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「うちの子、実家に行くとよく目をこすっているな…」
「わんちゃんや猫ちゃんがいるお友達の家に行くと、急に鼻水が出始める気がする…」
今回は多くのご家庭で悩みの一つとなりうる「犬・猫アレルギー」について、エビデンスを大切にしながら、できるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。
まず、アレルギーの基本からお話ししましょう。アレルギーとは、私たちの体を守る「免疫」というシステムが、本来は無害なはずの特定の物質(アレルゲン)に対して、過剰に反応してしまう状態のことを指します。
犬・猫アレルギーの場合、多くの方が「動物の毛」が原因だと思いがちですが、実はそれだけではありません。本当の主な原因(アレルゲン)は、動物のフケ(皮膚から剥がれ落ちた角質)、唾液などに含まれるタンパク質です。
これらのアレルゲンは非常に小さく、軽いため、空気中に長い時間フワフワと漂っています。そして、動物の毛に付着して、部屋のあちこちに運ばれていくのです。ですから、毛の短い種類の犬や猫なら大丈夫、というわけでは必ずしもないのです。この小さなアレルゲンが、お子さんの目や鼻、気管支の粘膜に付着したり、皮膚に触れたりすることで、様々なアレルギー症状を引き起こします。
お子さんに見られる犬・猫アレルギーの症状は、実にさまざまです。一つだけでなく、複数の症状が組み合わさって現れることも少なくありません。
これらの症状は、犬や猫と接触してすぐに現れることもあれば、数時間経ってから出てくることもあります。特に、風邪の症状と非常によく似ているため、「また風邪をひいたのかな?」と見過ごされてしまうケースも少なくありません。「特定の場所(ペットのいる家など)に行くと症状が出る」といった場合は、動物アレルギーの可能性を考えてみてもよいでしょう。
「うちの子、アレルギーかもしれない」と感じたら、ご相談ください。当院では、丁寧な問診と検査を通じて、原因を探っていきます。
ただし、とても大切なことですが、検査で陽性だったからといって、必ずしもそれが症状の直接の原因とは限りません。 お子さんの症状と検査結果を総合的に判断します。
アレルギーと診断された場合、治療の目標は「お子さんが症状に悩まされず、毎日を快適に過ごせること」です。そのために、私たちは主に3つのアプローチを組み合わせて治療を進めます。
この中で、ご家庭での重要な取り組みが「1. アレルゲンの回避と除去(環境整備)」です。
薬で症状を抑えることももちろん大切ですが、アレルギー治療の基本中の基本は、原因となるアレルゲンをできるだけ生活環境から減らすことです。これを「環境整備」と呼びます。環境整備を徹底することで、症状が劇的に改善したり、お薬の量を減らせたりすることが期待できます。
すでにペットと暮らしているご家庭でも、諦めずにできることはたくさんあります。
【ペット自身へのケア】
【住環境の工夫】
これらの対策は、一つひとつは地道な作業ですが、組み合わせることで大きな効果を発揮します。家族みんなで協力して取り組むことが大切です。
「こどもに動物と触れ合う経験をさせてあげたい」そのお気持ちは、とても素晴らしいものです。しかし、アレルギーの可能性がある場合、少しだけ慎重になる必要があります。
動物を家族に迎えるということは、その命に最後まで責任を持つということです。後で「アレルギーだから」と手放すような悲しい事態を避けるためにも、事前の準備と確認を大切にしてください。
犬・猫アレルギーは、時にお子さんの生活の質(QOL)を大きく下げてしまうことがあります。しかし、正しい知識を持ち、適切な対策を講じることで、症状をコントロールし、健やかな毎日を送ることは十分に可能です。
環境整備の方法、お薬の使い方、これからの生活のこと、どんな些細なことでも構いません。どうぞ、お気軽に私たちにご相談ください。
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Instagram: 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)