赤ちゃんの首の傾き、気になりませんか?いつも首をかしげてる?!「斜頸」のお話 - 武蔵小杉駅の小児科 - 武蔵小杉森のこどもクリニック小児科・皮膚科のブログ

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赤ちゃんの首の傾き、気になりませんか?いつも首をかしげてる?!「斜頸」のお話

「うちの子、いつも首をかしげている気がして…」

「寝かせると、いつも同じ方向ばかり向いているんです」

こんな風に、赤ちゃんの首の傾きについて心配されて、クリニックにいらっしゃるご家族にお会いすることがあります。今回は、そんな赤ちゃんの首の傾き「斜頸(しゃけい)」について、日本小児科学会認定小児科専門医の視点から、分かりやすくお話ししたいと思います。


 

斜頸って、どんな状態?

 

斜頸とは、病名ではなく、首がどちらかに傾いている状態を指す言葉です。斜頸の原因はいくつかありますが、赤ちゃんの場合、特に多いのが筋性斜頸非筋性斜頸の2つです。

「何だか難しそう…」と感じますか?大丈夫です。それぞれを、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

1. 筋性斜頸(きんせいしゃけい)

 

これは、首の筋肉の1つである「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が硬くなって、首が傾いてしまう状態です。
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨にかけて走る筋肉で、首を動かすのにとても重要な役割を担っています。この筋肉が、お腹の中にいる時から、あるいは生まれた後に、一部が硬くなってしまったり、しこりができたりすることで、筋肉が縮んでしまい、首が傾くのです。

生まれてすぐには気づきにくいことも多く、生後2〜3週間頃から首に小さなこぶ(しこり)として触れるようになることがあります。このしこりは、硬いコリコリとした感触で、まるで小豆のような、あるいは親指の先のような大きさです。
生まれた時の状況、例えばお産に時間がかかったり、逆子だったり、多胎児だったりする際に、この筋肉に負担がかかることが原因として考えられています。

この筋性斜頸は、自然に改善することがほとんどで、生後6ヶ月頃までには約9割の子が良くなります。

 

2. 非筋性斜頸(ひきんせいしゃけい)

 

これは、筋性斜頸以外の原因で首が傾いている状態です。

例えば、

  • 姿勢の癖(向き癖)
    いつも同じ方向ばかり向いて寝ていることで、その向きに慣れてしまい、首が傾いてしまうことがあります。これは病気ではなく、環境的な要因が大きいです。
  • 骨の異常
    生まれつき、首の骨(頚椎)の形に異常がある場合があります。これは非常にまれですが、放っておくと成長に影響が出ることがあります。
  • 目の異常
    目の筋肉のバランスが悪く、両目で物を見るために首を傾けてしまうことがあります。

このように、一見すると同じ「首の傾き」でも、原因は様々です。だからこそ、自己判断せずに、一度小児科で診てもらうことが大切なのです。


 

気になる!こんな時どうしたらいいの?

 

「うちの子、もしかして斜頸かも…?」そう感じたら、まずは冷静に、赤ちゃんの様子をよく観察してみましょう。

  • どのくらいの頻度で傾いていますか?
  • 寝ている時も、起きている時も、常に同じ方向に傾いていますか?
  • 首を動かす時、反対側に向けたがらない、嫌がる様子はありませんか?
  • 首の付け根や筋肉に、硬いしこりや膨らみはありませんか?

特に、首の付け根に硬いしこりがある場合は、筋性斜頸の可能性が高いです。また、反対側を向きにくそうにしていたり、常に同じ方向を向いている場合は、向き癖筋性斜頸が考えられます。
もし、少しでも気になることがあれば、迷わず相談してください。


 

斜頸の診断と治療

 

クリニックでは、まず赤ちゃんの首の動きや、首の筋肉の状態を丁寧に診察します。触診で硬いしこりがないか、首の可動域はどうか、詳しく確認します。

 

診断

 

診察の結果、

  • 「向き癖」が強い場合
    特別な治療は必要なく、ご家庭での工夫で改善を促していきます。ホームケア指導いたします。
  • 「筋性斜頸」の疑いがある場合
    ご家族に詳しく病状を説明し、自宅でできるストレッチやマッサージの方法をお伝えします。
  • 骨や目の異常、あるいは他の病気が疑われる場合
    レントゲンやエコー検査、CT、MRIなどの精密検査や、専門の医療機関への紹介を検討します。

ほとんどの斜頸は、筋性斜頸向き癖によるものです。そのため、まずはご家庭でのケアが中心となります。

 

自宅でできるケア:向き癖を直すための工夫

 

お子さんの首の傾きが「向き癖」によるものであれば、日常生活の中で、向きを変える工夫をすることで改善が期待できます。

1. 寝る時の姿勢を変える

  • お子さんが好きな向きとは反対側を向くように、寝る位置や体の向きを少しずつ調整してみましょう。
  • お子さんがベッドの端で寝る癖があるなら、頭と足の位置を逆にしてみましょう。
  • ベッドを壁に寄せていて、いつも壁側を向いて寝ているなら、反対側にしてみましょう。

2. 興味を引くものを利用する

  • 向きぐせと反対側から授乳してみましょう。
  • おもちゃやガラガラなど、お子さんが興味を持つものを、好きな向きとは反対側に置いてみましょう。
  • ママやパパが話しかける時も、反対側から声をかけるようにしてみましょう。

3. ストレッチとマッサージ

筋性斜頸と診断された場合は、優しくストレッチやマッサージをして、硬くなった筋肉をほぐしてあげましょう。

  • ストレッチ:お子さんを仰向けに寝かせ、首の傾いている方向とは反対側に、ゆっくりと優しく首を倒してあげます。この時、決して無理やり行わないでください。お子さんが嫌がる場合はすぐにやめましょう。
  • マッサージ:しこりのある場所を、優しく円を描くようにマッサージしてあげましょう。

これらのケアは、毎日少しずつ、お子さんの機嫌の良い時に行うのがポイントです。


 

経過観察と注意点

 

筋性斜頸は、自然に治ることがほとんどです。

ですが、中には改善が見られず、手術が必要となるケースもごく稀にあります。

もし、

  • 生後6ヶ月を過ぎても首の傾きが改善しない
  • 反対側を全く向けない
  • 首の可動域が非常に狭い

といった場合は、再度小児科医に相談し、必要に応じて整形外科医やリハビリテーションの専門医と連携して治療を進めていきます。


 

まとめ:一番大切なこと

 

赤ちゃんの首の傾きが気になった時、一番大切なことは「一人で悩まないこと」です。

  • 斜頸には様々な原因があること
  • 多くは自然に良くなること
  • ご家庭でのケアがとても有効であること

この3つのポイントを覚えておいてください。

もし、少しでも不安に感じることがあれば、お気軽に当院にご相談ください。

 

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武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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