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「うちの子、なんだかお腹がゆるくて…」
クリニックでよく耳にするお悩みのひとつが、お子さんの下痢です。
こどもの下痢はとても身近な症状ですが、その原因は年齢によってさまざま。一口に「下痢」と言っても、注意が必要なケースから、一時的なもので心配ないケースまでいろいろあります。
今回は、こどもの下痢について、年齢別に考えられる原因と、ご家庭でできるケア、そして「こんな時は受診を!」というポイントを日本小児科学会小児科専門医の視点から解説します。
医学的には、便の水分量が増えて、形がない、またはドロドロの便が頻繁に出る状態を「下痢」と呼びます。単に排便回数が多いだけでなく、便の性状がポイントです。
この時期の下痢は、大人と比べて脱水になりやすく、注意が必要です。
1. 急性胃腸炎(ウイルス性・細菌性)
こどもの下痢の最も多い原因です。ウイルスや細菌が胃腸に感染して炎症を起こします。
2. 乳糖不耐症
母乳やミルクに含まれる乳糖という糖を分解する酵素がうまく働かないために下痢を起こします。
3. 乳児下痢症
特に原因が見当たらないのに、下痢が続く状態を指します。多くは離乳食開始後や特定の食品が原因になることもありますが、心配ないことが多いです。
4. 食物たんぱく誘発胃腸症(消化管アレルギー)
特定の食品に含まれるたんぱく質が原因で、下痢や嘔吐、血便などを引き起こすアレルギーの一種です。特に牛乳や卵が原因となることが多いです。
症状
ミルクを飲んだ後に下痢や嘔吐を繰り返す、体重が増えない、といった症状がみられます。アレルギー検査では陰性になることもあり、診断が難しい場合があります。
活動範囲が広がり、手づかみ食べも増えるため、ウイルスや細菌に感染する機会が多くなります。
1. 急性胃腸炎(ウイルス性・細菌性)
乳児期と同様に最も多い原因です。保育園や幼稚園での集団生活を通じて感染が広がることもあります。
2. 薬剤性腸炎
抗生物質(抗菌薬)を服用した後に下痢になることがあります。抗菌薬は悪い菌だけでなく、腸内の善玉菌も一緒に殺してしまうため、腸内細菌のバランスが崩れることが原因です。
症状
抗菌薬を飲み始めて数日後に下痢が始まることが多いです。便が緑色になることもあります。
3. 機能性便秘による「下痢」
「え、下痢なのに便秘?」と思われるかもしれませんね。実は、頑固な便秘によって、固くなった便の周りを水分が通り抜けてしまうことで、下痢のように見えることがあります。
対処法
この場合、便秘の治療が下痢の改善につながります。
ストレスや生活習慣が下痢の原因になることも増えてきます。
1. 過敏性腸症候群(IBS)
ストレスが原因で、腹痛を伴う下痢や便秘が続く病気です。
症状
朝の登校前やテスト前など、緊張する場面で腹痛が起こり、その後下痢をする、といったパターンが多いです。
2. 炎症性腸疾患(IBD)
クローン病や潰瘍性大腸炎など、腸に慢性的な炎症が起こる病気です。
症状
腹痛や下痢が長期間続き、血便、発熱、体重減少などを伴うことがあります。比較的まれな病気ですが、これらの症状が続く場合は受診して下さい。
これらの症状が見られる場合は、すぐに小児科を受診してください。特に乳幼児は脱水が進みやすいので要注意です。
こどもの下痢は、多くの場合、ウイルス性胃腸炎などによる一時的なものですが、中には隠れた病気が原因であることもあります。
ご心配なことがあれば、いつでもご相談ください。私たち「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」は、こどもたちの健やかな成長を、ご家族と一緒に見守っていきたいと考えています。
この記事が、子育て中の皆さんの不安を少しでも和らげる助けになれば幸いです。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)