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先日、ニュースで大きく取り上げられていたこの事件をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
Yahooニュース「また原因は「鶏レアチャーシュー」 体調不良続出のラーメン店、神戸市が食中毒断定・営業停止命令」
この事件、原因は「カンピロバクター」という細菌による食中毒でした。カンピロバクターによる食中毒は、重い後遺症を残すこともある「ギラン・バレー症候群(GBS)」を発症する可能性も秘めています。
子どもたちにも起こりうる、カンピロバクター食中毒。今回はその症状や原因、予防法、そして後遺症のひとつである「ギラン・バレー症候群」について、小児科専門医の立場から詳しくお話しします。
カンピロバクターは、動物の腸の中にいる細菌で、特に鶏肉に多く存在します。
目では見えないほど少量(100個程度)でも感染しやすいのが特徴で、生や加熱不十分なお肉、汚染された水や調理器具を介して人の体内に入り、食中毒を引き起こします。
夏にバーベキューを楽しむご家族もいると思います。注意をお願いします。
発熱(高熱になることも)
腹痛
下痢(水様便や血便)
嘔吐
頭痛・筋肉痛(大人に多いが、子どもでも見られる)
多くは数日で回復しますが、小さなお子さんでは脱水症状や高熱が長引くこともあり、注意が必要です。
カンピロバクターの感染後、まれに免疫の異常反応が起きて「ギラン・バレー症候群」という神経の病気を引き起こすことがあります。
これは、自己免疫が神経を攻撃してしまう疾患で、発症すると以下のような症状が出ます。
手足のしびれや脱力
歩行困難
顔面麻痺
呼吸筋麻痺(重症例)
完全回復する方も多いですが、回復までに数か月以上かかることもあり、入院とリハビリが必要です。
厚生労働省の情報によると、主な感染経路は以下の通りです。
生または加熱不十分な鶏肉の摂取
調理器具や手指を介した二次汚染
ペット(特に犬や猫)の糞便との接触
感染力が強いため、少量でも体内に入ると発症するリスクがあります。
中心温度75℃以上で1分以上が目安です。
「見た目が白くなった」だけでは不十分。芯まで火が通っているか確認しましょう。
まな板・包丁・トングなどは肉用と野菜用で分けると安心です。
生肉を触ったら石けんでしっかり手洗い。
特に調理中やお子さんの世話をする前後には丁寧に。
小さなお子さんが犬や猫のふんに触れたあと、手をなめてしまうことで感染するケースも。
これから暑くなる季節は、細菌性食中毒が増える時期です。
「なんとなくおなかの調子が悪い」「熱と下痢が続いている」といった症状がある場合、早めに医療機関を受診しましょう。
特に、水分がとれない、ぐったりしているといった症状があるときは、脱水症状のサインです。すぐに小児科を受診してください。
カンピロバクターは、少量でも感染する食中毒菌。特に鶏肉には要注意。
子どもが感染すると、下痢・嘔吐・発熱・腹痛などを引き起こし、脱水症に注意。
まれに、ギラン・バレー症候群という重い後遺症につながることがある。
家庭での調理と衛生管理が最大の予防策。
ペットを飼っているご家庭も要注意!
<参考・関連>
・厚生労働省HP「カンピロバクター食中毒予防について」
・慶應義塾大学病院「ギラン・バレー症候群」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)