡航前の接種(暴露前接種)は3回接種が必要です。詳しいスケジュールはお問い合わせください。
- 3回接種すると3年間有効です。2~3年毎に1回追加するとさらに3年有効です。
ポリオ
概要
- ポリオウイルスによって、急性の麻痺が起こる病気です。
- WHOでは、ポリオが発生している国に渡航する場合は、以前にポリオの予防接種を受けていても渡航前に追加の接種を推奨しています。
- アジアやアフリカの一部の国ではまだポリオの発生が確認されていますので、渡航される方は、現地での行動様式や感染状況に応じて追加の予防接種を検討してください。
ワクチン接種について
- 3回接種(初期免疫2回 追加1回)
- 子供のころに接種歴がある方は、1回接種をおすすめしています。
髄膜炎菌性髄膜炎
概要
- 鼻水や咳などによる飛沫感染で、髄膜炎菌が鼻、喉、気管の粘膜から体に入り、血液や髄液などへ侵入すると菌血症や敗血症、細菌性髄膜炎などの病気を引き起こします。
- 髄膜炎菌による髄膜炎などの病気は、ほかの細菌による病気と比べて病状が急激に進行することが特徴です。
- 発症後2日以内に5〜10%が死亡すると言われています。適切な治療を受けても、10〜20%の割合で神経障害や手足の切断などの後遺症を残すこともある病気です。
ワクチン接種について
- 大勢の人が集まるところに行く予定(ライブ、コンサート、スポーツ観戦など)がある方は接種を検討して下さい。
- 海外留学で入寮する場合、特に米国の学校では入学に際して接種証明を求められることが多いので注意が必要です。
- アフリカや中東、特に「髄膜炎ベルト」と呼ばれるサハラ砂漠以南、セネガルからエチオピアにかけての帯状の地域に含まれる国々へ渡航する時は接種が必要です。
- 2歳〜55歳に1回接種を推奨しています。
破傷風
概要
- 破傷風菌は世界中の土壌に広く分布し、日本でも毎年患者が発生している病気です。
- 破傷風菌は傷口から感染し、菌が産生する毒素が神経に作用して死に至ることもある病気です。
ワクチン接種について
- 渡航先での野外の仕事や辺境地への旅行などで怪我をする可能性が高い人、特に途上国では怪我をしやすく、医療へのアクセスが良くないことで命に関わる可能性もありますので接種を推奨しています。
- 2種混合ワクチン(DT)を12歳の時に受けていれば、20代前半くらいまでは免疫が持続するとされています。その後は1回の追加接種で約10年間有効な抗体が付きます。
DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳)
概要(ジフテリア)
- 飛沫・接触感染し、喉などに感染して毒素を放出する細菌の感染症です。
- 毒素が心臓の筋肉や神経に作用することで、眼球や横隔膜(呼吸に必要な筋肉)などの麻痺、心不全等を来たして、重篤になる場合や亡くなってしまう場合があります。
概要(百日咳)
- 飛沫・接触感染し、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)が特徴で、全回復するまで約2~3ヶ月かかる病気です。
- 1歳以下の乳児、特に生後6カ月以下では重症化することがあります。
ワクチン接種について
- 百日咳の抗体は5〜10年で低下を認めるので、乳児期に接種していても5〜10年毎のワクチン接種を進めています。
- 破傷風ワクチンも含めたワクチンであるため、渡航前に破傷風ワクチンではなく3種混合ワクチンの接種をすることも可能です。
ワクチンの種類について
DPT 3種混合ワクチン(国内承認ワクチン)
- 全年齢対象のため、10歳未満の方にも接種できます。
Tdap(輸入ワクチン)
- 10歳以上で接種可能なワクチンです。
- DPTと比べてジフテリアの抗原量が少ないため、副作用が少ないと言われています。
- 留学先によっては、Tdapの接種が指定されています。
腸チフス
概要
- チフス菌で汚染された飲食物によって感染します。衛生基準が高くない国で流行しており、東南アジア・南アジア・アフリカで流行しています。
- 感染経路からA型肝炎と流行地域が類似しています。
ワクチン接種について
- 国内で承認された腸チフスワクチンはなく、輸入ワクチンのみです。
- 南アジアでは薬剤耐性のある腸チフス菌も多く報告されているため、特に接種が推奨されます。
- 2歳以上で接種可能なワクチンです。
- 1回接種で約3年間有効です。
帯状疱疹
概要
- 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症し、主に体の片側に痛みを伴う発疹や水ぶくれが現れます。
- 初期症状には皮膚の痛みや違和感、かゆみがあり、続いてピリピリと刺すような痛みが生じることがあります。
- 海外渡航先で帯状疱疹を発症した場合、現地で治療は可能ですが高額な医療費が予想されます。
- 免疫力の低下が引き金となり、50歳以上で発症率が高く、予防にはワクチン接種が推奨されます。
ワクチン接種について
- 国内で承認されたワクチンを接種します。
- 50歳以上の方が対象になります。
- 2回接種します(2ヶ月あけて)