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日々多くのご家族から赤ちゃんの栄養に関するご相談を受けています。特にビタミンDの不足は、近年注目されている問題の一つです。今回は、乳児のビタミンD欠乏について、その影響や家庭でできる対策、離乳食の工夫についてお話ししたいと思います。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨や歯の健康を維持する重要な栄養素です。また、免疫機能の調整やアレルギー予防にも関与しています。主に日光を浴びることで皮膚で合成されるほか、食事からも摂取することができます。
近年、母乳栄養の赤ちゃんにおけるビタミンD欠乏が問題視されています。母乳は赤ちゃんにとって理想的な栄養源ですが、ビタミンDの含有量が少ないため、母乳のみで育てられる赤ちゃんはビタミンD不足になりやすい傾向があります。ビタミンDが不足すると、「くる病」と呼ばれる骨の病気を引き起こす可能性があります。くる病は、O脚やX脚などの下肢の変形、頭蓋骨の軟化(頭蓋癆)、低身長などを特徴とする疾患です。また、ビタミンD不足は免疫力の低下やアレルギー疾患のリスク増加とも関連しています。
現代では、紫外線対策として日焼け止めの使用や外出時の肌の露出を控える傾向があります。その結果、赤ちゃんが日光を十分に浴びる機会が減少し、ビタミンDの合成が不足する原因となっています。さらに、母親自身が妊娠中にビタミンD不足である場合、赤ちゃんも生まれつきビタミンDが不足している可能性があります。
適度な日光浴:赤ちゃんの皮膚はデリケートですが、天気の良い日に数分間、手足や顔を日光に当てることでビタミンDの合成を促進できます。ただし、紫外線が強い時間帯や長時間の直射日光は避け、赤ちゃんの肌を守ることが大切です。ガラス越しではビタミンDは生成されないことに注意が必要です。
ビタミンDを含む食品の摂取:離乳食が始まったら、ビタミンDを多く含む食品を積極的に取り入れましょう。以下に具体的な離乳食の例を紹介します。
白身魚のペースト:タラやヒラメなどの白身魚はビタミンDが豊富です。茹でてすりつぶし、なめらかなペースト状にしてお粥や野菜ピューレに混ぜると、赤ちゃんも食べやすくなります。
卵黄のマッシュ:卵黄にはビタミンDが含まれています。固ゆで卵の黄身を取り出し、少量の母乳やミルクでのばしてマッシュ状にし、スプーンで与えます。ただし、鶏卵はアレルギーのリスクもあるため、医師と相談しながら進めてください。
きのこのスープ:しいたけやしめじなどのきのこ類もビタミンD源です。これらを煮込んだスープを作り、具材を細かく刻んで赤ちゃんに与えることで、ビタミンDを摂取できます。
赤ちゃんの健やかな成長のためには、ビタミンDの適切な摂取が欠かせません。日光浴や離乳食での工夫、必要に応じたサプリメントの利用など、ご家庭でできる対策を取り入れて、赤ちゃんの健康をサポートしましょう。ご不明な点やご心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
<参考>
日本小児科学会「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」
当院の外観写真
日本医科大学医学部 卒業、順天堂大学大学院・医学研究科博士課程修了、国立国際医療研究センター小児科勤務、東京女子医科大学循環器小児科勤務
医学博士、日本小児科学会小児科専門医、日本小児科学会指導医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、そらいろ武蔵小杉保育園(嘱託医)、にじいろ保育園新丸子(嘱託医)