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<事故予防⑤>お子さんの水筒、斜めがけは要注意!転倒事故が引き起こす思わぬケガのリスク

お子さんたちは、元気に外で遊び回っていることでしょう。公園で、通学路で、色とりどりの水筒を肩から下げて歩くお子さんの姿をよく目にします。水分補給は、熱中症予防のためにも大切ですよね。

しかし、その「斜めがけ」の水筒が、思わぬ事故の原因になる可能性があることをご存知でしょうか?

今回は、消費者庁からも注意喚起がなされている「水筒を斜めがけした状態での転倒事故」について、小児科医の視点から、その危険性と対策を具体的にお話ししたいと思います。


ChatGPTで作画

 

1. 水筒の斜めがけ、なぜ危険なの?

「え、うちの子もいつも斜めがけしているけど、大丈夫でしょ」

そう思われた親御さんもいらっしゃるかもしれません。もちろん、多くのお子さんは問題なく過ごしています。しかし、ほんの一瞬の出来事が、取り返しのつかない事故につながることもあるのです。

 

【危険な理由その1】転倒時、水筒がちょうどみぞおちやお腹辺りに挟まり強打する
お子さんは大人に比べて、内臓を保護する皮下脂肪や筋肉、骨が未発達です。そのため、外部からの衝撃が直接内臓に伝わりやすく、大きなダメージを受けやすいという特徴があります。転倒時に、ちょうど水筒がみぞおちや腹部に強打してしまい内臓損傷をきたす事例が多く報告されています。

 

【危険な理由その2】水筒のストラップが首を絞めてしまう可能性
転んだ勢いで、水筒が体の下に入り込み、ストラップが首に巻き付いてしまう可能性もゼロではありません。特に、ストラップの長さが調整されていない場合や、小さなお子さんの場合、窒息のリスクも考慮しなければなりません。

 

消費者庁の調査では、実際に転倒時に水筒が体に当たり、内臓損傷や骨折などの重傷を負った事例が報告されています。また、ストラップが首に絡まって窒息した事例も海外で報告されているのです。

 

2. 実際にどんなケガが起きているの?具体的な事例

「うちの子は大丈夫」と思いがちですが、事故は本当に予測不可能です。具体的にどのようなケガが報告されているか見てみましょう。

  • 事例1:転倒し、お腹に水筒が強く当たって内臓損傷
    • 幼稚園の帰り道、走っていて転倒。斜めがけしていた水筒がお腹に強く当たり、腹部を激しく打撲。内臓損傷と診断され、緊急手術となりました。
  • 事例2:顔から転倒し、歯が折れる、顔面に深いキズ
    • 公園の遊具から降りる際に足を滑らせ、斜めがけの水筒が胸の前で固定されてしまったため、顔面から転倒。前歯が折れて、顔面に深い裂傷を負いました。
  • 事例3:腕の骨折
    • 走っていて転びそうになり、とっさに手を出そうとしたところ、水筒が邪魔になりうまく手をつくことができず、腕の骨に強い衝撃が加わり骨折してしまいました。

これらの事例は、決して特別なことではありません。いつ、どのご家庭のお子さんに起こってもおかしくないのです。

 

3. もし事故が起こってしまったら?冷静な対処と受診の目安

「もし、うちの子が転んでしまったら…」

もしもの時、親御さんはパニックになってしまうかもしれません。でも、慌てずに、落ち着いて対処することが大切です。

【その場で確認すること】

  1. お子さんの様子を観察する
    • 転んだ直後、お子さんは泣きじゃくっているかもしれません。まずは、お子さんの意識がはっきりしているか、呼びかけに反応するかを確認してください。
    • どこを痛がっているか、声に出して聞きましょう。「お腹かな?頭かな?」と優しく声をかけてあげてください。
  2. ケガの状況を確認する
    • 外傷がある場合は、出血の有無や傷の深さを確認します。
    • 服の上からでも、腹部や胸部、頭部に強い打撲の跡や、へこみ、変形がないか確認します。
    • 水筒が当たったと思われる部分に触れてみて、痛みの程度を確認してください。
  3. 意識を保ち、安静にさせる
    • 意識が朦朧としている、吐いている、けいれんを起こしているなど、明らかに様子がおかしい場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
    • 意識がはっきりしている場合でも、しばらくは安静にさせ、水分を少量ずつ与えながら、注意深く観察を続けてください。

【こんな時はすぐに受診を!】

見た目には軽いケガに見えても、内臓や頭にダメージを受けている場合があります。以下の症状が一つでも当てはまる場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 意識の変調:呼びかけへの反応が鈍い、意識が朦朧としている。
  • 吐き気・嘔吐:転倒後に何度も吐く。
  • 腹痛:水筒がお腹に当たった後、お腹を強く痛がる。
  • 顔色の悪さ:顔が真っ青になる、ぐったりしている。
  • 呼吸困難:息苦しそうにしている。
  • 血尿・血便
  • 体の麻痺:手足が動かない、しびれがある。
  • 外傷:出血が止まらない、深い傷がある、頭を強く打っている。

特に、腹部に水筒が強く当たった場合は、内臓損傷の可能性も考えられます。内臓のケガは、最初は症状が出にくく、時間が経ってから急変することもあるため、「念のため」の受診が非常に重要です。

 

4. 小児科医として伝えたい、大切な2つの対策

では、どうすればこのリスクを減らすことができるのでしょうか?

 

対策1:水筒は斜めがけではなく、なるべくリュックに入れる

これが一番の対策です。

  • 通園・通学時:リュックサックのサイドポケットに入れる。
  • 公園などで遊ぶとき:水筒はベンチに置いておくなど、必要時以外は体に身につけさせない。

「えー、でも子どもが嫌がるんです…」というお声も聞こえてきそうですね。その際は、お子さんと一緒に危険性を話し合ってみましょう。
「水筒が邪魔で、うまく転べなくなっちゃうんだよ」「お顔とか、お腹に水筒が当たって痛い思いをするかもしれないんだよ」と、お子さんが理解できる言葉で丁寧に説明してあげてください。

 

対策2:保護者の方が常に危険を予測し、見守る

これは当たり前のことかもしれませんが、最も重要な対策です。

  • お子さんが走るとき、階段を上り下りするとき、遊具で遊ぶときなど、特に注意が必要な場面では、「水筒が邪魔じゃないかな?」と声をかけてあげてください。
  • 遊んでいる最中に、水筒が邪魔になっていないかみてあげましょう。遊ぶときは、保護者が水筒を受け取りましょう。

親御さんの「気づき」が、お子さんの安全を守る大きな力になります。

 

4. まとめ:お子さんの安全のために、少しの意識を

今回は、水筒の斜めがけによる転倒事故のリスクについてお話ししました。

「水筒なんて、ただの道具でしょう?」

いえいえ、お子さんにとっては、時に大きなケガの原因になってしまうこともあります。小児科医として、私たちが一番願っているのは、お子さんたちが毎日を元気に、笑顔で過ごしてくれることです。そのためには、ご家庭でほんの少し意識を変えることが、とても大切になります。

このブログが、親御さんにとって、お子さんの安全を再確認するきっかけとなれば幸いです。

<参考>
消費者庁「水筒を持ち歩くときの転倒事故に注意!」

 

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院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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