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日々の診療で、
「子どもの顔が真っ赤なんだけど、これってリンゴ病?」
と心配されて来院される親御さんにお会いすることは多々あります。
今回は、「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」、通称「リンゴ病」について、日本小児科学会認定小児科専門医の視点から詳しくお話ししたいと思います。
リンゴ病は、パルボウイルスB19というウイルスが原因で起こる、子どもの間でよく見られる感染症です。感染すると、まるでリンゴのように両頬が真っ赤になることから、この愛称で呼ばれています。
正式名称の伝染性紅斑は、「伝染する赤い発疹の病気」という意味です。まさに、その名前通りの病気ですね。
この病気、実は発疹が出た頃には、すでにウイルスの排泄がほぼ終わっているため、発疹が出てからほかの人にうつす心配はほとんどありません。これが、インフルエンザや手足口病など、他の感染症と大きく違う点です。
感染力が最も強いのは、発疹が出る前の、いわゆる風邪の症状が出ている時期です。具体的には、熱や鼻水、だるさといった、風邪にそっくりな症状が見られます。この時期に、咳やくしゃみなどでウイルスが飛び散り、それを吸い込むことで感染が広がります。
「うちの子、もしかして…?」と思ったら、以下の典型的な経過を参考にしてみてください。
「顔が赤くなって、体に変な発疹が出てる!」と慌ててしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。
実は、リンゴ病の発疹は、かゆみや痛みを伴わないことがほとんどです。そのため、基本的には特別な治療は必要ありません。発疹は数日から1週間ほどで自然に消えていきます。
しかし、注意していただきたい点がいくつかあります。
これは多くの親御さんが疑問に思う点だと思います。
リンゴ病は、発疹が出始めた時にはすでに感染力がほとんどありません。そのため、熱がなく、お子さん本人が元気で、食欲もいつも通りであれば、登園・登校は可能です。
ただし、保育園や幼稚園、学校によっては独自のルールを設けている場合があります。事前に確認されることをお勧めします。
ほとんどの場合、リンゴ病は自然に治る良性の病気です。しかし、いくつかのケースでは注意が必要です。
リンゴ病は、大人にも感染します。特に、妊娠中に初めて感染すると、流産や胎児水腫(お腹の中の赤ちゃんに水がたまる病気)を引き起こす可能性があります。
そのため、もしお子さんがリンゴ病と診断された場合は、妊婦さんとの接触は避けるようにしてください。また、妊娠中の方は、お子さんの周りでリンゴ病が流行している場合は、手洗い・うがいを徹底し、感染予防を心がけましょう。
溶血性貧血とは、赤血球が壊れやすい病気の総称です。この病気を持つお子さんがリンゴ病に感染すると、体内の赤血球が急激に減少し、重い貧血を引き起こす可能性があります。
この場合は、小児科医の指示に従い、適切な治療を受ける必要があります。
リンゴ病は、見た目がとても特徴的なので心配になるかもしれませんが、ほとんどの場合は特別な治療をせずとも自然に治る、比較的おだやかな病気です。
大切なのは、以下の3つのポイントを覚えておくことです。
もし、お子さんの発疹がリンゴ病かどうか判断に迷う場合や、かゆみなどの症状がある場合は、お気軽に当院までご相談ください。
お子さんの健やかな成長を、これからも全力でサポートさせていただきます。
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Instagram: 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
<参考>
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)