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赤ちゃんに離乳食を開始するとき、新しい食材を試してみる時などに「食物アレルギー」と聞くと、不安に感じる親御さんも多いのではないでしょうか。「どんな症状が出るの?」「何を気をつけたらいいの?」「いつか治るの?」…たくさんの疑問が頭をよぎるかもしれません。
当クリニックでは、「家族とともに地域のこども達の健やかな成長と幸せを目指します」という理念のもと、エビデンスに基づいた分かりやすい説明と、お子さん一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。今回は、食物アレルギーについて、最新情報も交えながら、親御さんが安心して向き合えるようにお話ししたいと思います。当院では、必要に応じてアレルギー採血検査(負担を抑えた指先簡易検査もあります)、食物負荷試験、皮膚プリックテストを行っています。
食物アレルギーは、特定の食べ物を食べたときに、体の免疫システムが過剰に反応して、体に良くない症状が出てしまう状態を指します。本来、食べ物は体を健康に保つためのものですが、アレルギー体質のお子さんの場合、特定の食べ物を「異物」と認識してしまい、攻撃するような反応が起きてしまうのです。
症状は多岐にわたります。例えば、
特に「アナフィラキシー」は、皮膚の赤み+ゼイゼイのように複数の臓器に症状が出て、命に関わることもある重いアレルギー反応です。もし、お子さんがこのような症状を示したら、すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。
最新の令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書(消費者庁)では、特に以下の食べ物が上位を占めています。
このように、卵や牛乳、小麦といったおなじみの食材に加え、クルミやイクラといったアレルゲンも上位に挙がってきています。お子さんのアレルギーがどの食べ物によるものかを知ることが、適切な対応の第一歩となります。
お子さんが食物アレルギーと診断された場合、大切なのは「正しく知ること」と「適切に対応すること」です。自己判断せずに小児科専門医・アレルギー専門医を受診することが最も大切です。
食物アレルギーの治療の基本は、「正しい診断に基づいて必要最小限度の食物除去を行う」ということに尽きます。アレルギーがあると診断されても、その食べ物を完全に除去する必要があるとは限りません。医師の指導のもと、お子さん一人ひとりに合った摂取量・除去量を決め、不足する栄養素は代替食品で補うなど、栄養バランスを考えた食生活を送ることが重要です。
・外食・給食・おやつ: 事前にアレルギー情報を伝え、確認を怠らないことが大切です。アレルギー対応食の利用や、代替食の持参なども検討しましょう。
・成分表示の確認: 加工食品を購入する際は、必ず成分表示を確認する習慣をつけましょう。「特定原材料7品目」(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)と「特定原材料に準ずる21品目」の表示は特に注意が必要です。
お子さんの食物アレルギーは、成長とともに食べられるようになる「耐性獲得」が期待できるものも多くあります。特に乳幼児期に発症した卵や牛乳、小麦のアレルギーは、年齢が上がるにつれて治っていく傾向があります。定期的に医師の診察を受け、適切な時期に負荷試験を行い、適切な栄養指導を続け、食べられるようになるタイミングを見極めることが重要です。
食物アレルギーは、お子さんだけでなく、ご家族にとっても大きな負担となることがあります。しかし、正しい知識を持ち、適切な対応をすることで、お子さんは健やかに成長し、ご家族も安心して毎日を過ごすことができます。
もし、お子さんの食物アレルギーについて不安なことや疑問なことがあれば、いつでも「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」にご相談ください。お子さんとご家族に寄り添い、最適なサポートを提供させていただきます。
<参考>
・国立成育医療研究センターHP「食物アレルギー」
・厚生労働省「食物アレルギー」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)