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頸部嚢胞は、こどもに比較的よく見られる首のしこりの一つです。でも、その名前だけを聞いても、一体何のことかさっぱりわからないお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。
今回は、「頸部嚢胞(けいぶのうほう)」について、特に代表的な「正中頸嚢胞(せいちゅうけいのうほう)」と「側頸嚢胞(そくけいのうほう)」を中心に、日本小児科学会認定小児科専門医の視点からわかりやすくお話ししていきたいと思います。
「首にしこりを見つけたけど、何だろう?」
お子さんの首に、ぷっくりとした小さな膨らみやしこりを見つけたら、ドキッとしてしまいますね。風邪をひいてリンパ節が腫れたのかな?と思っても、なかなか小さくならない。 痛みはないけれど、押すと少し柔らかい感じがする。
そんなとき、それはもしかしたら「頸部嚢胞」かもしれません。頸部嚢胞は、生まれつき首にできる袋状の良性腫瘍のことです。「生まれつき」と聞くと驚かれるかもしれませんが、実は、お母さんのお腹の中にいるときに、体の器官が作られる過程で一部の組織が残り、それが袋状になったものなのです。
この袋の中には、液体や粘液が溜まっていて、時間が経つにつれて大きくなることがあります。
頸部嚢胞には、できる場所によって主に2つの種類があります。
1. 正中頸嚢胞(せいちゅうけいのうほう)
2. 側頸嚢胞(そくけいのうほう)
「良性なら、このままでも大丈夫?」
そう思われるかもしれませんが、頸部嚢胞をそのままにしておくと、いくつかの合併症を引き起こす可能性があります。
1. 感染・炎症
嚢胞の中に細菌が侵入すると、赤く腫れて、熱を持ったり、強い痛みを伴うことがあります。膿が溜まってしまうこともあり、切開して膿を出す必要がある場合もあります。
2. 大きくなる
ゆっくりと時間をかけて大きくなることがあります。大きくなると、見た目の問題だけでなく、周りの神経や血管、気道を圧迫して、呼吸や飲み込みに影響を及ぼす可能性もゼロではありません。
「うちの子のしこり、どうすればいいの?」
お子さんの首にしこりを見つけたら、まずは小児科医にご相談ください。
診断の流れ
治療法
「手術って聞くと、やっぱり怖い…」
そうですよね。お子さんが手術を受けるとなると、お父さんお母さんの不安は尽きないと思います。しかし、頸部嚢胞は放置すると感染や巨大化のリスクがあり、早期に適切に治療することが大切です。手術自体は、専門医が行えば安全に行うことができます。
当院では、お子さんやご家族の不安に寄り添い、丁寧な説明を心がけています。必要であれば、連携している高次医療機関(形成外科など)へスムーズにご紹介します。
「これって何だろう?」と思ったら、どうぞお気軽にご相談ください。
「あれ、このしこり、いつからあったっけ?」
そんな疑問を抱いたとき、このブログが少しでもお役に立てれば幸いです。
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Instagram: 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
<参考>
・日本形成外科学会HP「正中頸嚢胞」
・日本形成外科学会HP「側頸嚢胞」
・日本小児外科学会HP「正中頸嚢胞」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)