ブログ
Blog
Blog
当院の「トラベルワクチン外来」では海外出張、その帯同、旅行、留学などで海外渡航するかたが多く受診されています。楽しい海外生活の準備の真っ只中、「そういえば、海外の感染症って大丈夫なのかな…?」と、ふと心配になることもあるかもしれません。
今回は、トラベルワクチン通信として「B型肝炎」を説明します。
トラベルワクチン外来はお電話で受け付けております(044-739-0888)。
「B型肝炎」という名前は聞いたことがあっても、具体的にどんな病気かご存じない方もいらっしゃるかもしれませんね。B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで、肝臓に炎症が起きる病気です。
感染すると、
特に、乳幼児期に感染すると、高確率で慢性化することが知られています。
B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。具体的には、以下のようなケースが考えられます。
想像してみてください。海外で急な体調不良になり、現地の病院を受診することになったとします。残念ながら、国によっては医療水準が日本と同じではない場合もあります。そのような状況で、もしB型肝炎ウイルスに感染してしまったら…と考えると、とても心配ですよね。
そんなB型肝炎から身を守るために、最も効果的なのがワクチン接種です。B型肝炎ワクチンを接種することで、体の中にB型肝炎ウイルスへの「免疫」ができ、感染を防ぐことができるようになります。
「でも、B型肝炎って大人もかかるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。はい、大人もかかります。そして、海外での滞在期間が長くなればなるほど、B型肝炎ウイルスに触れる機会も増える可能性があります。
ここで一つ、重要な点をお伝えさせてください。現在の日本では、生まれてくる赤ちゃんは全員、B型肝炎ワクチンを定期接種しています(ユニバーサルワクチネーションといいます)。そのため、今の小さなお子さんたちは、B型肝炎に対して免疫を持っている子がほとんどです。しかし、大人の方の多くは、このワクチンを接種していません。つまり、私たち大人は、B型肝炎ウイルスに感染するリスクを常に抱えている状態なのです。
「自分は気を付けているから大丈夫」と思うかもしれません。しかし、予期せぬ事故や病気で医療行為が必要になったり、思わぬ感染経路でウイルスに触れてしまう可能性はゼロではありません。大切なご自身の体、そして一緒に海外へ行かれるご家族の健康を守るためにも、B型肝炎ワクチンの接種を強くおすすめします。
当院では、国産のB型肝炎ワクチンであるヘプタバックス-Ⅱ®とビームゲン®の接種が可能です。どちらのワクチンも、効果的に免疫をつけるために合計3回の接種が必要です。
海外渡航の直前になって慌てて接種することのないように、余裕を持って接種計画を立てることが大切です。遅くとも渡航の6ヶ月前までには1回目の接種を開始できると良いでしょう。
海外での生活は、新しい発見や素晴らしい経験がたくさん待っています。しかし、同時に思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
「備えあれば憂いなし」という言葉の通り、B型肝炎ワクチンを接種して、安心して海外での滞在を楽しんでいただきたいと思います。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)