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子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐワクチンです。これまでHPVワクチンの効果に関しては、子宮頸がんになる前段階の「異形成(前がん病変)」を防ぐとされていました。
この度、医学誌「The New England Journal of Medicine」にHPVワクチンに子宮頸がんそのものを防ぐ効果があることが、スウェーデンの国民データベースを用いた大規模な検討で明らかになりました。この研究では、スウェーデンの10〜30歳の女性176万人のHPVワクチン接種歴と子宮頸がん発症の有無を分析し、接種した女性では大幅にがんにかかるリスクが減っていることを示しました。
特に、17歳未満でHPVワクチン接種することにより子宮頸がんが88%減少したことがわかりました。
日本では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しています。また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。
HPVワクチンは小学校6年生から高校1年生までの女子を対象に、現在でも公費で接種できる定期予防接種となっていますが、過去に接種後に体調を崩した(慢性の痛みや運動障害など)という報告があったことから、現在の接種率は1%未満まで落ちています。
※平成28年に厚生労働省研究班からHPVワクチン接種後の「多様な症状」は、HPVワクチン接種後に特有の症状ではないことが示されています。
※現在では、ワクチン接種後に何らかの症状が現れたとしても、診療相談窓口が全国85医療機関(全ての都道府県)に設置されています。
WHO(世界保健機関)がHPVワクチンおよびがん検診の普及を柱とした子宮頸がん排除のための活動をしており、先進国の中ではHPVワクチンの普及により子宮頸がんの撲滅が視野に入った国が出てきている一方で、日本では上記の如く子宮頸がん患者は数は増加しており、ワクチンで防げるがんを防げない状態に陥っています。
この「17歳未満でHPVワクチン接種することにより子宮頸がんが88%減少した」という報告をきっかけに、日本の多くのお母さん、小学校高学年の女の子たちがHPVワクチンの効果や注意点を知る機会となり、ひいては子宮頸がんのリスクが低下・排除されることを祈っています。
当院では、HPVワクチン接種の際に痛みに配慮し、接種前に鎮痛作用のあるテープを貼る対応も行っています。
お問合せや接種のご希望がありましたら、当院までお電話(044-739-0888)ください。
<出典>
・The New England Journal of Medicine記事:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1917338
・日本産科婦人科学会HP:http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
・VPDを知って、こどもを守ろう!KNOW★VPD:https://www.know-vpd.jp/children/va_c_cancer.htm
川崎市中原区
アクセス:武蔵小杉、新丸子、元住吉、武蔵中原
武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
院長 大熊 喜彰・林 真由美
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)