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「うちの子、健診の尿検査で蛋白陽性っていわれたけど…?」こどもの蛋白尿のお話

3歳児健診や5歳児健診、保育園や幼稚園、学校での尿検査で、「おしっこにタンパク質が出ています」と指摘され、びっくりしたり、不安になったりしていませんか?

「え?うちの子、どこか悪いの?」
「腎臓の病気なの?大丈夫かな…?」

そんなお母さん、お父さんの心配な気持ち、とてもよくわかります。今日は、お子さんの蛋白尿について、一緒に学んでいきましょう。


 

そもそも、尿検査の「蛋白尿」ってなに?

私たちの体は、たくさんのタンパク質でできています。このタンパク質は、血液の中にもたくさん含まれていて、体のいろいろなところで大切な役割をしています。
健康な腎臓は、この大切なタンパク質が体からおしっことして出ていってしまわないように、しっかりせき止めるフィルターのような役割をしています。だから、健康なお子さんのおしっこには、通常、タンパク質はほとんど含まれません。

でも、尿検査で「蛋白尿」と指摘されるのは、このフィルターの働きが一時的に、あるいは病気によって、うまくいかなくなって、タンパク質がおしっこに漏れ出してしまっている状態を指します。

「タンパク質が漏れ出ている」と聞くと、なんだかとても怖いことのように感じますよね。でも、実は、お子さんの蛋白尿のほとんどは、そこまで心配のいらないものが多いんです。


 

実はほとんどが心配いらない?!「生理的蛋白尿」とは

「え?そうなの?」と思われるかもしれませんが、本当です。お子さんの場合、生理的蛋白尿や一過性蛋白尿といって、一時的で病気とは関係のない蛋白尿が、とてもよく見られます。

具体的には、以下のような時に出やすいと言われています。

  • 激しい運動の後
    運動をすると、腎臓への血流が増えたり、一時的に血圧が上がったりすることで、フィルターからタンパク質が漏れやすくなることがあります。マラソン大会の後などに指摘されることが多いです。
  • 発熱時
    風邪などで熱が出ている時も、体の代謝が活発になり、腎臓に負担がかかるため、蛋白尿が出やすくなります。
  • 脱水状態の時
    水分が足りないと、おしっこが濃くなり、相対的にタンパク質の濃度が高くなることがあります。
  • 起立性蛋白尿
    これは「思春期に多い」と教科書に書かれていることが多いのですが、朝一番のおしっこ(横になっている状態)では出ないのに、日中(起き上がっている状態)にだけ出る蛋白尿のことです。お子さんの体が成長するにつれて、腎臓の血管が引っ張られるなどして、一時的に蛋白尿が出ることがあります。これも、病気ではありませんので、心配いりません。

このように、たまたま運動の後だったり、風邪をひいていたり、あるいは起き上がって活動している時間帯だったり…。

お子さんの体のちょっとした変化で、おしっこにタンパク質が検出されることは、決して珍しいことではないんです。

では、どうすれば「心配ないもの」か「きちんと検査した方が良いもの」かを見分けられるのでしょうか?


 

「もう一度、朝一番のおしっこを調べてみましょう」と言われるのはなぜ?

もしお子さんが園や学校の健診で蛋白尿を指摘されたら、多くの場合、まず「もう一度、朝一番のおしっこを調べてみてください」と言われます。

これには、きちんとした理由があります。

先ほどお話した「起立性蛋白尿」は、横になって寝ている間は出ません。なので、朝起きてすぐ、トイレに行く前の一番最初のおしっこで検査をして、もしそこでタンパク質が出なければ、「起立性蛋白尿」の可能性が高い、つまり心配ないと判断できるからです。

当クリニックでは、もし健診で蛋白尿を指摘されたら、まずご家庭で朝一番のおしっこを採取してきていただき、再検査をすることをおすすめしています。


 

でも、こんな場合は「精密検査」が必要かもしれません

再検査で「心配ない」と判断されるお子さんがほとんどですが、中にはより詳しい検査が必要な場合があります。

たとえば、次のような場合です。

  • 朝一番のおしっこでも、継続して蛋白尿が出ている
  • 蛋白尿の量がとても多い
  • 蛋白尿だけでなく、血尿も一緒に出ている
  • むくみ(特にまぶたや足)がある
  • 血圧が高い

このような場合、「腎臓病」という、少し深刻な病気が隠れている可能性があります。 特に、「血尿も一緒に出ている」「むくみがある」「血圧が高い」といった症状が伴う場合は、できるだけ早く小児科を受診して、詳しい検査(血液検査や超音波検査など)をすることをおすすめします。糸球体腎炎やネフローゼ症候群、紫斑病成人炎などを疑って精査する場合があります。

ご家庭で、お子さんのむくみや血圧をチェックするのは難しいかもしれません。 でも、もし「あれ?なんだかまぶたが腫れぼったいな」とか、「最近、おしっこの量が少ない気がする」といった変化に気づいたら、遠慮なくご相談ください。


 

まとめ

お子さんの蛋白尿を指摘された時、一番大切なのは、「まずは再検査をする」ことです。

多くの場合、それは心配のない「生理的蛋白尿」であることがほとんどです。 不安な気持ちでインターネットを検索して、余計に心配になってしまうよりも、まずはかかりつけの小児科に相談して、正しい情報を得ることが大切です。

もし、健診結果で「蛋白尿」の文字を見つけて、どうしたらいいか迷ったら、いつでもお気軽にまずはお電話(044-739-0888)でご相談ください。

<参考>
慶應義塾大学病院KOMPAS「小児の腎臓の病気」

 

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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