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👂あかちゃんの「折れ耳」、大丈夫? 早めの相談がカギ! 小児科医が解説する耳の形と矯正治療

当院では「家族とともに未来を担うこども達の健やかな成長と幸せを目指します」という理念のもと、日々たくさんの赤ちゃんとご家族にお会いしています。

さて、生まれたばかりの我が子。その小さな手、小さな足、すべてが愛おしいですよね。 1日中眺めていても飽きない、そんな時間の中で、ふと赤ちゃんの「耳の形」が気になったことはありませんか?

「あれ、なんだか耳が折れているみたい…」
「片方だけ、くしゃっとなっているけど、これって治るのかな?」
「マスクやメガネ、将来かけにくかったりしない?」

そんな風に、赤ちゃんの耳の形についてご相談をいただくことは、実は少なくありません。 今日は、そんなパパ・ママの心配事のひとつ、「あかちゃんの折れ耳」について、小児科医の視点から詳しくお話ししたいと思います。


 

「折れ耳」って、いったい何?

 

「折れ耳」と一口に言っても、実は色々な種類があります。これは「耳介形態異常(じかいけいたい いじょう)」と呼ばれる、耳の形(耳介)の変形全般を指す言葉のなかの1つのパターンです。

具体的には、以下のようなものがあります。

  • 折れ耳
    耳の上部(耳輪)が、前に折れ曲がっている状態です。いわゆる「折れ耳」としてイメージされやすい形かもしれません。
  • 埋没耳
    耳の上半分が、側頭部の皮膚の下に埋もれてしまっている状態です。「指でつまみ上げないと、耳の上部が出てこない」といった特徴があります。これは、マスクのゴムやメガネのつるが引っかからないため、機能的に困ることが出てくる可能性があります。
  • 立ち耳
    耳介が側頭面から離れ、耳が正面を向いて立っているように見える耳のことです。

これらは、病気というよりは「形の個性」のひとつです。 なぜ、このような変形が起こるのでしょうか? はっきりとした原因は不明なことも多いですが、お腹の中にいるときの姿勢や、耳の軟骨が作られる過程でのちょっとしたズレ、遺伝的な要因などが関係していると考えられています。

これらは決して珍しいものではありません。


 

治した方がいいの?放っておいてもいいの?

 

では、この「耳の形」、治療は必要なのでしょうか?

これは、とても悩ましい問題です。 まず大前提として、耳の形が少し違っていても、聴こえ(聴力)に問題があることはほとんどありません。多くの場合は、見た目(形態)の問題です。

判断のポイントは2つあります。

  1. 機能的な問題があるか?
    先ほどの「埋没耳」のように、将来的にマスクやメガネがかけにくい、といった日常生活での不便さが予想される場合です。
  2. 見た目の問題で、将来ご本人が気にする可能性は?
    「個性」として捉えることももちろんできますが、お子さんが成長して物心がつき、お友達との違いを意識し始めたときに、コンプレックスに感じてしまうかもしれません。

「気にしすぎかもしれない」「こんなことで相談していいのかな…」 そう思われる親御さんもいらっしゃいますが、「気になったら、まずは相談してほしい」と思っています。 なぜなら、もし治療(矯正)を選ぶ場合、スタート時期が非常に重要になってくるからです。


 

治療の「ゴールデンタイム」は生後すぐ!

 

ここが一番お伝えしたいポイントです。 もし、赤ちゃんの耳の形を整えたいと考えるなら、治療の「ゴールデンタイム」は生後できるだけ早い時期、具体的には生後数週間から遅くとも生後6ヶ月くらいまで、理想を言えば生後1~3ヶ月以内に開始することです。

なぜそんなに早い時期なのでしょうか?

それは、生まれたばかりの赤ちゃんの耳の軟骨が、まだとても柔らかいからです。 これは、お腹の中にいるときにママからもらっていた女性ホルモンの影響と考えられています。

例えるなら、まだ乾いていない柔らかい粘土細工のようなもの。 形が崩れていても、柔らかいうちなら指でそっと押したり、型にはめたりするだけで、簡単に形を整えることができますよね?しかし、時間が経ち、粘土が乾いてカチカチに固まってしまったらどうでしょう。 形を直すには、一度壊したり、削ったり、大きな力が必要になります。

赤ちゃんの耳も同じです。 生後数ヶ月が経ち、ママからのホルモンの影響が少なくなってくると、耳の軟骨はだんだんと大人と同じようにしっかりとした硬さに変わっていきます。 柔らかい「ゴールデンタイム」を過ぎてしまうと、簡単な矯正治療では形を変えることが難しくなってしまうのです。


 

どんな治療法があるの?

 

治療法は、大きく分けて2つあります。「矯正治療」と「手術」です。

 

1. 矯正治療(保存的治療)

 

これが、先ほどお話しした「ゴールデンタイム」に行う治療です。

  • 方法
    耳の形に合わせて、専用のワイヤーやスプリント(型枠のようなもの)、医療用のテープなどを使って、耳を正しい形に固定し、クセ付けをします。
  • 時期
    生後できるだけ早い時期(理想は生後1~3ヶ月以内)に開始します。
  • 期間
    変形の程度や開始時期によりますが、数週間から数ヶ月程度、固定を続けます。
  • メリット
    • 手術が不要です。
    • メスを使わないので、傷跡が残りません。
    • 痛みがありません。(赤ちゃんが嫌がるのは、テープを貼られる違和感くらいです)
  • デメリット
    • 定期的な通院(テープの交換や調整)が必要です。
    • テープで皮膚がかぶれてしまうことがあります。(その場合はお休みしたり、貼り方を工夫します)
    • 開始時期が遅れると、十分な効果が得られない場合があります。

2. 手術(外科的治療)

矯正治療の「ゴールデンタイム」を過ぎてしまった場合や、変形の程度が強く矯正治療では治らない場合、また埋没耳などで機能的な問題がはっきりしている場合は、手術による治療が選択肢となります。

  • 方法
    耳の軟骨を縫い合わせたり、皮膚を移動させたりして、形を整えます。
  • 時期
    すぐに手術が必要なケースは稀で、多くは体の成長を待って、本人の意思も確認できる就学前(4~6歳頃)に行われることが多いです。全身麻酔が必要になるため、ある程度の体力も必要です。

 

気になったら、まずは小児科でご相談を

 

「うちの子の耳、もしかして…?」
「矯正治療って、具体的にどうするんだろう?」
「まだ生後1ヶ月だけど、間に合う?」

そんな風に少しでも気になったら、まず御相談ください。 いつでもご相談をお受けしています。

乳幼児健診(1か月健診、2か月健診、3,4か月健診)のついででも構いません。「こんなこと聞いていいのかな?」と遠慮する必要はまったくありません。私たち小児科医は、アレルギーや低身長、赤ちゃんの頭の形といった専門的なご相談だけでなく、そうした日々のちょっとした不安に寄り添うのも大切な仕事だと考えています。

クリニックでは、まず赤ちゃんの耳の状態をしっかり拝見し、どのタイプの変形なのか、軟骨の硬さはどうか、などを確認します。 その上で、ご家族の希望(「積極的に治療したい」「ひとまず様子を見たい」など)を丁寧にお伺いします。

そして、もし矯正治療や将来的な手術が必要と判断される場合、あるいはご家族が専門的な治療を希望される場合は、信頼できる専門の医療機関をご紹介します。

耳の形の矯正や手術は、非常に繊細な技術が求められる、形成外科の専門分野です。私たちは、高次医療機関と連携をとって連携を取りながら、赤ちゃんにとってベストな方法を一緒に考えていきます。


 

まとめ

 

赤ちゃんの折れ耳(耳介形態異常)は、決して珍しいことではありません。 多くは聴こえに問題はなく、「個性」のひとつです。

しかし、もし機能的な問題が心配されたり、将来的な見た目を考慮して形を整えてあげたいと考える場合には、「生後早期の矯正治療」という、痛みも傷跡もない選択肢があります。

この治療には、「生後できるだけ早く(数ヶ月以内に)」というタイムリミットがあります。

「気になるけど、様子を見よう」 そう思っているうちに、柔らかかった軟骨は硬くなり、治療のチャンスを逃してしまうかもしれません。

大切なのは、「知っておくこと」そして「早めに相談すること」です。 相談した結果、「これは様子見で大丈夫ですよ」となることもたくさんあります。それはそれでいいとおもいます。パパやママの安心にも繋がります。

私たち「武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科」は、日本専門医機構認定小児科専門医と日本皮膚科学会認定皮膚科専門医が、エビデンス(科学的根拠)を大切にしながらも、わかりやすい説明と、ご家族のお気持ちに優しく寄り添う診療を心がけています。

赤ちゃんの耳の形に限らず、どんな些細なことでも構いません。 いつでもお気軽にご相談ください。

<参考>
日本医科大学武蔵小杉病院HP「耳の異常【埋没耳・立ち耳・折れ耳・副耳・耳瘻孔】

 

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武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科の外観写真の画像
当院の外観写真

 

院長 大熊 喜彰 (おおくま よしあき)
記事監修
院長 大熊 喜彰
(おおくま よしあき)

日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務

医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)

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