外来でもよくご相談いただく「赤ちゃんのよだれが多すぎるのですが大丈夫ですか?」というテーマについて、今回は詳しくご紹介します。
生後数ヶ月から急によだれが増え、スタイや服がびしょびしょになると、親御さんは不安になりますよね。
この記事では、赤ちゃんのよだれの正常な理由から、注意が必要な病気のサイン、家庭でできる対策法まで、わかりやすく解説していきます。
よだれが多いのは赤ちゃんの成長の証
生後2〜6ヶ月ごろからよだれが急に増えるのはなぜ?
赤ちゃんのよだれは、生後2~3ヶ月頃から徐々に増え、生後4〜6ヶ月頃にピークを迎えることが多いです。口の運動機能が発達するまでの生後6~18か月頃までよだれが続くのは正常と考えられます。その理由には、次のようなものがあります:
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唾液腺が発達してくる
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何でも口に入れて感覚を確かめるようになる
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唾液をうまく飲み込む機能がまだ未熟
つまり、よだれが増えるのは、赤ちゃんが「育っている」サインともいえるのです。
Geminiで作画
よだれと歯の関係:「歯が生える前ぶれ」って本当?
「よだれが増えると歯が生えるサイン」と言われることがありますが、これは半分正解、半分誤解です。
確かに、乳歯が生え始める前(生後5〜9ヶ月)には、歯ぐきがムズムズしてよだれが増えることがあります。ただし、唾液腺の発達や飲み込みの未熟さでもよだれは増えるため、「歯が生える=よだれが増える」ではありません。
赤ちゃんのよだれが多くても心配いらないケース
以下のような場合は、特に心配はいりません。
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赤ちゃんが元気で機嫌がよい
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熱がない
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お口や首まわりに目立った異常がない
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よだれの量は多いが、ムラなく飲んだり遊んだりできている
このような時は、よだれは成長の一部と捉えてOKです。
よだれで肌が荒れないためのケア方法
赤ちゃんの肌はデリケート。よだれで首やあごのまわりが赤くただれることもあります。
以下のような対策をしてみてください:
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吸収性の良いスタイ(よだれかけ)をこまめに交換する
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ぬるま湯でやさしく拭き取る
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ワセリンなどの保湿剤で、あごや首の皮膚を保護する
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寝る前や食後など、特によだれが増えるタイミングを意識して肌をチェックする
【重要】気をつけたい「よだれが多くなる病気」
ただし、病気が原因でよだれが増えている場合もあります。以下のようなケース、特に「急によだれを垂らすようになった」「急によだれが増えた」場合は、医療機関への受診が必要です。
① 口の中やのどの病気
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口内炎、扁桃炎、咽頭炎(溶連菌やアデノウイルス)
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手足口病、ヘルパンギーナ、おたふくかぜ(ムンプス)
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伝染性単核球症(EBウイルス)などのウイルス感染
これらの病気では、のどが痛くて唾液が飲み込めないため、よだれが増えます。
② 鼻づまりによる口呼吸
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アレルギー性鼻炎
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アデノイド肥大
鼻で息がしづらくなると、口呼吸になり、よだれが垂れやすくなります。
③ 歯の問題
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虫歯
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かみ合わせの異常(反対咬合など)
口をしっかり閉じられず、唾液が溜まりやすくなります。
④ 発達の遅れや飲み込みの未熟さ
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噛む、飲み込むなどの口腔機能が未熟な赤ちゃんでは、集中して遊んでいる時などに特によだれが目立つことがあります。
発達相談とあわせて、小児科や専門外来での評価が勧められます。
⑤ 異物が喉や食道にある
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誤飲による異物のつまり(豆、おもちゃの部品など)は、急によだれが増えるサインのひとつ。緊急対応が必要なケースもあります。
⑥ 先天的な構造の異常
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舌が大きい、下あごが小さい、口唇口蓋裂など
こういった場合、物理的によだれがたまりやすくなります。
こんなときは小児科に相談を
以下のような場合は、一度小児科に相談しましょう。
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よだれの量が急に増えた
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発熱、発疹、口の中に白い斑点や水ぶくれがある
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呼吸音が変、ゴロゴロ・ゼーゼーしている
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食事や哺乳がしづらそう
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お肌のただれが治らない
よだれは赤ちゃんの大切なサインです
赤ちゃんのよだれは、成長の通過点でもあり、ときに体からのサインでもあります。
「ちょっと変かも」「いつもと違うかも」と思った時には、迷わずかかりつけの小児科に相談してくださいね。
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武蔵小杉 森のこどもクリニック小児科・皮膚科
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