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当院を受診されるお子さんの中に「のどが痛くてつらそう」「熱が続いている」といった症状を訴えるケースが増えています。その中でも特に多いのが、溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)です。
「風邪と何が違うの?」「家族にうつるの?」「保育園はいつから行ける?」など、親御さんが気になるポイントを分かりやすく解説していきます。
「溶連菌(ようれんきん)」とは、「A群β溶血性連鎖球菌」という細菌のこと。主に 子どもに多くみられる咽頭(いんとう)炎、つまりのどの奥の炎症を引き起こします。
一般的な風邪の原因はウイルス感染であり特効薬がないのに対して、溶連菌感染症は「細菌が原因の感染症」なので、抗生物質(こうせいぶっしつ)で治療できるという点が大きな違いです。
溶連菌の症状は、風邪とよく似ているため見分けがつきにくいことがありますが、次のような特徴があります。これらの症状のすべてがそろうわけではないということに注意が必要です。
✅ 突然の発熱(38~39℃)
✅ のどの強い痛み
✅ 咳はないか、少ない
✅ 扁桃腺が赤く腫れて、白い膿がつくことも
✅ 舌に赤いブツブツができる(いちご舌)
✅ 首のリンパ節が腫れる
✅ 全身に赤い発疹(猩紅熱:しょうこうねつ)
✅ 吐き気や腹痛を伴うこともある
例えば、「朝から元気がないな」と思っていたら、昼頃には高熱を出し、「のどが痛い、食べられない」と訴える――そんなケースがよく見られます。
溶連菌は、咳やくしゃみによる飛沫感染や、手指やドアノブ、おもちゃなどを介した接触感染によって広がります。
感染力は比較的強く、家族や保育園の友達にうつってしまうこともあります。
そのため、家庭内でも手洗い・うがいを徹底し、タオルの共有は避けましょう。
小児科では、のどの所見や迅速検査(溶連菌検査キット)を使って、数分で診断が可能です。
治療の中心は、抗生物質(主にペニシリン系)を10日間しっかり飲みきることです。途中でやめてしまうと、症状がぶり返したり、腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こすこともあります。
薬を飲み始めてから 1日~2日で熱が下がり、のどの痛みも改善してくることが多いですが、処方された薬は最後まで飲みきることが大切です。
親御さんからよく聞かれるのが、「いつから保育園に行ってもいいですか?」という質問です。
抗生物質を内服してから24時間が経過している
発熱などの症状が改善している
つまり、「薬を飲み始めて1日以上たって元気になっていれば、登園・登校は可能」です。
ただし、医師の登園許可証が必要ですが、園に事前に確認しておくと安心です。
溶連菌は、大人にも感染することがあります。
特に、子どもと接する時間が長いママ・パパやきょうだいにうつるケースは珍しくありません。
「子どもが治ったと思ったら、今度はお父さんが高熱と咽頭痛でダウン……」というご家庭もよくあります。
大人にものどの痛みや発熱が出現した場合は、早めに内科を受診しましょう。
溶連菌感染症は、きちんと治療すれば短期間で回復する病気です。ただし、放置したり治療を途中でやめてしまうと、合併症につながるリスクもあるため注意が必要です。
お子さんにこんな様子が見られたら…
「急に高熱が出た」
「のどが真っ赤で、食べたがらない」
「舌がブツブツしている」
――迷わず小児科を受診してくださいね。
当院では、迅速検査を用いて溶連菌の早期診断・治療を行っています。
「風邪かと思ったけど、ちょっと様子が違うかも…」というときも、お気軽にご相談ください。
地域の子どもたちが元気に過ごせるよう、全力でサポートしてまいります。
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溶連菌 風邪との違い
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<参考>
・国立成育医療研究センターHP「溶連菌(A群レンサ球菌)感染症」
・東京都感染症情報センターHP「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)