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お子さんの血尿、慌てないで!~小児科医がやさしく解説~

「おしっこの色がいつもと違う…」
「なんか赤いような気がする…」
「健診の尿検査で血尿がありますって言われたけど…」

お子さんの尿に異変を見つけたり、健診の尿検査で指摘されると、ドキッとしますよね。特におしっこに血が混じる血尿は、保護者の方にとって大きな心配の種だと思います。

ご安心ください。お子さんの血尿は、見た目ほど深刻な病気ではないことがほとんどです。でも、中には見過ごしてはいけないサインが隠れていることもあります。

このブログでは、小児科医の視点から、お子さんの血尿について、保護者の皆さんが知っておくべきことを分かりやすくお話しします。

 

そもそも「血尿」ってどんなもの?

「血尿」と聞くと、真っ赤なおしっこを想像するかもしれません。しかし、血尿には大きく分けて2つの種類があります。

1. 肉眼的血尿(にくがんてきけつにょう)
これは、見た目でおしっこが赤っぽい、茶色っぽい、コーラのような色をしている場合を指します。明らかに色がいつもと違うため、保護者の方もすぐに気づくことが多いです。

2. 顕微鏡的血尿(けんびきょうてきけつにょう)
こちらは、肉眼ではおしっこの色に変化がなく、見た目は普通のおしっこと同じです。健康診断などで、尿検査をした際に顕微鏡で見て初めて赤血球が混ざっていることがわかるタイプです。

「おしっこの色が赤い!」と思っても、必ずしも血が原因とは限りません。例えば、野菜のビーツを食べた後や、リファンピシンという薬を飲んだ後、色素が尿に出て赤く見えることがあります。これを「偽性血尿(ぎせいけつにょう)」といいます。

本当に血尿かどうか、まずは冷静に判断することが大切です。

 

お子さんの血尿、よくある原因は?

お子さんの血尿は、様々な原因で起こります。代表的なものをいくつかご紹介します。

 

1. 風邪や感染症の後に起こる血尿

お子さんの血尿で最も多いのが、風邪や溶連菌感染症などの後に起こるものです。特に、溶連菌に感染した後、2~4週間ほど経ってから血尿が出ることがあります。これは急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)という病気で、腎臓の中にあるフィルター(糸球体)に炎症が起こることで、おしっこに血やタンパクが混ざってしまいます。

この病気は、むくみや高血圧を伴うことがあり、注意が必要です。安静と治療が必要になります。
溶連菌感染後などに顔がむくむ、尿が少ないなどあれば、小児科で尿検査や血液検査、腎臓超音波検査などをして、腎臓の状態をチェックします。

 

2. 特発性・遊走腎(とくはつせい・ゆうそうじん)

これは、特に原因が見つからないタイプの血尿です。運動した後や、疲れが溜まっている時に一時的に血尿が出ることがあります。多くの場合、痛みもなく、しばらくすると自然に治まります。

「遊走腎」というのは、腎臓が正常な位置よりも下に下がってしまい、尿管が引っ張られることで血尿が出ることがある状態です。特に、やせ型のお子さんでよく見られます。

 

3. 膀胱炎や尿道炎

大人と同様に、お子さんでも膀胱炎尿道炎といった尿路感染症で血尿が出ることがあります。この場合、おしっこをする時の痛み(排尿時痛)や、残尿感、頻尿を伴うことが多いです。

特に女の子は、男の子に比べて尿道が短いため、細菌が入りやすく、膀胱炎になりやすい傾向があります。

 

4. 腎臓や尿路の異常

まれですが、腎臓や尿管、膀胱に結石があったり、生まれつきの形態異常があったりする場合にも血尿が出ることがあります。このような場合は、超音波検査などで詳しく調べることが必要です。

 

5. 遺伝性の腎臓病

ご家族に腎臓の病気を持つ方がいる場合、アルポート症候群などの遺伝性の病気が原因で血尿が出ることがあります。この場合は、聴力検査や眼科での検査も合わせて行うことがあります。

 

どんな時に病院に行くべき?

「血尿が出た!」「健診の尿検査で血尿を指摘された!」とパニックになる必要はありません。まずは落ち着いて、お子さんの様子を観察してみてください。

【すぐに病院を受診すべきサイン】

  • 顔や足がむくんでいる
  • 頭痛がして、ぐったりしている
  • おしっこがほとんど出ない、または全然出ない
  • 高熱が出ている
  • お腹や背中に強い痛みがある

これらの症状は、腎臓の機能が悪くなっている可能性や、他の病気が隠れている可能性を示しています。このような場合は、迷わずすぐに小児科を受診してください。


【急がないが受診したほうが良いケース】

  • 元気で食欲もあり、いつもと変わらない
  • 痛みやむくみなどの症状が全くない
  • 数日様子を見ていたら、おしっこの色が元に戻った

この場合も、念のため一度小児科で尿検査をすることをおすすめします。健康診断などで顕微鏡的血尿を指摘された場合も、一度小児科を受診して、腎臓の機能に問題がないか確認しておくと安心です。

 

当院での診療の流れ

当院では、お子さんの血尿に対して、以下のような流れで診療を進めていきます。

  1. 問診
    いつから血尿が出ているか、他の症状はないか、風邪をひいていなかったか、などを詳しくお伺いします。
  2. 尿検査
    お子さんに採尿してもらい、尿の中にどれくらいの赤血球やタンパクが混ざっているか、細菌はいないかなどを調べます。朝1番最初の中間尿で検査を行うことが多いです。
  3. 身体診察
    お腹や背中を触ったり、むくみがないかを確認したりします。必要に応じて血圧や体重も測ります。
  4. 追加検査
    尿検査の結果や診察所見から、さらに詳しい検査が必要と判断した場合は、血液検査や腹部超音波検査を行うこともあります。

 

これらの検査で原因を特定し、お子さんに合った治療方針を立てていきます。

 

お子さんの血尿、保護者の方ができること

お子さんの血尿が見つかったら、まずは焦らず、おしっこの色や回数、お子さんの様子をメモしておくと良いでしょう。また、病院を受診する際は、「いつから」「どんな色か」「何か変わったことはあったか」などを具体的に伝えられるようにしておくと、スムーズに診療が進みます。

 

まとめ

お子さんの血尿は、多くの場合は心配のない一過性のものです。しかし、中には注意が必要な病気が隠れていることもあります。
「うちの子のおしっこ、大丈夫かな…?」と不安に思ったら、ご相談ください。

「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」では、お子さんの小さな体のサインも見逃さないよう、丁寧な診療を心がけています。もし血尿でお悩みの際は、どうぞお気軽にご来院ください。

 

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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