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【小児科医が解説】一年中続く鼻水・鼻づまり。それ、ダニアレルギーかも?~今日からできる対策と「舌下免疫療法」~

当院では「家族とともに未来を担うこども達の健やかな成長と幸せを目指します」という理念のもと、日々たくさんの子どもたちの診療にあたっています。

 

「うちの子、なんだか一年中、鼻をすすっているような…」
「朝起きると、くしゃみを連発している」
「風邪じゃなさそう、鼻詰まりだけがずっと続いている」

こんなお悩みはありませんか? もしかしたら、その症状、ただの風邪や癖ではなく、「ダニアレルギーによる通年性アレルギー性鼻炎」かもしれません。

今回は、特に多くのお子さんが悩んでいる「ダニアレルギー」と、それによって引き起こされる「通年性アレルギー性鼻炎」について、日本専門医機構認定小児科専門医の視点から、そして一人の子どもを想う親の視点に立って、分かりやすくお話ししたいと思います。

 

「通年性」ってどういうこと?花粉症との違い

 

アレルギー性鼻炎と聞くと、春のスギやヒノキによる「花粉症」を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。花粉症は、特定の花粉が飛ぶ季節だけ症状が出るため、「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれます。
一方で、今回お話しする「通年性アレルギー性鼻炎」は、その名の通り、一年を通して症状が続くのが特徴です。その主な原因物質(アレルゲン)の代表格が、私たちのとても身近な環境に潜んでいる「ダニ」なのです。一年中といっても、症状は軽い時も強い時もあります。

 

見えない敵、ダニの正体とは?

 

「ダニが原因」と聞くと、なんだかムズムズ、かゆい気持ちになりるかもしれません。でも、アレルギーを引き起こすのは、生きているダニが身体を刺したりすることではありません。本当の原因は、ダニのフンや死骸が乾燥して非常に小さな粒子(アレルゲン)となり、それを吸い込んでしまうことにあるのです。
このアレルゲンはとても小さく軽いため、空気中に舞い上がりやすく、呼吸とともに鼻や気管支に入り込んでしまいます。 日本の家は、気密性が高く、高温多湿になりやすい環境です。これは人間にとっては快適かもしれませんが、実はダニにとっても天国のような環境。特に、布団やカーペット、布製のソファ、ぬいぐるみなどは、ダニの温床になりやすい場所です。

つまり、お子さんが毎日使っているお気に入りの毛布や、大好きなぬいぐるみが、アレルギー症状の原因になっている可能性があるのです。

 

これってダニアレルギー?お子さんに見られるサイン

 

お子さんは、自分の症状をうまく言葉で伝えられないことがあります。親御さんが「あれ?」と気づいてあげることが、早期発見・早期治療の第一歩です。以下のようなサインがないか、注意深く観察してみてください。

  • モーニングアタック
    朝起きた直後に、くしゃみや鼻水が集中して出る。
  • 鼻の症状
    透明で水のようなサラサラした鼻水、頻繁なくしゃみ、鼻づまり。
  • 目の症状
    目のかゆみ、充血、涙目。目をゴシゴシこする仕草が増える。
  • 特徴的な仕草
    鼻がかゆくて、手のひらで鼻先をこすり上げる動作や、鼻をクンクンならす仕草。
  • 睡眠への影響
    鼻づまりによる口呼吸、いびき、寝苦しさ。
  • 日中への影響
    睡眠不足や鼻炎症状による、集中力の低下、ボーッとしている、なんだか不機嫌。

これらの症状は、風邪の症状とよく似ています。しかし、熱がなく、黄色い鼻水ではなく透明な鼻水が長く続く場合は、アレルギーを疑うべきサインと言えるでしょう。放置してしまうと、副鼻腔炎(蓄膿症)や中耳炎を合併したり、集中力の低下が学業に影響したりすることもあります。

 

クリニックでできること①「まずは正確な診断から」

 

「うちの子、もしかして…」と思ったら、まずは小児科にご相談ください。当院では、まず親御さんから詳しくお話を聞かせていただきます。いつから、どんな時に、どのような症状が出るのか。ご家族にアレルギー体質の方がいるかなどもお聞きします。

その上で、アレルギーが疑われる場合には、アレルギー検査(血液検査)を行います。指先から採血する簡単な検査と一般的な採血検査の2種類をご用意しています。原因がはっきりすれば、対策も治療も、的を絞って行うことができます。

検査の結果、ダニアレルギーと診断された場合、治療のステップに進みます。

 

クリニックでできること②「症状を抑える治療と、体質から変える治療」

 

治療には、大きく分けて2つのアプローチがあります。

1. 対症療法(症状を抑える治療)
今あるつらい症状を和らげるための治療です。抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻の炎症を抑えるステロイド点鼻薬などを使います。これらのお薬は、症状を効果的に抑えてくれますが、あくまで一時的なもので、薬をやめると症状がぶり返してしまうことがほとんどです。

2. アレルゲン免疫療法(体質改善を目指す根本治療)
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を、ごく少量から体に投与していくことで、体をアレルゲンに慣れさせ、アレルギー反応そのものを起こしにくくすることを目指す治療法です。長年のアレルギー症状から解放される可能性のある、唯一の根本的な治療法と言えます。

そして、このアレルゲン免疫療法の中で、注射の痛みがなく、ご自宅で手軽に行えるのが「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」です。

当院でも、ダニアレルギーに対する舌下免疫療法を積極的に行っています。

【舌下免疫療法とは?】 ダニのエキスを含んだお薬を、1日1回、舌の下に1〜2分間保持したあと、飲み込みます。これを毎日、5年間継続します。

  • 対象年齢
    5歳以上のお子さんから開始できます。当院では成人の舌下免疫療法も行っています。親子で取り組んでいる方はたくさんおられます。
  • 期待できる効果
    • くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が大幅に改善します。
    • アレルギーの薬を減らしたり、不要になったりすることが期待できます。
    • 将来的に、気管支ぜんそくなど他のアレルギー疾患を発症するのを予防する効果も報告されています。
  • 安全性
    治療の導入は、副作用(口の中のかゆみや腫れなど)が出ないかを確認するため、クリニック内で行いますのでご安心ください。

治療期間は5年と長く、毎日の継続が必要ですが、お子さんの将来のQOL(生活の質)を大きく向上させる可能性を秘めた、とても価値のある治療です。鼻炎の症状で夜眠れない、勉強に集中できない、といった悩みを根本から解決できるかもしれません。ご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

ご家庭でできる!エビデンスに基づいたダニ対策

 

治療と並行して、原因となるダニを身の回りから減らす「環境整備」も非常に重要です。闇雲に掃除をするのではなく、効果的なポイントを押さえることが大切です。

最も重要なのは「寝具」です! 人は寝ている間に多くの汗をかき、フケやアカが布団に落ちます。これはダニにとって最高のごちそうです。つまり、布団は家の中で最もダニが繁殖しやすい場所なのです。

  1. 掃除機がけ
    週に1〜2回、布団の表面にゆっくりと掃除機をかけましょう。1平方メートルあたり20秒以上かけるのが目安です。ダニの死骸やフンを吸い取ることが目的です。
  2. 布団乾燥機の活用
    ダニは50℃以上の熱に20〜30分さらされると死滅します。布団乾燥機で全体を高温にしてから、掃除機で死骸を吸い取るのが最も効果的です。毎回布団乾燥機を使用するのは大変なので、天日干ししてから掃除機をかけるのも有効です。※高額な防ダニシーツ・カバーの使用は、あまり効果がなかったりエビデンスがないものが多いです。

その他のお部屋の対策


  • フローリングが理想です。カーペットや絨毯はダニの温床になりやすいので、こまめな掃除機がけを心がけましょう。
  • 布製のソファ・クッション・ぬいぐるみ
    これらもダニが潜みやすい場所です。定期的に掃除機をかけたり、洗えるものは洗濯したりしましょう。
  • 湿度管理
    ダニは湿度が高い環境を好みます。換気をこまめに行い、除湿機やエアコンのドライ機能などを活用して、室内の湿度を50%台に保つことを目指しましょう。

 

ご相談ください

 

長引くお子さんの鼻炎症状は、見ている親御さんにとってもつらいものです。「ただの鼻炎」と軽く考えず、その裏に隠れたアレルギーの可能性を探ることが、お子さんの健やかな毎日につながります。

通年性アレルギー性鼻炎は、適切な治療と環境整備で、症状をコントロールし、改善することができる病気です。そして、舌下免疫療法という根本的な治療の選択肢もあります。

もしお子さんの症状で気になることがあれば、お気軽にご相談ください。「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」では、エビデンスに基づいた正確な情報をご提供することはもちろん、お子さん一人ひとりの状況やご家族の気持ちに優しく寄り添いながら、最適な治療法を一緒に考えていきたいと思っています。

 

【SNSでも情報発信中!】

当院のSNSでは、小児科・皮膚科に関する役立つ情報や、季節ごとの病気の注意点などを発信しています。ぜひフォローしてください!

Instagram: 武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科

 

武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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