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「うちの子のおねしょ、どうしたらいいの…」「夜尿症」に悩むママ・パパへ:原因と解決策を日本小児科学会認定小児科専門医が解説

今日は、多くのご家庭が悩まれている「夜尿症」についてお話ししたいと思います。

「もう小学生なのに、おねしょが治らない…」「いつまでおむつを履かせればいいんだろう…」

そんな風に不安に思っていませんか?おねしょは、お子さんの成長の過程で自然に起こること。でも、小学校に入ってからも毎日のように続くと、親御さんも「これって、病気なのかな?」と心配になりますよね。

結論からお話しすると、「おねしょ」と「夜尿症」は違います。

5歳未満のお子さんの夜間のおねしょは、成長の過程でよくあることなので、医学的には「夜尿症」とは診断されません。しかし、5歳を過ぎても月に数回以上おねしょをしてしまう場合は、「夜尿症」と診断され、治療の対象になることがあります。

夜尿症は、本人の自尊心にも影響を与えたり、進学や宿泊行事などで支障をきたしたりすることもあります。しかし、決して恥ずかしいことではありませんし、ご家庭だけで悩む必要もありません。この記事では、夜尿症の原因から治療法、ご家庭でできる工夫まで、小児科医の視点からわかりやすくお伝えします。


 

そもそも「おねしょ」と「夜尿症」は何が違うの?

まず、この2つの違いを整理しましょう。

夜尿症は、「5歳以上のお子さんが1カ月に1回以上頻度で無意識に寝ている間におしっこをしてしまうことが3カ月以上続いた状態」を指します。7歳における夜尿症の児童の割合は10%程度といわれており、年齢とともに自然と治っていくことも多い(年間10%程度ずつ自然に治る)ですが、0.5~数%は夜尿が解消しないまま成人に移行するといわれています。 小学校入学後も続く場合は、夜尿症として適切な治療を検討する必要があります。

では、なぜ夜尿症が起こるのでしょうか?原因は、大きく分けて2つあります。

  1. おしっこをためておけない
    夜、眠っている間のおしっこを減らすことができない、あるいは膀胱が十分に広がらずおしっこをためておけない状態です。
  2. 夜間に目が覚めない
    膀胱におしっこが溜まっても、脳に「おしっこがしたい!」という信号がうまく伝わらず、目を覚ますことができない状態です。

このどちらか、または両方が原因となって夜尿症は起こります。決して、お子さんの「やる気」や「気持ち」の問題ではありません。叱ったり、怒ったりしても治るものではないので、まずは原因を理解してあげることが大切です。


 

夜尿症の原因をさらに詳しく見てみましょう

夜尿症の原因は、お子さんによって様々です。いくつか具体的な例を挙げてご説明します。

 

1. 「おしっこをためておけない」タイプ

このタイプのお子さんは、以下のような特徴が見られます。

  • 抗利尿ホルモンの分泌不足
    夜間は通常、抗利尿ホルモンというおしっこの量を減らすホルモンが分泌されます。しかし、このホルモンの分泌が不十分だと、寝ている間もおしっこがたくさん作られてしまい、膀胱にたまりきらずに漏れてしまいます。
  • 膀胱の機能的な未熟さ
    まだ膀胱が十分に成長しておらず、少しおしっこがたまっただけで、漏れてしまうことがあります。

 

2. 「夜間に目が覚めない」タイプ

このタイプのお子さんは、深い眠りに入りやすく、おしっこがしたいという感覚で目が覚めることが難しい傾向があります。

  • 睡眠中の覚醒障害
    おしっこをしたいという膀胱からの信号が、脳までうまく届かず、目が覚めないために夜尿が起きます。

お子さんによっては、両方の原因が組み合わさっていることもあります。当クリニックでは、お子さんの状態を詳しく診察し、適切な治療方針をご提案します。


 

夜尿症の治療法にはどんなものがあるの?

「夜尿症って、自然に治るんでしょ?」

そう思われる方もいるかもしれません。もちろん、成長とともに自然に治ることも多いのですが、小学校の高学年になっても続いたり、本人がストレスを感じている場合は、積極的に治療を検討した方が良い場合もあります。

主な治療法は、大きく分けて2つあります。

 

1. 薬物療法

夜尿症の原因に応じて、お薬を服用する方法です。

  • どんな薬があるの?
    • 抗利尿ホルモン薬:おしっこの量を減らすホルモンを補うお薬です。夜間の尿量を減らすことで、夜尿の回数を減らすことができます。
    • 抗コリン薬:膀胱の緊張を和らげ、おしっこをためる量を増やすお薬です。
  • メリットは?
    • 比較的早く効果を実感しやすいです。
    • お子さんの負担も少ないです。
  • デメリットは?
    • 薬をやめると再発することがあります。
    • 医師の指示に従い、適切な量を服用することが大切です。

 

2. アラーム療法

夜尿症の治療の1つで、おねしょをするとアラームが鳴る装置を使って、本人が排尿を認識し、排尿を我慢する力を養うことを目的としています。最短でも3か月程度継続します。

  • どうやってやるの?
    • おむつにセンサーをつけて、おしっこで濡れるとアラームが鳴る仕組みです。
    • アラームが鳴ることで、本人が排尿を認識し、排尿を我慢する練習をすることで、膀胱の容量を増やし、夜尿症を改善することが目的です。
  • メリットは?
    • 根本的な改善が期待できます。
    • おしっこをためる膀胱のトレーニングにもなります。
  • デメリットは?
    • 夜中にアラームが鳴るので、家族の協力が必要です。
    • ご家庭での根気強い取り組みが大切です。

薬物療法もアラーム療法も単独での有効性は60-70%です。当クリニックでは、これらの治療法を組み合わせたり、お子さんの状態に合わせて最適な治療法をご提案します。


 

ご家庭でできる工夫:夜尿症改善のヒント

治療と並行して、ご家庭でできるちょっとした工夫が非常に大切です。

 

1. 生活習慣の見直し

  • 水分摂取の仕方
    夕食後からの水分摂取はコップ一杯250mL程度にしましょう。特に、カフェインを含む飲み物(お茶やジュースなど)は利尿作用があるため、夕方以降は避けるのが良いでしょう。
  • 塩分を控えめに
    塩分を摂りすぎると、喉が渇きやすくなり、水分をたくさん摂ってしまいます。
  • 寝る前にトイレに行く習慣:寝る前に必ずトイレに行く習慣をつけ、完全に排尿してから寝ましょう。

 

2. 褒めて、励まして、見守る

  • 叱らない
    夜尿は、お子さんの意思でコントロールできるものではありません。決して叱ったり、責めたりしないでください。お子さん自身が一番辛く、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、ひいては自尊心の低下につながってしまいます。
  • 成功体験を増やす
    夜尿がなかった日には「今日は濡れなかったね!すごいね!」と成功したことを褒めましょう。カレンダーにシールを貼るなど、見える形で頑張りを認めてあげるのも良い方法です。
  • 家族みんなで協力
    夜尿症は、お子さんだけの問題ではありません。ご家族みんなで協力して、お子さんを温かく見守ってあげることが、何よりも大切です。

 

最後に…

夜尿症は、決して恥ずかしい病気ではありません。そして、ご家庭だけで抱え込む必要もありません。

もし、「うちの子、夜尿症かも?」と心配になったら、まずはお気軽にご相談ください。 当クリニックでは、お子さん一人ひとりの状態を丁寧に診察し、ご家族に寄り添いながら、最適な解決策を一緒に探していきます。

お子さんの笑顔のために、私たち全力でサポートいたします。

<関連>
・当院HP「夜尿症(おねしょ)でお困りの方へ」
・当院Blog「夜尿症(おねしょ)に悩む親御さんへ:原因と解決のヒント」

<参考>
日本小児泌尿器学会HP「夜尿症」

 

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院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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