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当院は、お子さんの風邪や予防接種・健診はもちろん、アレルギー、夜尿、低身長、心臓、赤ちゃんのあたまの形、便秘、トラベルワクチンなど、さまざまなご相談にお答えしています。どんなことでもお気軽にご相談ください。
さて、今回は少し注意が必要な、お子さんの「食餌性腸閉塞」についてお話しします。
「腸閉塞」と聞くと、大人では手術後の癒着が原因になることが多いとご存知の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、お子さんの場合、意外な食べ物が原因で腸閉塞を起こすことがあるのです。
特に、消化しにくい食べ物が関わることが多く、その代表的なものが「きのこ」「餅」「海藻」などです。
「えっ、うちの子も食べてるけど大丈夫?」と心配に思われた方もいらっしゃるかもしれません。一緒に学んでいきましょう。
「きのこ」は、食物繊維が豊富で健康に良いイメージですよね。それは間違いありません。しかし、この食物繊維が、消化不良を引き起こす原因になることがあるのです。
特に、しいたけやえのきなどのきのこは、消化されにくい細胞壁を多く持っています。十分に噛まずに飲み込んでしまうと、胃や腸で消化されずに、そのままの形で塊となってしまうことがあります。
例えば、ラーメンに入っているきくらげ。コリコリとした食感が美味しいですが、これも塊になりやすい食べ物です。あるお子さんは、きくらげの塊が腸に詰まってしまい、激しい腹痛で救急外来を受診されました。
また、「海藻」も同様です。わかめや昆布は、体内で水分を吸って膨らむ性質があります。小さく切ったつもりでも、胃や腸の中で大きく膨らみ、塊となってしまうことがあるのです。
「餅」も、食餌性腸閉塞の原因としてよく知られています。
お正月やお祝いの席で食べる機会が多いお餅ですが、その粘り気と弾力性から、噛み切ることが難しく、そのまま飲み込んでしまうことがあります。すると、胃や腸の中で塊となり、腸を塞いでしまうのです。
お餅による腸閉塞は、窒息のリスクも伴います。特に小さなお子さんの場合、お餅を喉に詰まらせてしまう事故が後を絶ちません。
では、もしお子さんが食餌性腸閉塞になった場合、どのような症状が現れるのでしょうか?
主な症状は以下の通りです。
これらの症状が複数現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。特に、腹痛がひどい、嘔吐が止まらない、顔色が悪い、といった場合は救急車を呼ぶことも検討しましょう。
腸閉塞の治療は、原因や重症度によって異なります。
多くの場合、まずは絶食と点滴で腸を休ませることから始めます。そして、腸に溜まった内容物を出すために、胃にチューブを入れて排出したり、薬を使って便を柔らかくしたりします。
それでも改善しない場合や、腸に穴が開いてしまう可能性がある場合は、手術が必要になることもあります。
ご家庭での応急処置として、自己判断で下剤などを飲ませるのは絶対にやめましょう。かえって症状を悪化させる危険性があります。
「うちの子は大丈夫!」と思っていても、いつ何が起こるかわかりません。大切なのは、日頃から予防を心がけることです。
きのこや海藻、こんにゃくなどは、お子さんの年齢に合わせて、小さく刻んだり、すりつぶしたりしてから食べさせてあげましょう。
わかめスープやひじきの煮物も、お子さんが食べやすいように工夫してください。
「よく噛んで食べようね」と声をかけるだけでなく、食事の時間を十分に確保して、ゆっくりと噛んで食べる習慣をつけさせましょう。
「ごっくん」と飲み込む前に、何回も噛む練習をさせてあげてください。
水分が不足すると、腸の動きが悪くなり、便秘や腸閉塞のリスクが高まります。食事中だけでなく、日頃からこまめに水分を摂ることを促しましょう。
便秘は、腸閉塞のリスクを高める大きな要因です。お子さんの便が硬い、なかなか出ない、お腹が張っている、などの症状が見られたら、早めに小児科を受診しましょう。
食餌性腸閉塞は、日頃のちょっとした工夫で予防できます。
当院では、お子さんの健康に関するどんなことでも、お気軽にご相談いただけるようなクリニックを目指しています。
「こんなこと聞いてもいいのかな?」と迷うようなことでも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)