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赤ちゃんのおむつ替えのとき、「おしりが赤くなっていてびっくりした」「かぶれて痛そうでかわいそう…」と感じたことはありませんか?
それは、「おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)」かもしれません。
赤ちゃんの肌はとても繊細で、ほんの少しの刺激でもすぐにトラブルが起こります。
今回は、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の立場から、「おむつかぶれ」の原因、治療法、そして再発予防のポイントまで、わかりやすく解説します。
「おむつかぶれ」は、おむつで覆われている部分の皮膚に起きる炎症のことです。
具体的には、おしり・陰部・太ももの付け根などに赤み、ブツブツ、ただれが見られる状態を指します。
症状が軽いうちはうっすらと赤い程度ですが、悪化すると、
ヒリヒリ痛がっておむつ替えで泣く
肌がただれてジュクジュクする
便やおしっこがしみてつらそうにする
といった、赤ちゃんにとってつらい状況になることもあります。
赤ちゃんのおしりが赤くなる原因は、いくつかあります。代表的なものを見てみましょう。
排泄物に含まれるアンモニアや酵素が、皮膚のバリアを壊してしまいます。特に、うんちの回数が多い時期や、下痢気味のときは要注意。
おむつの中は、常に湿気が高い状態。汗や排泄物でムレると、皮膚がふやけて刺激に弱くなり、こすれによって炎症が起こります。
「清潔にしなきゃ」と思って、ゴシゴシこすってしまうと逆効果。皮膚が傷ついて、かぶれを悪化させてしまうことがあります。優しく押し拭きが良いでしょう。
離乳食が始まると、便の成分が変わり、酸性に傾いて肌への刺激が強くなることがあります。特に初期のころは頻繁にうんちが出るため注意が必要です。
「おむつかぶれかな?」と思ったら、以下のケアを実践してみましょう。
おしっこやうんちをしたら、できるだけ早く交換することが大切です。長時間おむつが濡れたままだと、炎症が悪化します。
おしりふきを使う場合は、アルコールフリー・無香料のものを選びましょう。可能であれば、ぬるま湯で洗い流すのがおすすめです。
清潔にした後は、ワセリンや亜鉛華軟膏などを厚めに塗って皮膚を保護しましょう。薬局で購入できる市販薬もありますが、悪化している場合は自己判断は避け、医療機関を受診してください。
おむつかぶれには、ただの炎症だけでなく、「カンジダ」というカビが原因の皮膚炎が隠れている場合もあります。
次のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
赤みが治らず、ブツブツが広がっている
ジュクジュクしていて黄色いかさぶたができている
市販のクリームで良くならない
カンジダ皮膚炎は、抗真菌薬で治療が必要です。通常のスキンケアでは改善しません。
赤ちゃんの肌を守るために、日々できる工夫を紹介します。
家にいるときは、おむつを外して「おしりを乾かす時間」をつくる
無理におしりふきを使わず、シャワーを活用する
おむつは肌に合った通気性の良いものを選び、締めすぎないように
おしりの皮膚が赤くなりやすいときは、事前に保護クリームを塗る
Q. おむつかぶれ用の市販薬は使ってもいいですか?
→ 軽い症状ならワセリンやベビー用保護クリームで対応可能ですが、治らない場合や悪化する場合は自己判断せず皮膚科を受診しましょう。
Q. おむつかぶれとアレルギーの違いは?
→ アレルギー(接触性皮膚炎)は、おむつの素材や洗剤、クリームの成分が原因になることがあります。範囲や経過が異なるため、心配な場合は専門医の診断を受けてください。
おむつかぶれは、早期の対応と適切なケアで、悪化を防ぎ、赤ちゃんの快適な生活を守ることができます。気になる症状がある場合や、繰り返してしまう場合は、ぜひ皮膚科にご相談ください。
赤ちゃんの肌の健康を守るのも、皮膚科の大切な役割です。
「こんなことで受診していいのかな?」と思うようなことでも、遠慮なくご相談くださいね。
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)