そのやけど、大丈夫? 知っておきたいやけどの正しい応急処置と判断のポイント - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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そのやけど、大丈夫? 知っておきたいやけどの正しい応急処置と判断のポイント - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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そのやけど、大丈夫? 知っておきたいやけどの正しい応急処置と判断のポイント

当院皮膚科・小児皮膚科では、お子さんから大人の方まで、幅広く皮膚のトラブルを診察しています。今回は、誰もが一度は経験するかもしれない「熱傷(やけど)」についてお話ししたいと思います。

「たかがやけど」と安易に考えがちですが、その重症度は見た目だけでは判断が難しいものです。特に、熱傷を負いやすい状況の理解、そして迅速で適切な初期対応が、その後の治癒に大きく影響します。このブログでは、やけどの重症度から初期対応、そしてQ&A形式でよくある疑問にもお答えしていきます。


 

やけどをしたら、まずコレ! 正しい応急処置

 

やけどを負った時、まず何よりも大切なのは「冷やすこと」です。

  • 冷やす
    やけどした部分をすぐに流水(水道水)で15~30分ほど冷やし続けます。シャワーを直接当てるのではなく、やけどした部分に水をやさしくかけるようにしましょう。冷やすことで、熱が体の奥に広がるのを防ぎ、痛みを和らげ、やけどの進行を食い止めることができます。
  • 衣服を脱がせる
    熱湯がかかった場合など、熱くなった衣服が皮膚に張り付いてしまうことがあります。無理に脱がそうとすると皮膚を傷つけてしまうことがあるので、やけどした部分の衣服はハサミで切って取り除きましょう。
  • 清潔に保つ
    できるだけ早く医療機関を受診してください。
  • NG行為✖
    やけどした部分に氷を直接当てる冷やしすぎる水ぶくれを破るアロエや軟膏を自己判断で塗る、などの行為は絶対にやめてください。特に、水ぶくれは破れると細菌感染のリスクが高まります。


 

そのやけど、大丈夫? 重症度を正しく知ることから始めよう

 

やけどは、熱いものに触れたり、熱湯をかぶったりすることで、皮膚の組織が損傷を受ける状態です。その重症度は、皮膚のどの深さまで損傷が及んだかによって、主に3段階に分けられます。

 

1度熱傷(I度熱傷):ヒリヒリ、赤くなる、水ぶくれはない

 

これは、やけどの中でもっとも軽いものです。皮膚の表面、つまり表皮のみが傷ついた状態を指します。

  • 症状
    皮膚が赤くなり、ヒリヒリとした痛みを伴います。日焼けと似た状態を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。
  • 治癒
    数日から1週間程度で、跡を残さず治ることがほとんどです。この段階であれば、多くの場合、ご自宅での適切な処置で十分対処可能です。ただし、広範囲にわたる場合は注意が必要です。

 

2度熱傷(II度熱傷):水ぶくれができる、強い痛み

 

2度熱傷は、さらに深い部分、真皮まで損傷が及んだ状態です。ここからは、その深さによってさらに2つに分けられます。

 

浅達性2度熱傷(II度a熱傷)

 

  • 症状
    皮膚に水ぶくれができます。強い痛みがあり、触れるとさらに痛むのが特徴です。やけどした部分が赤く、じくじくと湿った感じになることもあります。
  • 治癒
    通常、1~2週間で治ります。適切に処置すれば、跡はほとんど残りませんが、やけどの程度によっては、一時的に色素沈着が残ることもあります。

 

深達性2度熱傷(II度b熱傷)

 

  • 症状
    水ぶくれができるのは同じですが、その下にある真皮の深い部分まで損傷しているため、皮膚は白っぽく、あるいはまだらに赤くなります。痛みはあまり感じないか、鈍い感覚しかないことがあります。これは、皮膚の奥にある神経まで損傷しているためです。この痛みのなさこそ、かえって重症であるサインなのです。
  • 治癒
    治るまでに数週間~1ヶ月以上かかります。多くの場合、やけどの跡(瘢痕)が残ることがあります。

 

3度熱傷(III度熱傷):皮膚が黒焦げ、痛みがない

 

これは、もっとも重症度の高いやけどです。皮膚の全ての層(表皮・真皮)が破壊され、さらにその下の皮下組織、筋肉、骨にまで損傷が及んでいる状態です。

  • 症状
    やけどした部分が白~黄色、あるいは黒色になり、炭化したように見えます。皮膚の感覚は完全に失われており、痛みは全く感じません。
  • 治癒
    皮膚が再生することはないため、自然治癒は見込めません。専門的な治療、多くの場合、皮膚の移植手術が必要となります。

 

やけどの重症度を判断する3つの要素

 

やけどの重症度は、「深さ」だけでなく、「広さ」と「場所」も重要な判断基準になります。

 

1. やけどの「広さ」

 

やけどの広さは、手のひらの大きさを基準に判断します。自分の手のひらを広げた面積を体表面積の約1%として計算します。

  • 大人の場合:体表面積の10%以上
  • 小児の場合:体表面積の5%以上

上記に該当する広範囲のやけどは、水分や体温調節機能に影響が出やすいため、入院が必要となる場合もあります。

 

2. やけどの「場所」

 

やけどを負った場所によっても重症度は変わります。以下の場所にやけどを負った場合は、早急な医療機関の受診が必要です。

  • 顔面
    顔のやけどや火災などで高温の煙を吸った場合は、呼吸器や視力、聴力に影響を及ぼす可能性があります。
  • 手足の指や関節
    やけどが治る過程で皮膚が硬くなり、動きに支障をきたすことがあります。
  • 陰部や肛門
    感染のリスクが高まります。

 

熱傷に陥りやすい状況を知って、事故を防ぐ

 

やけどは、日常生活のあらゆる場面で起こり得ます。特に注意したい状況をいくつかご紹介します。

  • キッチン
    料理中の熱い油や鍋、沸騰したお湯、蒸気によるやけどは非常に多いです。お子さんがいるご家庭では、手の届く場所に熱いものを置かないようにすることが大切です。
  • お風呂
    給湯器の設定温度が意図せず高くなっていたり、入浴中に熱いお湯を足したりすることでやけどを負うことがあります。特に、乳幼児や高齢者の方の入浴時は温度をこまめに確認しましょう。
  • 低温やけど
    電気毛布、湯たんぽ、カイロなど、比較的低い温度でも長時間接触することで、見た目以上に深い熱傷を負うことがあります。痛みを感じにくいため、気づいた時には皮膚の深い部分まで損傷していることが多いのが特徴です。感覚が鈍っている方(糖尿病の方など)、お酒を飲んで寝てしまった方、乳幼児、高齢者は特に注意が必要です。

 

患者さんが気になる! よくあるQ&A

 

Q1:やけどした後に、跡が残らないか心配です。

A1: 1度熱傷や、適切な処置が施された浅達性2度熱傷であれば、通常、跡は残りません。しかし、深達性2度熱傷や3度熱傷の場合は、やけどの跡(瘢痕)やケロイドが残ることがあります。治癒過程で、保湿や紫外線対策、場合によっては圧迫療法などを行うことで、跡をきれいにすることが可能です。気になる場合は、早めに医師にご相談ください。

Q2:やけどに「〇〇の軟膏」や「アロエ」を塗ってもいいですか?

A2: 自己判断で市販の軟膏や民間療法を行うのは避けてください。やけどした直後は、まず流水で冷やすことが最優先です。軟膏などを塗ると、その後の医師の診察を妨げることがあります。また、民間療法は科学的根拠に乏しく、かえって感染を引き起こすリスクがあります。


 

まとめ:大切なのは「迅速な処置」と「正しい判断」

 

やけどは、早期の適切な処置がその後の治癒に大きく影響します。もしもの時は、まず流水でしっかりと冷やし、落ち着いてやけどの程度を確認しましょう。そして、「これは大丈夫かな?」と少しでも不安に感じたら、ためらわずに医療機関を受診してください。

当院では、お子さんだけでなく、大人のやけどについても丁寧な診察と処置を行っています。やけどについて不安なことがあれば、

当院の皮膚科は、お子様はもちろんのこと、大人の患者様も診察しています。やけどだけでなく、アトピー性皮膚炎、じんましん、水いぼ、いぼ、虫刺され、乾燥肌など、皮膚に関するお悩み全般に対応しております。

 

当院皮膚科・小児皮膚科は日時指定の予約制です。発熱患者さんとは別のクリーンな待合室と診察室で対応しています。Web予約サイトの「皮膚科」タグからご予約を取得していただくとともにWeb問診の入力をおねがいいたします。

 

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当院のSNSでは、小児科・皮膚科に関する役立つ情報や、季節ごとの病気の注意点などを発信しています。ぜひフォローしてください!

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武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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